信頼関係を築くにはどうすればいいのか?それをビジネスに活かすにはどうすればいいのか?

カテゴリ: 仕事を楽しむ

私の愛しいアップルパイへ

蚊のように鋭く、シラミのように狡猾な私はあらゆる仕事の土台が「信頼」であることを確信しています。それはきっとあなたも同じでしょう。

ただ効率的にお金を稼ぐような働き方は終わりました。ただ所得を消費して幸せを得る時代ではないからです。組織においても、契約ではなく信頼でつながる関係が素晴らしい結果をもたらすようになってきています。

求められているのはお金より信頼なのです。お金は結果でしかありません。その原因は「信頼」!なんと甘美な響きでしょうか。

しかし、信頼とは定量的に測定できるものではありませんし、どうも雲をつかむような話になりがちです。どうすれば信頼関係を築き、それを仕事に活かせるのでしょうか?

これは私の大好きなテーマでもあるので、今宵はゆっくりと語り明かしましょう。

「信用」と「信頼」の違いとは?

まずもって知っておくべきは、信用と信頼の違いです。必要なのは信用ではなく信頼ですから、この2つの違いをまずもって整理しておきましょう。
アドラー心理学ではこの違いを端的に説明してくれます。

特定の実績、特定のスキル、特定の所有物によって相手を信じることは「信用」になります。例えば家を担保にお金を借りるのは信用してもらえたからです。
一方で「信頼」は特定の条件づけを持ちません。ただ「あなただから」という理由で信じてもらうことを「信頼」といいます。

ゆえに信頼はパワフルなのですが、特定の条件を持たないために信頼を築くのは難しく、霧か霞かを掴むかのような議論になりがちなのです。

「信頼」には人格が土台となる

「人と信頼関係を結ぶためにはどうすればいいのか?」

この一見して掴み所のない命題について考えるときに私が必ず参考にするのが夢見るリアリスト達のバイブル「7つの習慣」です。本書では人と信頼関係を結ぶための考え方が様々な切り口で書かれていて、悩んだときには教科書のようにして読んでいます。

本書で信頼についてまずもって語られるのが、信頼の土台として優れた「人格」が必要であることです。例えば、誠実であること。これは行動と言動を一致させることをいいます。それから、成熟していること。これは勇気と思いやりのバランスのことをいいます。

人間関係を築くときにもっとも大切なのは 、あなたが何を言うか 、どう行動するかではない 。あなたがどういう人間かということだ 。言葉や行動が 、あなたの内面の中心 (人格主義 )からではなく 、表面だけの人間関係のテクニック (個性主義 )から生まれていたら 、相手はすぐにその二面性を感じとる 。安易なテクニックでは 、効果的な相互依存に必要な土台を築き維持することなど絶対にできないのである。

「完訳 7つの習慣」第三部 公的成功

個人的な人格が育っていなければ、人と信頼関係を結ぶことは困難です。その人格を育むにはどうすればいいかは、「7つの習慣」の最初の3つの習慣で書かれていることになります。ここでは詳細は割愛します。

定期的に信頼残高を預け入れる

人格は信頼の土台です。では信頼関係を築くためには具体的に何をすればいいのでしょうか。ここで「7つの習慣」で謳われる革新的な概念が「信頼口座」と「信頼残高」です。

7つの習慣では、預金口座と同じように、人の心にも信頼に対する口座があり、その口座に定期的に信頼を“預け入れ“することで信頼関係を築くことができるといいます。

口座に預け入れた信頼残高が多ければ信頼関係は深まり、逆に不誠実な振る舞いをすれば信頼残高を引き出してしまうことになります。例えば、相手を操ろうとしたり、自分本位に解釈したりといった行為は信頼を引き出してしまうことにもつながるのです。

信頼に条件はありませんし、何をすれば良いという答えもありません。ただ、信頼残高への預け入れという概念を持つことで信頼関係を築く指針ができます。
日常生活の中で信頼を引き出す額よりも信頼を預け入れる額を多くするように努め、信頼残高を増やすことが必要になります。

