私の愛しいアップルパイへ
人生の多くの時間を占める仕事にはやはりこだわりたいところです。やはり私やあなたのようなエレガントな人間にとっては、エレガントな仕事がお似合いというものです。ブレヒトのアラバマ・ソングみたいにたった3ペニーために這いずり回るのは御免ってもんでしょう。
これまで私はこの愛すべきブログでも何度も働き方について取り上げてきました。今日は私が長らく幸せな働き方について考えてきて見出した、幸せに働くための第一配列についてお話しできれば幸いです。
それは、「何を?」を決めてから「誰と?」を決める倒立的な働き方をやめ、まず「誰と?」を決めてから次に「何を?」を決める働き方にシフトすることです。そして、そのためにオンライン・コミュニティは素晴らしい機能を果たしてくれるでしょう。
従来の就活の一番のリスクは人を選べないこと
さて、私の就職活動は決して成功とはいえませんでした。
会社はそこそこの規模であり、同僚や上司も決して悪い人たちではありませんでした。むしろ優秀な人たちばかりで、職場環境も良く、人事制度や就業規則も整っていて実に良好な会社でした。
しかし、良好こそが偉大の最大の敵であることは既に私たちが知っている通りです。
従来の就職活動の一番の問題は「何を?」を決めてから「誰と?」を決めなければならないことです。業界や業種、働く会社を決めてから、まったくの赤の他人と働かねばならず、しかもそのほとんどの場合に一緒に働くプロジェクトメンバーを選ぶことができないのです。
この順番の違いは極めて大きく、これこそ従来のやり方で働き方の幸福度が上がらない一番の理由でしょう。極端な話、劣悪な人間関係の中に無理やり放流されて、人生の数年を無駄にすることも珍しい話ではありません。
さらには、人間関係の悪化から精神的なバランスを崩し、精神的にも肉体的にも病んだ場合には数十年もしくは人生単位で悪影響を受ける可能性だってあります。まったくニコラス・ピレッジの人生にも劣らない実にリスキーな働き方です。
そして、この人間関係を後回しにした働き方が、結果的にプロジェクトの成功率や成果の上がらない根本的な原因になっていると感じています。
一緒に働きたい人を選ぶことから始める働き方
それではどうすればいいのでしょうか?
「どうやって?」
実に良い質問です。
「どうやって?」はこの世で最高の質問のうちの1つです。
誰と働くか?が働き方の最優先事項
求められているのは「何を?」を決めてから「誰と?」を決める倒立的な働き方をやめ、まず「誰と?」を決めてから次に「何を?」を決める働き方にシフトすることです。
何をするかを始めに決めた場合には、プロジェクトが失敗する度に仕切り直さなければなりません。人によってはそれが原因で数年のうちに何度も転職を繰り返すケースもあるでしょう。一方で、誰と一緒に働くかを先に決めておけば、途中で柔軟に軌道修正できます。
私自身、従来の働き方に違和感を覚え、会社から独立して小学生時代の親友とともに会社を立ち上げました。それから、先に一緒に働く人を決め、その後で一緒に働く対象を決めるという順序を頑なに守るようにしています。これは今の所素晴らしい結果をもたらしてくれています。
考えても見てください。働くうえで「尊敬できる仲間と一緒に働く」以上の報酬などあるでしょうか?
