私の愛しいアップルパイへ
賢いあなたならトラックボールという単語を聞いたことくらいあるでしょう。そうです、カルタゴのハンニバルと、ローマのスキピオのように、カーソルを操作するポインティングデバイスとしてマウスと熾烈を極める争いを繰り広げているあのトラックボールです。
私はもう10年以上もマウスを愛でてきたのですが、ふとした好奇心からトラックボールを使い始めてみました。質の高いトラックボールを出していることで有名はケンジントンが出しているSlimBlade Trackballというトラックボールです。
触る前は「笑止!」と馬鹿にしていたのですが、触った途端<CENSORED>と叫びました。汚い表現で失礼。でも、本当に<CENSORED>と叫んでしまうくらい衝撃を受けたのです。一週間が経った頃にはマウスよりトラックボールのほうが使いやすいのではないかと思うようになっていました。
きっとあなたは「またjMatsuzakiが馬鹿なことを言ってるわ」と笑っているでしょうね。しかし、少し私に時間をください。
ボールを回転させて操作するトラックボール
簡単にトラックボールの動きについて説明しましょう。
▼トラックボールでは真ん中の大きな玉を転がすことでカーソルを操作します。縦に回転させればカーソルは上へ、横に回転させればカーソルは横へ、という具合です。
▼ケンジントン SlimBlade Trackballの場合、水平に回転させればスクロールできます。マウスと違って本体を動かす必要が一切ないのが特徴です。
▼左下と右下にあるのが左クリックと右クリックになります。
▼ボールの左上と右上には自由にボタンをセットできますので、計4つのボタンがあるということになります。
ちょっと待って!マウスよりトラックボールのほうが使いやすくね?
操作性についてはご理解いただけたでしょう。次にトラックボールの利点ついてまとめていきましょう。
手の操作だけで良いので腕が全然疲れない
マウスと比較して、トラックボールの一番の特徴は手だけで操作できるところです。マウスだと、腕や手首や肩を使ってカーソル操作をすることになりますが、トラックボールは手だけで良いのです。
使う部位が少ないので、腕や手首や肩にかかる負担がかなり軽減されます。私は一日中パソコンを使いながら仕事をするので、この利点は大きいです。
パソコンを酷使する仕事をしているかたで腱鞘炎になったという人が稀にいらっしゃいますが、そういった方には特にトラックボールが合うでしょう。
寝っ転がりながらでも楽々操作できる
手だけで操作できるトラックボールは、どんな体勢でも操作し易いという利点があります。製品によっては足で操作できるトラックボールもあるくらいです。他にも、手だけが動けばいいので空中で(机に置かずに)操作できるトラックボールもあります。
マウスの場合、例えば寝っ転がりながら作業するときに、マウスを使うのは面倒に感じるでしょう。腕をぶんぶん振り回さないと使えないので、机の上でなければマウスは使いづらいのです。
トラックボールであれば、どんな体勢でも楽々パソコンを操作できてしまいます。
広い画面を縦横無尽に駆け巡れる
トラックボールはボールを転がすことでカーソルを操作します。そのため、勢いをつけてボールを転がすと、一気に画面の端から端まで移動できます。足りなければ何回でも転がせられるので、どこまででもいけます。
マウスはマウスパッド上で本体を動かすので、こういったことが苦手です。マウスパッドの端までいってしまうと、わざわざマウスを持ち上げて元に位置に戻さなければなりません。
画面が広い場合などは、マウスを移動して持ち上げて元に戻して、また移動してなんて操作を何度もしないといけません。これは面倒ですし、手首や腕や肩に負担もかかるでしょう。
トラックボールなら広い画面でも縦横無尽にカーソルを動かせますし、細かい操作は指の腹で正確に操作できるので、マウスより作業効率があがります。
本体を動かさないので場所をとらない
マウスですと、充分なスペースが確保できないときにどうしても作業効率が下がってしまうものです。
一方、トラックボールはマウスと違って本体を動かす必要がありません。ですから、限られたスペースで使うことに適しています。
例えば、外出時にカフェで使うときや、講演中に演台の上で使うとき、小さなデスクで作業するときなどにトラックボールが活きるでしょう。
トラックボールが苦手とするところ
もちろんマウスと比べてトラックボールが苦手とするところもあります。以下にトラックボールが苦手とする操作もまとめておきましょう。
マウスと比べてボタンの数は少ない
高機能なマウスですと、左クリックと右クリック以外にも多数のボタンを備えているものがあります。計8つのボタンがついているなんてこともあります。
それと比べると、トラックボールはボタンの数が少ない傾向にあります。多くのボタンを使いたい場合には、マウスに軍配があがるでしょう。
ミリ単位での素早く正確な操作は苦手
トラックボールでも正確な操作はできますが「ミリ単位で」と言われるとマウスに軍配があがります。マウスだと距離感さえ体で覚えてしまえば目的の場所に瞬時にカーソルを持っていけます。
トラックボールですとボールを転がすという構造上、毎回同じだけボールを転がすというのは難しいので、少しズレが出てきます。
大抵の作業では問題ないはずですが、例えばミリ単位での素早く正確な操作が求められるシューティングゲームやFPSなどのゲームには不向きでしょう。
マウスジェスチャが苦手
トラックボールですとボールを転がすので、水平に右に移動や、垂直に真下に移動といった直線的な動きが得意ではありません。そのため、カーソルの軌跡を使ってコマンドを呼び出すマウスジェスチャが苦手です。
デスクワーク中心ならトラックボールは相性がいい
そういうわけで私はもうマウスからトラックボールに完全に移行しました。デスクワークが中心なので、やはりマウスよりもトラックボールのほうが疲れません。
マウスとは操作性がまったく違うため、乗り換えた直後はとんでもなく違和感を覚えるでしょう。しかし、人間とはすごいものです。一週間も経たないうちに完全にトラックボールに慣れました。
今さらマウスから乗り換えるのは抵抗を感じるでしょうが、ぜひ騙されたと思って3日くらいトラックボールを使ってみてください。
広い画面での作業が多い作曲や映像編集、デザイン作業には特に相性が良いとされています。
▼以下が私の愛用しているSlimBlade Trackballというトラックボールです。トラックボールの代表的メーカーであるケンジントンが出しているだけあって、その完成度は折り紙つきです。
貴下の従順なる下僕 松崎より