私がTaskChute Cloudを開発した理由

カテゴリ: TaskChute Cloud

私の愛しいアップルパイへ

2016年8月5日に我が子TaskChute Cloudをリリースしたことはあなたもご存知の通りです。

今日は私がなぜTaskChute Cloudを自らの手で開発したのか?どのような信念のもとでこれは開発され、運用されているのか?

その根本的なところをお話しましょう。

音楽家を目指す私の最初のレンガの壁は昼寝だった

音楽家になる夢を持ったのが小学生のとき、それを安易に放り投げてシステム屋として就職したのが20歳のとき、諦めきれない夢に向けて最後の悪あがきをすると決意したのが25歳のときでした。

私にとって25歳という時期は、かの非常なる現実がズシリと私に乗っかってきた。時期でした。実際、私は音楽家になるという夢を生まれて初めて諦めようとした時期でした。詳しくは以下の記事でお話した通りです。

それでも、もう一度諦めきれない夢に向かうんだと、駱駝が獅子になったが如く勇敢に立ち上がった私の前に立ちふさがったレンガの壁は、過酷なオーディションや熾烈な楽曲コンペ、ライバルバンドとの競争といった華やかなものではなく、もっと現実的な、つまり「無気力状態」との戦いでした。

従順なサラリーマンとして6年目に入った私は「いまさら一曲作り上げたところで一体何になるのか?」という不安にやられていました。25年間も芽が出なかった夢がそう簡単に都合よく実るはずがないだろう」という自信喪失もおまけで付いてきました。

私の情熱の炎は消えかけていました。私はいつしか好きなことすら手につかない無気力状態に陥っていたのです。

いまでもよく覚えています。私は心の中でよくこう叫んでいました。「時間よ、早く過ぎ去ってくれ!」って。夢が現実化する見込みもなく、不本意な選択をし続けなければならない状況において、私の願いは1つでした。時間よ、早く過ぎ去ってくれ!いうまでもなく二度とない人生において、「時間よ、早く過ぎ去ってくれ!」だなんて!デリラに裏切られたサムソンのような悲劇ではありませんか!

それでも私は、夢というのはかような状況において誰もが無駄だと考えるようなことを1つ1つ形にしていくことでしか得られないなにかなのだと根拠もなく自分に言い聞かせました。目の前は不安と恐怖という霧と霞で覆われていました。

当時、最も大きな問題の1つだったのが仕事から帰ったあとや、休日についしてしまう長時間の昼寝でした。小さな悩みだと思うかもしれませんが、これは無気力状態のサインであると同時に、夢へと向かう不安と恐怖からの現実逃避であり、私から夢へと向かう時間を著しく奪っている悪癖だったのです。

夢へと至る現実的な問題に対抗する武器として手に入れたタスクシュート

タスクシュート時間術と出会ったのはちょうどこの頃、25歳の頃でした。この愛すべきブログを立ち上げたのと同時期であり、私たちのストーリーが始まった時期と重なります。

まずもって私が手をつけなければならなかった差し迫った問題は、無気力状態と現実逃避と時間の浪費の象徴である昼寝をやっつけることでした。最初にいきなり作曲の勉強やバンドメンバー探しに入らなかったのは我ながら良い戦略でした。もっと根本的で一番でっかい問題をやっつけることにしたのです。

つまりこういうことです。当時の私にとっての一番の問題は、夢に向かうに足るだけの自分自身が形成されていなかったことです。ですから、私はまず夢に向かって力強い一歩を踏み出していける自己を形成することにしました。

でも、どうやって?私はまず現代に生きる全知全能の神ゼウス、人類史上最高の発明、つまりGoogleを使うことにしました。「昼寝 やめる」「時間 有効活用」「時間 管理」。そんな具合だったと思います。

