私の愛しいアップルパイへ
私は私のデリケートな脳髄に刻まれた砂漠を出て最初に飲むワインのように尊い知恵を、Zettelkastenメソッドにもとづいて整理しています。
Zettelkastenメソッドはいくつかのルールが存在するのですが、今日はその中でもノートへのタグ付けルールについてお話することにしましょう。
なぜノートにタグをつけるのか?
Zettelkastenではノートの分類や階層分けを極力排除します。
ノートは作成段階で分類が明確になるものではなく、作成した後に時間の経過とともに徐々に分類が浮かび上がってくるものだからです。
また、知識のアップデートとともに分類は変容していくものです。分類によって構造を整理しメンテナンスし続けるのは現実的じゃありません。知恵をまとめたノートというものは、エントロピーの法則よろしくカオスを免れることはできません。
「エントロピーの法則」とは、端的にいえば秩序は成長とともに無秩序に移行するという法則です。エントロピーは原子や分子の「乱雑さの尺度」として用いられていたものですが、現在は秩序であったものが徐々に乱雑となり無秩序に向かっていく様子のことを俗に「エントロピーの法則」と呼ばれています。
そのため作成時や構造化にあたってノートを分類したり階層化したりしようとするのはナンセンスであり、ほとんど無駄な労力になりかねません。分類や階層に依存せず整理することが望ましいわけです。
そのためにZettelkastenではネットワーク構造でノートを整理することになります。
では、なぜノートにリンクとは別にタグをつける必要があるのでしょうか。リンクさえあればいちいちタグをつける必要などないのではないでしょうか。
有名なドイツのZettelkasten実践者であるSasha氏によれば、ノート間のリンク以外にノートを関連付け(階層分けや構造ノート、そしてタグ)する目的は分類ではなく”注文”にあると言います。1
Why do we introduce hierarchy in the first place? The short answer is: Order.
(そもそもなぜ階層を導入するのか?簡単に言うと 注文です。)
Zettelkastenではインターネットのそれのように互いにリンクし合いつながり合うことで知識のネットワークを構築します。その欠点の1つとして、どこから読み始めるかが自明ではない点があげられます。膨大なノートを前にすると、実際にはどこから読み始めてもよいのですが、どこから読み始めればよいか分からないという問題に直面します。
そこで解決策の1つとなるのがタグです。タグとしてキーワードを設定しておけば、あとで特定のことを考察したいときに読み始めるトリガとなります。つまり、Zettelkastenへ注文できるようになる。
ちなみに、Zettelkastenではノートに”注文”する別の手段としてFolgezettelとStructureZettelに解説した2とおりの方法があります。
ノートの順番によってノートに構造を持たせるFolgezettelと特殊なノートとして構造ノートを外部に作るStructureZettelの2とおりの方法です。
タグや構造ノートを作っておけば、Zettelkastenへの注文が容易になり、ナレッジノートをより効果的に活用できるようになるでしょう。
貴下の従順なる下僕 松崎より