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私の愛しいアップルパイへ
あなたは私のことをレオニダス1世の如く大胆で勇敢だと思っているかもしれませんが、昔は決してそんなことはありませんでした。
どうも格好つけて見てくれの良いやり方を選ぶ癖があったんです。これには随分と悩まされました。いや、いまでも時々悩まされるときがあります。幼い頃からの癖が性格になってしまっている部分があるからです。
しかし、私は知っています。大抵の場合はダサいやり方のほうが効果的だということを!
さぁやってやろう!ダサいことをやってやろう!
よく思い出すのは3歳か4歳の頃。遊園地のヒーローショーで、舞台に上がる子供に私が選ばれたときのことです。私は悲鳴をあげて泣きじゃくり、母親にしがみついて離れなかった。それは決して怪人が恐かったのではなく、舞台の上で笑いものにされたり、他人に嫉妬されたりするのが恐かったからです。
選ぶ色はたいてい黒か青に決まってました。それが男の子の色だと教えられたからです。カスタネットは青側を使う。ランドセルは黒。着る服もなるべく青か黒を中心に。
そうだ、小学生の頃にはサッカーかピアノ、どちらか好きな習いごとを選べと言われました。私は気が乗らないのにサッカーを選びました。ピアノを習って女の子みたいだと言われるのが恐かったからです。
中学生の頃には迷わず運動を選びました。理由は同じです。
高校に入る頃から音楽に興味を持ち始めました。髪を伸ばしたり、金髪にしたり、奇抜な服を着てみたりしました。そのうち父親に「みっともない格好をするな!」とたしなめられました。私は最初は怒りながら、どこかで自己主張が怖いと感じはじめました。
高校卒業時の面談では、たいして興味もなくシステム選考の専門学校に行きたいと言いました。いまどきバンドマンだなんて、まるで馬鹿みたいだと言われそうだったからです。ついに、家族にも言えませんでした。
他にも、格好つけて自分のやり方を捨てたり、そもそも自分のやり方なんて考えもせずにいたことが無数に思い出されます。
この格好つけた生き方を続けてきた代償は大きかった。あまりにも大きかった!私は必要以上に打算的になり、外からの刺激に対して反応的になってしまった。そして何より、いつも自分自身を偽っているという罪悪感に苛まれるようになりました。
はたして、私はいったい何を待っていたというのか!人生に準備期間などないというのに!
さぁやってやろう!いまからでも!
さぁやってやろう!誰になんと言われようとも!
さぁやってやろう!ダサいことをやってやろう!
貴下の従順なる下僕 松崎より