人と共同でミッション・ステートメントを作るときの5STEP

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私の愛しいアップルパイへ

組織内の全員の深く共有化されたビジョンと価値観を、本当に反映している組織のミッション・ステートメントは、強い一体感と強い決意を作り出すものである。人々の心の中に自律のための基準とガイドラインを植えつけることにより、指示、管理、批評、評価する人は必要でなくなる。なぜなら、従業員はその組織の不変の核心を、自分のものとして受け入れているからである。

Burned by 7つの習慣-成功には原則があった! P.203

私は個人的な憲法としてミッション・ステートメントを作っていますが、特に重要なプロジェクトについては、そのプロジェクトごとにもミッション・ステートメントを作るようにしています。

これまで、個人のミッション・ステートメントとは別に、会社で1つ、恋人とも1つ作りました。

今日はこの経験から学んだ、人と共同でミッション・ステートメントを作るときの流れや注意点を5STEPでご紹介します。

▼なお、考え方としては「7つの習慣」をベースにしていますが、具体的なやり方は自分の経験をもとに独自に整理しています。

人と共同でミッション・ステートメントを作るときの5STEP

▼以下は私個人のミッション・ステートメントです。共同で作るときも、この形式を最終的なアウトプットとしてイメージとしながらつくっていきます。

ミッション・ステートメント

STEPは大きく5つあります。

STEP1.意味と効果を説明する
STEP2.作成にあたっての注意点を共有する
STEP3.重要な要素を洗い出す
STEP4.要素ごとにミッションを決める
STEP5.作成後にやること

STEP1.意味と効果を説明する

作成に入る前に、ミッション・ステートメントとは何か、どんな効果があるのかをメンバー全員で共有しておく必要があります。参加メンバー全員がミッション・ステートメントについて理解していなければ効果は半減してしまうでしょう。

「7つの習慣」を持ち出すのも良いですが、私は専用のガイドのような資料を自分で作成して、それを読み合わせながらミッション・ステートメントの意味と効果について読み合わせを行います。

私はだいたい以下のような内容について話すようにしています。

・仕事の効率を管理する前に、どこに向かうかを決める必要がある
・ミッション・ステートメントは憲法のような役割である
・チームが目指す目的地であり、仕事の重要度を決める尺度となる
・ミッション・ステートメントが共有され浸透してれば、皆が自律的に動けるようになる
・今この場面で最も重要なことを自分で判断できるようになり、創造的な解決策を実践できるようになる

STEP2.作成にあたっての注意点を共有する

次に、作成にあたって2つのことを参加メンバーと共有します。ここでは、すべてのメンバーが積極的に作成プロセスに関与できるよう、以下2つのことを共有します。

・1.すべてが思い通りになったとしてなにがしたいかを決める
・2.すべてのメンバーが積極的に参加するよう促す

まずもって説明しておきたいのは、全てが思い通りになったとして何をしたいかを書くという点です。ここで予算や時間といった制限を考えると、納得のいくミッションにならないからです。

次に、全てのメンバーが作成に関与することが大切であることを念押しします。誰か1人が独断で決めたミッションは無意味です。他人が決めたことに対して決意は生まれません。人は自分が決めたことにのみ責任を持つからです。

STEP3.重要な要素を洗い出す

ここから実際の作成プロセスに入っていきます。まずはそのプロジェクトにとって重要な要素をみんなで書き出していきます。

7つの習慣では「役割(ペルソナ)」と呼ばれていますが、もう少し広くとらえて「分野」と考えても良いでしょう。「経営」「従業員」「業界」「家庭」「健康」などなど、どれか1つでも疎かにしたらプロジェクトが成り立たないと思える最重要事項を決めていきます。

重要な要素を洗い出す

一通り書き出し終わったら、重複しているものやまとめられるものなどを整理して、最終的に7つ以内に収まるようにします。

ここでの取捨選択は大切な作業です。ここは一時的な考えに偏らないようにするため、できれば日を変えて2回以上の時間を設けられるとGooooood!です。

STEP4.要素ごとにミッションを決める

最重要な要素が決まったら、その要素ごとに何をしたいか皆で文章化していきます。

例えば「経営」であれば、会社や株主の利益を最大化したいのか、従業員に十分な給料を払えるようにしたいのか、それらすべてなのかといったことを決めていきます。

文章化にあたっては、1単語1単語に違和感が無いかを確認しあいながら皆で文章化していきましょう。その過程が、メンバー全員の考えをすり合わせる重要なプロセスになっているからです。

文章には「What(なにを?)」「Why(なぜ?)」「How(どのように?)」が盛り込まれているとベストですが、いきなりすべてを決めるのは大変でしょうから最低限「What」が決まれば良いでしょう。「Why(なぜ?)」「How(どのように?)」は時間を置いて書き足していけますから。

STEP5.作成後にやること

まず、作成が終わった翌日からは頻繁に読み返すようにしましょう。そして、違和感や過不足を感じる部分があれば修正します。修正もメンバー全員が関与するようにします。

私は個人のものも共同プロジェクトのものも毎日読み返すようにしていますが、すべてのメンバーが律儀に読み返すとは限らないでしょう。その場合は、オフィスの壁に貼っておくなどして、目に入る位置に置いておくのがオススメです。

加えて、最低でも年に一度はミッション・ステートメントを改訂する時間を取るようにします。年末年始のタイミングなどで、もう一度意見を出しあったり、STEP4で後回しにした「Why(なぜ?)」「How(どのように?)」の部分を書き足してみたりすると良いです。

作成後はとにかく、あの手この手を使ってミッション・ステートメントがすっかり無かったことにされないよう注意します。

作成した文章より作成プロセス自体に価値がある

実際にミッション・ステートメントを共同で作ってみると、相手の考えと自分の考えの共通しているところや違っているところがあらわになります。

その上で相互に尊重しあって方向性を明確にすることは素晴らしい経験になります。7つの習慣でも、作成した文章そのものよりも作成プロセス自体に価値があると書かれています。

ここでもやはり、作成するプロセスが、できあがった文章以上に大切である。ミッション・ステートメントを書き、それを磨いていくプロセスそのものが、家族を改善に向かわせる重要な鍵を握っている。ミッション・ステートメントを一緒につくっていくことで、そのミッションを実行に移すのに必要なPC(目標達成能力)が生み出されることになるからである。

Burned by 7つの習慣-成功には原則があった! P.203

あなたにとって特に重要なプロジェクトがあるのなら、是非ミッション・ステートメントの作成プロセスを試してみてください。

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。