まず人と人が興味を持ってつながる
「何を?」ではなく「誰と?」を優先するために最重要となるのは、そういった尊敬できる人と出会える場所を持つことです。これまでの家族関係や友人関係で全てが補えそうであれば良いですが、大抵の場合はそうは行かないでしょう。
そこでお勧めしたいのはきちんと機能しているオンライン・コミュニティに所属してみることです。ここで私がいうきちんと機能しているオンライン・コミュニティとは、以下のような条件を備えているコミュニティのことです。
- 他人に対して偏った先入観がない
- 他人に純粋な好奇心を持てる人が多い
- メンバー同士が互いに尊敬しあい、強みを引き出し合えている
こういったコミュニティに属し、活動することは、将来に対する素晴らしい投資になります。
仕事やプロジェクトありきではない繋がり
オススメしたいオンライン・コミュニティの条件として大切なのは、プロジェクトありきのコミュニティではないということです。まず人と人がつながりあい、共鳴しあったメンバーが「このチームで何か一緒にやってみたい」と考えるに至り、自然とプロジェクトが立ち上がってくるのが理想です。そのため、特定の絞られた目的のためのコミュニティではなく、もっと幅広い視野を持ったコミュニティである必要があります。
また、そもそもコミュニティがそういった素敵な偶然と出会えるために、人と人とを繋げ、絆を深めるための多様なきっかけが提供される仕組みの整ったオンライン・コミュニティであることも重要です。
「この人たちとならどんな仕事でもできそう」と思えるような関係のチームができたら、あとはそれを具体的な仕事として形にしていくだけです。そうすれば、従来の働き方よりもずっと豊かで、自由で、結果のでる働き方ができるでしょう。
一点注意点としては、現状、世にある所謂オンライン・サロンと呼ばれるもののほとんどが、運営からの一方的な情報発信に依存し、横のつながりなどほとんどないものも多数あります。ですから、最初にきちんと機能しているオンライン・コミュニティを見極めることは大切です。
フリーランスの集まりでもなく、ギルドでもない
勘違いしていただきたくないのは、これは仕事ありきになりがちなフリーランスの集まりでもなく、また、プロジェクト単位で都度メンバーを集めるギルドと呼ばれるような形態のコミュニティとも違うということです。
あくまでコミュニティの核は純粋に他人への好奇心に基づくものであり、つい他の人ともっと繋がってみたいと思える場所であることが理想です。そして、何か一緒にやりたいという気持ちが繋がりの中から自然と芽生える場所が良いでしょう。そういった繋がりができるまでゆっくりと自分のペースで活動できる場所が良いです。
こういった場所に所属することは、働き方に根本的な革命を起こしてくれ、人生の大部分を占める仕事に決定的な転換をもたらしてくれます。
現状、オンライン・コミュニティに興味がない人や、ちょっとした暇つぶしのような使い方をしている人も多いですが、それは大変もったいないことです。
オンラインコミュニティを活用して働き方に革命を起こす
「何を?」ではなく「誰と?」から始める働き方は従来の倒立した働き方よりもずっと幸せな働き方へと人を導いてくれます。
そしてこれは結果的に素晴らしい成功ももたらしてくれるでしょう。凡庸な企業と偉大な企業との決定的な違いについて説いた名著「ビジョナリー・カンパニー 2」にもこう書かれています。
偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、まずはじめにバスの目的地を決め、つぎに目的地までの旅をともにする人びとをバスに乗せる方法をとったわけではない。まずはじめに、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうべきかを決めている。要するに、こう言ったのである。「このバスでどこに行くべきかは分からない。しかし、分かっていることもある。適切な人がバスに乗り、適切な人がそれぞれふさわしい席につき、不適切な人がバスから降りれば、素晴らしい場所に行く方法を決められるはずだ」
飛躍を導いた指導者は、三つの単純な真実を理解している。第一に、「何をすべきか」ではなく「だれを選ぶか」からはじめれば、環境の変化に適応しやすくなる。
第三章 だれをバスに乗せるか
オンライン・コミュニティでの活動はこのような働き方の革命に直接的な影響を与えると私は確信しています。実際、私自身もオンライン・コミュニティで繋がった勇敢なりしカウボーイたちと一緒に働く中でこの革命を体感してきました。
ちなみに、私が運営している「ライフエンジン」という働き方の変革を軸として運営しているオンライン・コミュニティがありますので、ご興味あればこちらもチェックしてみてください。
貴下の従順なる下僕 松崎より