重要タスクをいつも先延ばしにしてしまう人へ送る処方箋

重要タスクをいつも先延ばしにしてしまう人へ送る処方箋

私の愛しいアップルパイへ

重要なタスクをつい先延ばしにしてしまうことはベーコンエッグのように身近な問題です。最優先事項だからこそプレッシャーと不安が高まって先延ばしが続くことも多いでしょう。

安心してください。あなただけではありません。

これは私自身にとってもよくある問題であり、かつこれまで本当に多くの人から質問されてきたものでもあります。

この記事では、10年ほどタスク管理・時間管理を本職としてきたこの愉快なjMatsuzakiが重要タスクをいつも先延ばしにしてしまう人へ送る処方箋をまとめます。

重要タスクをいつも先延ばしにしてしまう人へ送る処方箋

極小のネクストアクションを見極める

先延ばしが続く重要なタスクというのは、多くの場合大きなプロジェクトや目標である場合が多いです。この場合、次にやるべき具体的なアクションが不明確であると、それだけで先延ばしになりやすいです。

まずはその最優先事項のネクストアクションを見極めることです。そのネクストアクションは極小にして、ハードルを極限まで下げることが大切です。

馬鹿馬鹿しいと思えるほどささいなアクションを見極めましょう。そうすれば実行できる可能性が上がります。そして、どんなささいなことでも手を付けられればそのままスムーズに進むことも十分にあり得るのです。

ここでネクストアクションを見極めるために細かく見通しを立てたり段取りを整理したりする必要はありません。長期に渡る大きなプロジェクトの場合、見通しを立てることはときに時間の無駄になるだけでなく、逆効果になる場合すらあります。

すべての関連タスクを整理して道筋を明らかにしようなどと考えると、それ自体が先延ばしの原因になりかねないということです。

あくまでネクストアクションだけ見極められれば良いのです。ネクストアクションに1つずつ集中する中で少しずつ段取りは見えてくるものだからです。

一日の初めに着手する

通常、人間は一日の一番初めが最も意志力の高い状態にあります。一日の後ろに行けば行くほど体は疲労し、脳内リソースは消費され、重要なことに手を付けることは難しくなります。

一日の一番初め、この時間を無駄にしないことです。つまり、落ち着いたらやろうなどとは考えないことです。

先延ばしが気になる重要タスクであるなら、落ち着くのを待つ前に朝イチで5分だけでも手をつけてしまうことです。

これは様々なタスク管理・時間管理本の名著で語られている鉄則です。マニャーナの法則はこれを「ファーストタスク」と表現し、7つの習慣は「Put First Things First」と表現し、ブライアン・トレーシーは「カエルを食べてしまえ!」と表現しました。123

ネクストアクションを明確にしてから作業を終える

最初の項でトロンボーンの如く力強く語りましたが、ネクストアクションを明確にすることは先延ばしに対処する最も基本的で重要な方法です。次にやるべきことが明確でなければ着手ハードルは高まったままです。

そのため、ネクストアクションを明確にし続けることが大切です。常にネクストアクションが明確な状態をキープすることです。ですから、理想的にはネクストアクションを実行し終えたら、その時点で新たなネクストアクションを考えて仕事を終えるようにするのです。

ネクストアクションが完了したところでその日の仕事を終えてしまうと、翌日はまたネクストアクションが不明確なところから始めなければならなくなります。すると着手ハードルが上がって先延ばしになる可能性が高まります。

どこまで進めたか一目で分かるようにしておく

タスクを進めている間、何をどこまでやったか小まめにメモしておくとよいでしょう。タスクやプロジェクトごとにノートを1枚用意しておいて、そこに進捗を記入していくのです。

私はタスクごとに新規のデジタルノートを作成しておいて、常にそのノートに書き込みながらタスクを遂行するようにしています(この記事もそのように書いています)。

そうすれば、中断してもすぐに再開できます。少なくとも再開する心理的ハードルが下がります。気が散って作業中に脱線してしまっても、ワルツを踊るように滑らかに戻ってこれます。

少々面倒でしょうけれども、このようなメモを取りながらタスクを進めれば、仕事の段取りを整理したり同僚や上司に進捗を報告したりするときにも役に立つでしょう。

進捗が分かる数字を記録してゲーム化する

書籍の執筆みたいにゴールが遠いプロジェクトに取り組んでいる場合には、そのタスクが進んでいるかが分かる数字を特定して毎日記録するとよいでしょう。

執筆なら文字数、ランニングなら走った数、確定申告なら記入済みの領収書数などです。

普通、ダイエットに取り組みのなら毎日体重を測るでしょう。体重の計測と記録はダイエットがうまくいっているかのフィードバックになるためです。重要なのは、数値化されたフィードバックはモチベーションになることです。

数字が改善されれば気分が良くなるし、悪化したらもっと頑張ろうと感じられます。数字の改善に取り組むことでゲームしている時のような感覚で没頭できることもあります。

最優先事項をリマインドする

最優先事項をつい先延ばしにしてしまう場合、単にそれが今の自分にとって重要であると忘れてしまっているだけの場合もあります。

ですから、適切なタイミングでリマインドするだけで状況が改善されることも多々あります。

先延ばしになっているタスクのリマインダーになるものをスマートフォンのホーム画面に置いておくとか、作業デスクにふせんで貼っておくなどするだけで一定の効果が見込めます。

内省する時間を確保する

ここまで述べてきたことからも分かりますが、先延ばしは時間管理ではなく感情の問題です。4

先延ばしが感情の問題であるなら、感情と向き合う時間をとって先延ばしを続けている現状について自分がどう感じているかを自覚すれば、状況が改善することもあります。

自分が何を感じているのか。それは本当なのか。別の見方はできないか。このように感情を処理していけば、先延ばしになっている心理的障壁を自覚して取り除くきっかけになります。

小さな思い込みが行動を妨害しているだけなこともある。思い込みは事実でない可能性があることを理解すれば、先延ばしの原因を完全に取り除ける場合もあります。

日記や業務日誌のような習慣はそういった意味で先延ばし癖を改善する効果が見込めます。

マインドフルネスな習慣を取り入れる

先延ばしが多分に感情の問題であるため、マインドフルネスも効果的です。瞑想やヨガといった習慣です。

マインドフルネスな状態を維持できれば、プレッシャーや不安を軽減して目の前のタスクに集中しやすくなります。

マインドフルネスは感情と自己の一体化を抑え、感情による自動的な反応を停止してくれるからです。5

先延ばし対策でプロジェクト確実に前に進める

今日は重要タスクをいつも先延ばしにしてしまう人へ送る処方箋を紹介しました。すぐに試せるものだけをピックアップしてみたつもりです。

先延ばし癖は誰もが陥る罠に違いありませんが、ちょっとした工夫が驚くほどうまくいくこともあります。是非とも今日紹介したハックの中でピンときたものから順に1つでも試してみてください。

重要なタスクの先延ばしを防いで、少しでも着実に前進せんと欲するすべての夢見るリアリストに幸運を。

貴下の従順なる下僕 松崎より

参考文献

  1. 仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則・完全版
  2. 完訳 7つの習慣 人格主義の回復
  3. カエルを食べてしまえ!
  4. Kemmis, S. (2019, May 6). Procrastination Isn’t a Time Management Problem, It’s an Emotional Problem. Zapier.
  5. 自覚の臨床教育学序説, 中川 吉晴, 立命館大学人間科学研究所, 2002/07/25
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