信頼残高の主な六つの預け入れ

信頼が条件付けなしに相手を信じることである以上、何をすれば信頼残高への預け入れができると言うことはできません。しかし、信頼残高への預け入れにはある程度の指針はあります。

では、信頼残高を増やすための預け入れにはどのようなものがあるのでしょうか。7つの習慣では主な預け入れとして以下の六つが紹介されています。

なかでも7つの習慣で特に重要視されているのが1つ目の「相手を理解する」ことです。意外かもしれませんがこれは強力な信頼残高の預け入れとして機能します。

まず理解に徹し、そして理解される

上述した「相手を理解する」ことについては、7つの習慣では第五の習慣としても切り出されています。それは厳密にいうと第五の習慣とは「まず理解に徹し、そして理解される」習慣です。

自分のことを理解してほしいがために一方的に主張していても信頼残高の預け入れにはなりません。むしろ相手をないがしろにすることで信頼残高から引き出してしまうことにもつながります。自分が理解されるより先に、まず相手を理解しようとすることです。

つまり、相手に「共感」することです。コミュニケーションにおいては様々なレベルがありますが、相手のものの見方で世界を見ようとする「共感」は究極の預け入れとして機能します。7つの習慣の中でこの共感ベースのコミュニケーションは「相手に空気を送り込む行為」とも言われているほどです。

共感して聴くことができれば 、それ自体が大きな預け入れになるのだ 。相手に心理的な空気を送り込んで 、心を深く癒す力を持つのである 。

「完訳 7つの習慣」第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される

これが人と信頼関係を築く1つの鍵となるでしょう。

信頼残高への預け入れは一対一でなくとも機能する

ビジネスへの応用についても考えてみましょう。信頼残高への預け入れについて思考を広げてみます。

この習慣は一見すると一対一の会話の中で繰り広げられるものとして捉えがちです。しかし、必ずしも一対一のコミュニケーションでなくても実践は可能なところがポイントです。

例えば、書籍や映像やブログ記事、Twitterの投稿などで「私のことについて書いてくれているのか…!」と震えたことはないでしょうか。そんな人に出会ったときはきっとその著者の熱心な読者になるでしょう。

なぜなら、文章を通して「まるで自分のことを分かってくれているようだ」と感じたからです。これはまさに、「まず理解に徹し、そして理解される」習慣に他なりません。

このように、想定読者をイメージしてメッセージを発信することで出会うこともなく信頼残高を築くこともできます。これは情報発信の驚くべきパワーといえるでしょう。

「まるで自分のことを分かってくれているようだ」と感動した経験は誰しも一回はあるはずです。大好きな映画、大好きなブランド、大好きなカフェなどなど。これはビジネスを築く上でも信頼を築く第一原則として機能する習慣なのです。

ビジネスで信頼残高への預け入れを活かす「ゆっくり、いそげ」

「まず理解に徹し、そして理解される」に加えて、信頼残高の預け入れをビジネスに応用する方法について書かれた名著として「ゆっくり、いそげ」があります。

本書はカフェの経営者である影山知明さんが、お客様と信頼を築くことに重きを置いてカフェを成功へと導いた考え方がまとめられた極めて実践的な一冊です。信頼関係を土台としてビジネスを構築し、価格競争に巻き込まれない考え方が詰まっています。

この本の中でも特に私が革新的だと感じた法則が「不等号の取引をする」法則です。影山さんが言うには、お客様と信頼関係を築くときの原則は、金額とサービスとを“釣り合わせない“ことだといいます。

つまり、常に「サービス > 金額」という不等号のやり取りを維持するのだそうです。そうすることで、「この価格でこんなサービスを受けられるなんて!」という感動が信頼残高への預け入れとなり、後々になって金額の差額分を大きく超えるリターンとなって返ってくるのだそうです。

これはすべてのビジネスへ応用できる考え方ですし、顧客と直接って会話しなくても信頼関係を結ぶことができる原則の1つとして分かりやすいので気に入っています。

「お金を稼ぐより、信頼を稼げ」という考え方はビジネスの土台にもなります。今日はそのことについて私が考えていることを整理してみました。

貴下の従順なる下僕 松崎より

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