無計画に脱サラしたら襲ってきた7つの不安を突破できたときの話〜第二の不安:出版などお金になる企画が通らなかったらどうしよう?〜

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私の愛しいアップルパイへ

先ほどお話したとおり、私が脱サラ直後にかかえていた不安は7つありました。

今日は第二の不安である「出版などお金になる企画が通らなかったらどうしよう?」を私がいかにして突破したかお話しましょう。

  • 1.無償で請け負った仕事が育たなかったらどうしよう?
  • 2.出版などお金になる企画が通らなかったらどうしよう?
  • 3.ブログの愛読者が増えなかったらどうしよう?
  • 4.人が私の商品にお金を払ってくれなかったらどうしよう?
  • 5.生活できるだけのお金も稼げなかったらどうしよう?
  • 6.大好きなことに割く時間がとれなくなったらどうしよう?
  • 7.個人事業主を続けられなくなったらどうしよう?

執筆を収入につなげるために当初イメージしていた働き方

脱サラした直後、ブログが順調に育っていた私がイメージしていた働き方をお話しましょう。

まずブログの記事をいくつか選んで、1つのテーマにまとめて目次案や概要をまとめた書籍の企画書を作ります。これを出版社に持ち込んで書籍や雑誌というかたちで出版するわけです。

出版できれば原稿料と印税をもらって収入になるでしょう。実績ができれば新しい選択肢も増えるはずです。当時の私は、ブログから生活できるだけの収入を作ろうと思ったら、これが一番オーソドックスで近道だと思っていました。

大手出版社からの出版経験を詰めば、テレビなどのマスメディアでの仕事が入ってくるかもしれません。そうすれば宣伝効果が見込めるので、さらに書籍や雑誌の売上に貢献できるかもしれません。

人脈も広がるでしょうし、きっとお金に困ることもなくなります。そういうわけで私は企画書づくりに取りかかりました。

偏った先入観が進むべき方向を見えなくしていた

私は実際に5つか6つの企画書を作成しました。それを以前から声をかけてくれていた編集の方や著者の方に協力いただいて、3社に持ち込みました。

結論から言って、この活動方針はすぐに破綻しました。第一に、私に提示された出版の条件は執筆の負荷を考えるととても悪かったことです。大抵の場合、提案されたのは印税がひどく低いか、執筆内容が大幅に制限される(書きたいと思っていることが書けない)ものでした。

また、話を聞く限りでは現状では私が出版したところでとても生活できるだけの収入にはならなそうでした。無名の著者では売れる見込みが立たず、宣伝効果を出すのも難しい。むしろ私のブログを使った売り込みを期待されてしまうことすらありました。

私は自分がまったく小さな存在に思えて、途方にくれた頃にようやく本質的な問題に気づきました。私がそれまで思い描いていたオーソドックスな働き方は、偏った先入観によって植え付けられたものだったのです。

ブログから出版につなげたいと私が考えたのは、ただ単にそのころ私のよく知るブロガーが立て続けに書籍を出版したか、出版の企画が通ったという声を聞いたからというだけの理由だったのです。

私は自分でも気づかないうちに、ライバルに置いて行かれたような妄想に取り憑かれて無意味に焦っていたのです。それが自分にとって最適なやり方かどうかも分からないうちにです。

自分の大好きなことに没頭するためにどう働くか?

そこで私は自分の働き方をあらためて大理石像の如く冷徹に考える必要に迫られました。当初、私が収入を得るためにオーソドックスな働き方だと思っていたやり方は、考えれば考えるほど遠回りだと思うようになりました。

たしかに大手出版社やマスメディアからの声がかかれば露出は増えるかもしれません。しかし、私の目指す「自分の大好きなことに没頭する道」を歩こうと思ったら、書籍や他のメディアを介するよりも、むしろブログを直接読みにきてもらった方がメリットが大きいのです。

中間業者を限りなく減らせることができるので自律的な活動につなげやすいですし取り分も増えます。自分の名前を全面に出すことができますし、活動内容も自由に選択できます。

そう考えると、自分の城であるブログを宣伝するために出版やメディア出演という手段を駆使するのは良いとしても、実績や収入のために他社に自分のコンテンツと時間を提供するのは、ひどく馬鹿げていると思うようになりました。少なくともいま焦って出版の企画を通すことに何の価値も見いだせないという結論に至りました。進むべき方向はまったく逆だったのです。

自分のための新しい職業を自分でつくる

それ以来、自分のブログに記事を書くことや、ブログの方向性を考えることにより一層力を入れるようになりました。出版や講演をふくめ他社の仕事を引き受ける際の基準についても考え直しました。

他社の仕事を引き受けるかどうかは、この愛すべきブログの宣伝になるかどうかを最優先することにしました。実績になりそうでも、多少ギャラが高くても、ブログへリンクを貼れなかったり、著者名や個人の色が出せないようなら願い下げです。それなら、自分のブログに記事を書いていたほうが、自分の理想とする方向にはやく近づけるからです。

そういえば、この連載の最初に紹介した我が師は昔こう言ってました。「俺ぁよ、俺のための新しい職業を、自分で作ろうとしてんだぁ。」って。私も今はそう思っています。

それから具体的にどんな活動をしていったかは、この後の連載でお話していきましょう。

結論をまとめます。

第二の不安:出版などお金になる企画が通らなかったらどうしよう?

第二の不安の突破口

  • 収入や実績づくりに振り回されず、自分の大好きなことに没頭するために今なにをすれば良いかを出発点にする
  • 大舞台に立つことと自律的な活動基盤をつくることはまったく別物である
  • 自律的な活動基盤をつくるための現実的で効果的な選択肢は無数にある。焦って分の悪い選択をしない
  • オーソドックスな働き方などない。自分のための新しい職業を自分でつくる

かくして第二の不安は私の前に崩れ去ったのです。

貴下の従順なる下僕 松崎より

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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。