エネルギーを管理する4原則〜メンタル・タフネス by ジム・レーヤー〜

メンタル・タフネス 成功と幸せのための4つのエネルギー管理術 習慣化のコツ

私の愛しいアップルパイへ

自分の実力を100%発揮するにはどうすればいいのか?我々ダイハードな夢想家たちの永遠の命題です。

このような問題について考えるとき、最初に頭によぎるのは「もっと時間があれば…」という願望でしょう。しかし、時間があってもうまく使えなければ意味がないというものです。

時間があっても無駄な仕事ばかりに費やしていてはいけませんし、重要な仕事に取り組んでもすぐにへばってしまうようではいけません。どうすればいいのでしょうか?

そこで、時間を管理しようとするな。エネルギーを管理せよと雄弁に演説をぶってくれる素晴らしい一冊をご紹介します。

ジム・レーヤー氏と、トニー・シュワルツ氏による名著「成功と幸せのための4つのエネルギー管理術―メンタル・タフネス」(原題:The Power of Full Engagement)です。

時間ではなくエネルギーを管理する

すぐれたパフォーマンスを引き出す鍵は「時間」ではなく、「エネルギー」にある。

人は何をするにも──同僚とつきあうにも、大事な決断を下すにも、家族と過ごすにも──エネルギーを必要とする。当たり前のことのようだが、それでも私たちはしばしば、エネルギーの大切さを忘れてしまう。適切な質、適切な量、適切な強さのエネルギーを適切に注がないと、何をするにしても中途半端になってしまう。

何かを考える、感じる、行動する──すべてはエネルギーに影響を与える。人の人生を決めるのは、結局はこの世でどれだけの時間を生きたかではなく、与えられた時間のなかでどれだけのエネルギーを注ぎ込めたかということだろう。

第1章 フル・エンゲージメントとは何か

時間ではなくエネルギーを管理する!まったく真実に満ちた素晴らしい一節です。

どんなに時間があっても、それを有効に使えるだけの十分なエネルギーがなければ無駄になってしまいます。そして、どんなに短時間でも質の高いエネルギーを凝縮して投入すれば素晴らしい結果を得られます。スポーツ選手がほんの数秒の間にどれだけの奇跡を生み出してきたか考えれば疑いようがありません。

本書ではエネルギーをうまく管理できている状態を「フル・エンゲージメント」と呼びます。

フル・エンゲージメントとは、エネルギーに満ちて、前向きで、正しい方向を向いていて、自分を超えた深い目的のために自分自身を使えている状態です。簡単にいえば、対象がなんであれ夢中で没頭できている状態ともいえます。

このフル・エンゲージメントの状態が24時間365日維持できたなら、どんな過酷な状況でも、どんな不具の環境でも、たちまち自体を一変させてしまう力を得ることになるでしょう。

では、どうやって?

そう言いましたか?

よい質問です。

では、どうやって?

はこの世で最も素晴らしい質問のうちの1つです。

フルエンゲージメントへと至る4つの基本原則

本書によれば、フルエンゲージメントの状態へと至るために知っておくべき基本原則が4つあります。

●基本原則1 フル・エンゲージメントには、四種類のエネルギーを利用することが必要となる。それは肉体面のエネルギー、情動面のエネルギー、頭脳面のエネルギー、精神面のエネルギーであり、四つは互いに密接に関連している。

●基本原則2 エネルギーは使いすぎても、使わなくてもなくなってしまう。エネルギーの消費と回復のバランスをとること、これが肝心である。

●基本原則3 エネルギーの貯蔵量を増やすには、トップアスリートのようにトレーニングのなかで自分の限界を超えて頑張ることを体験する必要がある。

●基本原則4 ポジティブなエネルギーの儀式──エネルギー管理のために細かく設定された行動──は、フル・エンゲージメントとすぐれたパフォーマンスを持続させるための鍵である。

第1章 フル・エンゲージメントとは何か

第一に、エネルギーには肉体、情動、頭脳、精神の4つの側面を漏れなく管理する必要があります。それぞれ緊密につながっているので、どれか1つでも疎かにすると全体に影響を与えることになります。

ちなみにこの4つの分類は我々夢見るリアリストたちの永遠のバイブルである7つの習慣」の第七の習慣「刃を研ぐ」とも符合するのが面白いところです。 7つの習慣の著者であるスティーブン・R・コヴィー博士も本書を推薦していたりします。

第二に、エネルギーは適度に使って適度に回復する必要があります。本書でも指摘されていることですが、特に現代の社会人は頭脳と情動を使いすぎており、肉体と精神を使わなすぎている傾向にあります。このバランスを整えるだけでも大きな改善が見込めるでしょう。

第三に、筋トレと同じように情動や頭脳、精神面のエネルギーも限界を超えて消費することで、全体の許容量を上げていくことができます。

第四に、これらのエネルギーの消費と回復は儀式化、つまり習慣化することによって最高のエネルギーレベルを発揮する「フル・エンゲージメント」を長期に渡って維持することができるようになります。

エネルギーを管理すると実行できることが段違いに増える!

本書の原著は2003年にアメリカで出版されたのですが、実のところ私が読んだのは今年に入ってからで、今から半年ほど前のことです。一読して、私は人生において決定的な一冊になりうる本だと確信しました。それ以来、内容を実践しながら既に5回は本書を通しで読み直しています。

私自身、TaskChute Cloudのような時間管理サービスを開発し、自ら使っているので、時間の使い方についてはかなりこだわりのある方だと自負していましたし、本書を読むにあたっても基本を再確認しようくらいの気持ちでした。

否、否、三たび否!

本書は時間の使い方、ひいては自分の使い方についてまったく新しい方法を提示してくれます。しかもそれは現実的で、理にかなっていて、長期的に作用してくれるものなのです。

本書のいう「フルエンゲージメント」のレベルまではいけてはいないかもしれませんが、本書の内容を愚直に生活に取り入れてきた結果、ほとんど”疲れ知らず”になりました。ベッドの上でダラダラとスマホを見たり、目の前の仕事に手を付ける気力が出ずSNSを見たり、緊張の糸が切れて昼間っからバーに飲みに行くようなことがまったく無くなったのです。

代わりに、起きる時間が2時間は早くなり、朝一で運動して午前中のうちには重要な仕事を終わらせ、一日中スタンディングデスクを使い、夜まで将来の投資になるような活動に取り組んでいます。

以前は1日1回のミーティングで集中力が切れてしまい、2回あるとそれだけで1日の仕事が終わってしまう有様でした。今では1日3回ミーティングを行った後にオンラインイベントを開催してもピンピンしていて、別の仕事に取り掛かれます。

そしてそれら全てが楽しく実りある実感のもとで取り組めているのです。

今日紹介したのは本書「成功と幸せのための4つのエネルギー管理術―メンタル・タフネス」の前書きに書かれているほんの基本的なことでしかありません。是非ご興味あれば実際に手に取ってみてください。

メンタル・タフネス 成功と幸せのための4つのエネルギー管理術

貴下の従順なる下僕 松崎より