ゼウスとの一連の対話の中で出会ったのがブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」でした。タスクシュートの生みの親である大橋悦夫さんが運営し、その相棒である佐々木正悟さんも著者に名を連ねるこの世で最高のブログメディアのうちの1つです。私はこのブログメディアをドット落ちするほど読み込みました。このブログメディアと二人の心の師が導きの星になったのです。

まず私がはじめてみたのは、彼らの記事の教えに従い、昼寝の時間を正確に記録することでした。何時に寝て、何時に起きて、何時間眠っていたのか。特別な対策を打つのではなく、ただ記録してみることにしたのです。これは明らかにタスクシュートへと至る第一歩になりました。

好きなことをやることは自然なことではない

行動の記録を通して自分のいい加減な選択に意識的になることで、徐々に昼寝による現実逃避は減っていきました。記録を通して、昼寝が現実逃避であることを強く自覚できたからです。

それから私は音楽に費やしている時間の記録も始めました。その時に愕然としました。私が一週間で音楽に費やしていた時間はたったの5%程度だったのです。これは週に10時間に満たない数字です。

週にたったの5%ぽっちしか夢のために時間を捻出することができておらず、残りの95%が不本意な選択で敷き詰められていることに愕然としました。自分に対して心底怒りが湧いてきました。たったの5%ぽっちの時間を夢に時間を割いただけで、夢は叶わないだの夢を諦めるだの、ちゃんちゃら可笑しいことではありませんか。

記録の必要性を強く実感した私は、自然とタスクシュートの実践を始めていました。そこからは驚きの連続でした。

俗人たちの持つ最も大きな勘違いの1つは、好きなこととは自然にやってしまうことであり、自然にやってしまうことでないなら好きなことではないという勘違いです。

人は決して、自分の好きなことや夢に対して自然に時間を費やすような生き物ではありません。夢は嫌なこともあり、怖いものもあり、行動に移し難いものの集合体です。かつての私のように、夢を前にして無気力状態と現実逃避に溺れてしまうことだってあるでしょう。

夢を差し置いて、人からの頼まれごとや単に期限が差し迫った仕事、惰性的な習慣の方を優先してしまうのが人間ってものなのです。

情熱を維持するためのTaskChute Cloud

タスクシュートを軸にした時間管理術を通して私は、土日だけでなく、出勤前も仕事が終わったあとも生産的な活動に没頭できようになりました。私はかつての自分がほとんど別人だと見間違うくらい活動的になれたのです。

この変化はいまも現在進行形で進んでいます。私は生産性と実行力を高め、ついには会社を辞めて独立しました。いまではフリーランスとして一度は諦めたヘヴィメタル・バンドを結成し全力で活動しています。

そして「時間よ過ぎ去れ!」と叫んでいた頃からちょうど5年が経ったころ、タスクシュートの考案者である大橋悦夫さん本人からの提案を受けて、タスクシュートの正式なWeb版である「TaskChute Cloud」の開発を手がけました。このとき、幸運にも夢を安易に放り投げて就職したシステム屋としての知識がここで大いに発揮されました。

上手な時間の使い方とはいったい何でしょうか?それは、意義深い目的のためにより多くの時間を使うことだと私は考えます。単に仕事を能率的にこなすことではなく、意義深い目的のために時間を使うこと。

タスクシュートの考え方とTaskChute Cloudは、私たちが本当に没頭したいことに没頭することを強烈に後押ししてくれるはずです。無気力状態や現実逃避を突破し、人からの頼まれごとや単に期限が差し迫った仕事、惰性的な習慣などの不本意な選択を抑制してくれるはずです。かつての私がそうだったように。

私にはいま2つの大きな使命があります。音楽活動とTaskChute Cloudです。

音楽活動は人の情熱に火を灯すことを支援する活動です。対してTaskChute Cloudはその情熱の炎を燃やし続けることを支援する活動です。私にとってはどちらもかけがえのない、自らが偉大と認める仕事として取り組んでいます。

貴下の従順なる下僕 松崎より

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