タスク管理的に「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」が圧倒的に優れているところ

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ひらめきメモなる人気アカウントを運用し、jMatsuzaki株式会社のメンバーでもあるF太さんが「ForGetting Things Done」主催の小鳥遊さんと共著で「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」を出版されたのはご存知の通りです。

▼我が書評はこちら!

本書はタスク管理などに本格的に取り組んだことのない初心者向けの本であるとは、著者自身も公言している通りです。

確かに本書の内容は非常に分かりやすく簡単に書かれていて、タスク管理という言葉を知らない人に響くように良く練られています。対象も「要領がよくないと思い込んでいる人」なので、難解な内容もほとんどありません。

しかし、数々のタスク管理メソッドを実践してきたわたくしjMatsuzakiから見て、本書にはタスク管理的に圧倒的に目を見張るユニークな手法が組み込まれています

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すべてのタスクに仮の締め切りを入れる

本書の前半部分では仕事の基本としてタスクを整理する5つのステップとして以下が紹介されています。手法としてはGTDを彷彿とさせるところがありますが、GTDよりもずっと簡潔にまとめられています。

① 名前をつけて書き出す

② タスクの手順を書く

③ 「誰がやるべきなのか」を明確にする

④ タスクと手順に、仮の締め切りを入れる

⑤ 最初の手順だけに注目する

要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑 CHAPTER1 仕事の基本

並べてみると良くあるタスク整理法をまとめたように見えますが、一点、通常のタスク管理手法ではほとんど採用されていない手法がここに組み込まれています。

それがSTEP4のタスクと手順に、仮の締め切りを入れるです。このSTEPがあることによって、本書はタスク管理的に実にユニークで、他の手法とは一線を画す手法になっていると思います。

タスク管理にこだわりのある方なら分かると思いますが、すべてのタスクに仮の締め切りを入れるのはさほど簡単なことではありません。ですから、つい、対外的な約束など明確な期限のあるものだけに締め切りを設定しようとするものです。

明確な期限があるものだけではなく、すべてのタスクに自分なりの期限を設ける。まったくエキサイティングじゃありませんか。

このような手法が、自らを“要領がよくないと思い込んでいた“著者から出てきたというのは、実に面白いことだと感じました。

全タスクに仮の締め切りを入れるパワフルな効果

私も本書を読んでからこの考え方を自らのタスク管理にも取り入れてみることにしました。明確な期限のあるタスクだけでなく、全てのタスクに自分なりの仮の期限を設けることにしたのです。

最初はうまくいきませんでした。守れない期限を設定してタスクリストのメンテナンスが面倒に感じたり、期限を決めることを躊躇して一部にしか期限を入れられない時もありました。

試行錯誤しながら取り組んでみると少しずつ慣れてきて、ようやく仮の締め切りを設けられるようになってきました。

▼私はタスクの母艦としてClickUpを使っています。ここに登録されているタスク全てに期限を設定することにしました。以下はその一部です。DUE DATEの欄に期限を設定しています。

これを続けてみると、全てのタスクに仮の期限を設定する効能が分かってきました。

タスクに取り掛かる決意が湧いてくる

まず、タスクに期限を決めるという行為は、そのタスクを本当に終わらせようと決意するための儀式として機能することに気がつきました。

最初はハードルを感じて躊躇するところがありましたが、慣れてくると良い影響の方が勝ることに気がつきました。良い影響とは次の見出し以降でご説明していきます。

明確な期限のないタスクがゾンビにならない

本当に終わらせようと決意するというのは、裏を返せば今までは深層心理では終わらせる気になっていないタスクもタスクリストに入れてしまっていたということです。終わらせようという気のないゾンビ化したタスクがタスクリストの中に入っていると、タスクリストの鮮度が落ちます。

タスクリストの鮮度が落ちると、タスクリストを信用できなくなり、タスク管理の質が下がってしまうのです。

また、たとえ重要なタスクでも明確な期限のないタスクはどうしても後回しにされがちです。気がつけば人との約束や、依頼事項ばかり優先して、本当に重要なタスクに手がつけられていないといった事態も良くあることです。

タスクに仮でも期限を設けることで、本当に終わらせようと思っているタスクだけがタスクリストに並ぶようになり、また、期限のない重要なタスクの優先度も上げられるのです。これはタスクリストの運用する上で素晴らしい一手間として機能しています。

期限のあるタスクが前倒しで終わる

この手法では、対外的な約束事など明確に期限が存在するものに加えて、そこに至るまでのプロセスとなる各タスクにも期限を設定することになります。

こうすることで、本当の期限よりも前に複数の軽めの期限が訪れることになります。期限から逆算して細かいタスクごとに期限が設けられることによって、本当の期限ギリギリになってヒイヒイ言うことがなくなるのです。

余裕を持ってリスケできる

とはいえ、実際に取り組んでみたら期限に間に合わなかったということもあるでしょう。そういった場合でもこの手法はうまく機能します。

この手法では、こまめにタスクリストをメンテナンスして最終的な期限に間に合うようにサブタスクの期限を調整していく必要が出てきます。すべてのタスクが期限通りに終えられるはずがありませんから、進捗を見ながらこまめに期限情報をチューニングしていくことになるのです。

最初は面倒だなと思ったのですが、これは全体的に見れば大きなメリットがあることに気がつきました。このプロセスを毎日のように繰り返していくと、最終的な期限に本当に間に合うかどうかが早い段階で分かるようになってくるのです。

仕事の期限を守る上では、そのプロジェクトの工程だけでに目を向けててもうまくいきません。自分が抱えている全てのタスクとの兼ね合いを考えて、期限が守れるかどうか判断する必要があります。全てのタスクに期限が入っていると、この判断がかなり正確にできるようになってきます。

約束と達成のサイクルで自信がつく

すべてのタスクに期限を設けると、ほんの小さなタスクにも期限が設定されることになります。ほんの小さなタスクでも、自分で設定した期限を守れるのは気持ちが良いものです。

小さな期限が守れた実績が蓄積されていくと、大きな期限を前にしても怯むようなことがなくなります。小さな成功体験が自信を育んでくれるからです。

タスク管理に多くのインスピレーションを与えてくれる一冊

本書はタスク管理という用語すらしらない人のための入門書として書かれているのは間違いないと思います。

一方で、タスク管理の基本をおさらいするにはピッタリであり、そういう意味では高度なタスク管理をされている人にもオススメできます。基本が疎かになって生産性が下がってしまうというのは良くあることです。

また、タスク管理が得意で様々な手法を知っているという人でも、今回の私のように新鮮な視線でインスピレーションを得られる部分が多くあると思います。Cooooool!

貴下の従順なる下僕 松崎より

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