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作曲は”量か質か”?。否!音楽家は”量も質も”とれ!!
「量も質も!」シリーズ第2段です。作曲において、いかに”量”と”質”のジレンマから抜け出し、いかにして”質”を保ちながら”量”を作るか。
今回は具体的な作曲のプロセスとスケジューリング方法について深耕し、より実践に近い話をします。
目指すは「毎月一曲」!!
記念すべきシリーズ第1段はこちら。
・作曲での”量か質か”に終止符を!音楽家は”量も質も”取れ!!
ちなみにこの話は随分と前からシリーズ化しております。初めての方はこちらもどうぞ。
・No3.これから新曲を作る人に捧げる!作曲のプロセスを3つにモデル化するアイデア
・No4.作曲での”量か質か”に終止符を!音楽家は”量も質も”取れ!!
“量も質も!”は可能でしょうか?
どんな作業でも現実的なプロセスとスケジュールとそれを守る仕組みさえ決めてしまえば可能です。
ではなぜ私は今までやって来なかったか?
それは“量”をとる事によって”質”が低下するリスク「だけ」に目を向けて、”量”による自身の成長を加味していなかったというのが一点。
そしてもう一つは、作曲というのはなんといっても見通しが立てづらいんです。プロセスやスケジュールは毎回異なります。そんな中で制作ペースを決めて、現実的なスケジュールをひくというのはどうにも不可能な気がしていました。見通しが無い状態でペースだけ決めても頭が混乱するだけです。
そうなると私は不器用なので、特にペースは設けず「一曲ずつじっくり作っていこう」という極端な考えに落ち着いてしまいます。
しかし、複数の曲をマルチタスクでもっと効率的に制作できそうだという考えは昔からありました。
極端な話、「実装」の段階に入ってしまえば、自分の家やスタジオに居なければ作業ができませんので、それ以外の時間を使って次の曲の構想を練る事なんかは自然にできます。
「検査」の段階になればひたすら曲を聴き続ける事になりますが、当然ずっと聴いているわけにはいきません。なので、手が空いてる時間に新曲を設計するのはさほど難しい事では無いでしょう。
問題はそれらのプロセスをどうやって”現実的な”仕組みとして整理するかです。
制作ペースが決まったら、次にやらないといけないのはスケジュールを考える事です。
一番オーソドックスなやり方は、月単位くらいでバーチャート化して、その後タスクレベルに落としてWBSを作るかたちでしょう。
一曲制作する場合の工程を以下とすると
毎月1曲作るだけなら単純に考えれば1ヶ月ずつずらしてバーチャートを引けば良いのです。
で、これが全く機能しないのは明らかでしょう。あらゆる楽曲はユニークで、複雑性が違います。また、制作以外の私生活という外部環境も考慮すると、このスケジュールは多分に不確実性を含んでいます。これでは「毎月一曲」というペースはすぐに破綻します。
それでは、それぞれの工程ごとに予備時間(バッファ)を見込むのはどうでしょうか?
残念ながらそれは駄目です。不確実性に完全に対応しきれないだけでなく、バッファはスケジュールの意味を薄めます。
この方法の一番のネックは“学生症候群”に陥って、余裕のあるスケジュールに安心してギリギリまで作業に着手しなくなる事です。実行するのは私ですから100%そうなると断言できます。まさに夏休みの宿題状態です。自分の事はお見通しです。
過去の実績から一曲にかかる時間の平均値を出したとしても、この問題を根本的に解決しません。“知識と経験の隔たり”によって、または“曲ごとの複雑性”によって、作る曲が違えば1週間でできる曲も半年かかる曲もあります。平均値にはあまり意味がありません。また、外部環境の変化を見通す事は不可能です。
では、個別に一曲一曲の複雑性を見積もって、最適なスケジュールをひいていくのはどうでしょう。恐らくこの方法はこの中では一番マシです。しかし、一人でやるにはあまりに管理負荷がかかりすぎます。スケジュールを管理する時間が制作時間を減らすのは論理の倒立です。
まず全ての曲のスケジュールを完璧に把握し、日次、週次、月次のタイミングで細かく進捗を管理しなければいけません。複雑性の見積もり差異や外部環境の変化により、スケジュールの再検討が必要になった場合、他の曲との兼ね合いや今後のプロセスとの兼ね合い、全てを見直さなければなりません。そしてこの類のスケジュールの再検討は頻繁に発生するものです。泥沼です。
さらに悪い事に、これら全ての手法のアキレス腱は、時間にプロセスを無理やりはめ込もうとして”質”の低下が発生する事です。
さて、ここまで色々と作曲をスケジューリングする難しさを説いてきました。”量も質も!”なんて、はたして可能なのでしょうか。
ポイントは曲ごとの複雑性と外部環境の変化を加味しつつ、スケジュールの管理負荷を下げ、毎月一曲のペースを守る事。
そんな事ができるのは”手品師”か”魔法使い”くらいなのでしょうか?
次は私が考え抜いたその回答をお見せします。
貴下の従順なる下僕 松崎より
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