私の愛しいアップルパイへ
以下でお話しした胸の引き裂かれる出来事が起こって以来、私はこれからの活動について、なかでも最重要たる音楽活動について大理石像のごとく冷徹になって考えねばなりませんでした。
そういうわけで長い間、私は蛇と鷲とともに山に篭っていたわけですが、ある日のこと、深い夜の空に消え入りそうな月から突如として我が胸に一閃の光か突き刺さったとき、私は時が満ちたのだと確信しました。
かくして、私はまずもってあなたへとこの手紙を書き記し、月の光によって明らかになった私が注力する音楽活動についてお話ししようと思うのです。
これからjMatsuzakiが注力する3つの音楽活動について
1.新ジャンル探求のための実験的な創作活動
かつて幼い私をゆりかごの中で包んでいたタオルケットのように、大事に大事に握りしめていたロックを手放したのは以下でお話しした通りです。
それ以来、私がすぐに手をつけ始めたのは私を満足させるようなグルメでエキサイティングな芸術運動を自らの手で完成させることでした。
それが実際にどのような音として結実することになるのかはまだ予想もつきませんが、それから数十年の命を捧げる覚悟で実験を続け探求していくつもりです。私はものごとの枠組みを捉え直して新しいものを作るのが得意な性分ですから、この活動はきっと私のために誂えたガラスの靴みたいにぴったりと収まるはずです。
かつて大恐慌下でアメリカの黒人たちが自由の雄叫びを奏でたJazz、その火花を受けて白人の若者が親世代への反発を奏でたRock & Roll、その熱量が海を渡ってイギリスで開花した個の力の強さを奏でたロック。
そしていま、私たちに本当に必要かつ必然性のある芸術運動とはなにかを一から丁寧に見直してみるつもりです。
まあ、慌てないでください。この実験活動はこの愛すべきブログで逐一報告していくつもりですから。
2.美学を構築して発信する活動
(1)と関連し、並行して行っていくつもりなのが自分なりの「美学」の構築です。
音楽に目覚めた10代半ばのころから、いままで息を吸うように学び、悩み、答えを考え続けてきたのが「美しいとはなんなのか?」「芸術とはなんなのか?」「音楽とはなんなのか?」といった美学の追求でした。
授業中、私が教科書の裏に隠して弁当の代わりに味わっていたのは美学でした。これを今一度腰を据えて取り組んでいきます。
また、いまほど「芸術が人間にとって必要不可欠な理由」が分かりづらい時代もありませんから、そのようなことについての啓蒙活動も行なっていくつもりです。
その第一歩となるのが先日告知しました「音楽の聴きかた教室」でした。告知後、即日満員になるなどニーズの高さに驚いています。計らずしも追い風ってやつです。
【残1席】2017/10/28 音楽の聴きかた教室〜音楽をもっと深く、美しく、楽しく聴く方法〜開催!限定5名のワンコイン・ワークショップ!
いまは美術史と音楽史をもう一度紐解いているところです。
ジャン・ジュネのように歪にひん曲がった美学になるのか、ハンスリックのように偏執狂的なものになるのか、ショーペンハウアーのように画一的で革新的なものになるのか分かりませんが、どんなものが生まれるか私自身楽しみです。
3.詩人としての活動
まったく新しい活動としてはじめるのが詩人としての活動です。5年前は考えもしませんでしたが、今では執筆は仕事の大半を占めているくらいで、言葉を使った表現の喜びを深く味わってきた五年間でした。また、5年以上もこうして文章を書き続け、今では1,500記事を超える記事を生み出してきたわけですから、これは我が才能の表れに違いないと確信もしました。
そこで、言葉を使った新しい表現活動はできないものかと考えた賢明なる私は、詩人としての活動を始めることにしました。
もともと我がソングのための歌詞はいくつも書いてはいましたが、幸か不幸か少なからずハンスリックの芸術美論に影響を受けた私は、いままで歌詞の創作について多分に消極的な態度をとってきたのです(ハンスリックは音楽における詩はノイズであると言い切り、当時ワーグナーを頂点として過度期を迎えた標題音楽を徹底的に攻撃した人物です)。
よく考えてみれば私にとってそれは実にもったいないということで、言葉を使った芸術表現のなかで最もピンときた詩人としての活動を始めることにしました。「歌詞」ではなく「詩」です。
いままで先人の詩を読みあさってインプットに徹していましたが、明日にでも詩を書き始めてみるつもりです。いつか遠くない未来に我が詩集をあなたにお見せできることが楽しみです。
jMatsuzakiのこれからの音楽活動についてはこの愛すべきブログで!
これらの新しい活動について、情報を収集するのが大変ではないかと不安になっているようですねハニーバニー。きっとそうだと思いましたので、これらの活動についてはこの愛すべきブログで逐一報告していく予定です。
ああ、あなたはきっと遠い空の下でしょうが、我が新しい門出に対するあなたの祝福の歌声が聴こえてくるようです。
カフェ・ゲルボワにて
貴下の従順なる下僕 松崎より