私の愛しいアップルパイへ
素晴らしいことが起こった!
かの愛すべきjMatsuzaki株式会社のF太さんが新書を出版したのだ!
あなたもご存知の通り、私はこれまで数々の仕事術に関する書籍やビジネス書を読み、その中で発見してきたことをこの愛すべきブログで公開してきました。
私が読んだ数え切れないほどの本の中でも、本書は圧倒的に分かりやすい入門書でした。Cooooool!
本書にはADHDの診断を受けた著者が自信を持って仕事に前向きに取り組めるようになるまでに培った技術が凝縮された、新鮮なフルーツの果汁を搾り取ったジュースの如き一冊になっています。
同名の人気講座を書籍化しただけあって、内容は洗練されていて、分かりやすく、実践的でした。今日は私なりに本書を読んだ感想として、本書のオススメなポイントを整理していきましょう。
「仕事の基本」が分かる一冊
当たり前に仕事をして
毎日を平穏に過ごしていけること。「自分は、ここにいていいんだ」
と安心できること。この本はそのためのスタートラインです。
「CHAPTER1 仕事の基本」より抜粋
ビジネスの場では「仕事の基本」という言葉が便利に使われている節があります。私が新卒で就職した会社でも定期的に「あいつは仕事の基本がなってない」などと発言する先輩社員や管理職を目にしました。
問題は、言う側も言われている側も誰も「仕事の基本」がなんたるかを理解していない点です。
にも関わらず、仕事の基本がなってないとレッテル貼りされた者は自信を喪失し、噂が広まって他人からの評価も下がり、過度なプレッシャーからミスが増え、ダメージも増え、本当に仕事の基本すらできなくなっていく負のスパイラルが存在します。ジーザス!
本書ではその皆が思い描いている(しかし皆曖昧にしか理解していない)「仕事の基本」なるものが、手順書を作るというメソッドを軸に見事に言語化されています。
OJTで誰もが教わっておくべきことが詰まっていて、新入社員には特に有用な一冊になっています。
「あの件どうなった?」に答えられるようになる
しかし、手順書をつくっておくだけで「上司の質問に即答できる人」に。
そして何より、「いつどんな質問があっても、ここを見れば大丈夫」という安心感を覚えながら、仕事ができるようになりました。
「CHAPTER2 段取りが苦手」より抜粋
本書では、手順書を作ることの重要性を中心に展開しつつ、数々のテクニックが収録されたまさに図鑑といえる一冊に仕上がっています。
中でも、特に私が有用だと感じた点は「あの件どうなった?」という質問に即答できるようになる点でした。
どんな仕事にも手順書を作って見通しを立てておく癖をつけ、自分が実行すべきものとそうでないものを分別し、ネクストアクションを明確にすることで、それを可能としています。
仕事場では先輩社員や上司から「あの件どうなった?」と聞かれることがあると思います。これは純粋に仕事の進捗を知りたい時もあるでしょうが、それ以上に仕事の段取りがきちんとできているかをテストされている側面があります。仕事を任せられる人材かのチェックをされているわけです。
どんな時でも「あの件どうなった?」という質問に回答できるようになることは、この抜き打ちテストに合格できるようになることを示しています。これは職場での評価にも大きく影響を与えることになるでしょう。
仕事に慣れた後も初心を取り戻せる
仕事がうまくいかない……と感じたときは
この「手順書を書く」に立ち返ってみてください。これがすべての仕事の基本です。
自信を持って出社し、
やり切った感とともに退社できるように、
ぜひやってみてください。「CHAPTER1 仕事の基本」より抜粋
ここまで聞くと新入社員向けの本であり、ベテランには用のない本なのかというとそんなことはありません。基本に立ち戻るという点で誰にでもパワフルに機能する一冊になっています。
例えば、現場の作業員から管理職に昇格するなどして、以前は専門知識と技術でどうにかカバーできていた部分が急に使えなくなってしまった場合など、キャリアプランの中で仕事の基本に立ち返るべき場面は多くあります。
その他にも、部署移動になって急に「仕事の基本がなってない」などという<CENSORED>なレッテルを貼られて困っていたり、職級が上がって仕事量が急激に上がってこれまでの仕事のやり方が通用しなくなってきた時など、ベテランになってからでも有効に機能するメソッドが多々あります。
また、仕事に慣れてくるとつい基本がなおざりになってしまうことがあります。つい手順を作成したり、テンプレートを作成したりすることをサボってしまいがちです。そういった時にも、本書は初心を思い出すために有効に機能するでしょう。
しんどい時に回復する方法がまとまっている
人間のメンタルはまるで筋肉のように、負荷がかかるとさらにたくましく成長する、と私は思っています。
「鋼のメンタルにならなければ!」と考える必要はありませんが、落ち込んでいるときには「今はメンタルが成長しているんだ」と、自分を信じてゆっくり回復を待ってあげてください。
「CHAPTER9 メンタルが弱い」より抜粋
本書をユニークなものとしている点の1つは、仕事に取り組むための実践的な手法だけでなく、後半はメンタルとの向き合い方についても充実している点です。
仕事を段取りよく進める上では、やる気がない時や不調な時や、メンタル的に厳しい状況をどう乗り越えるかといった手法も必要不可欠です。
例えば本書では、人前で怒られた時や、雑音が気になってしまう時、いつも仕事が心配で気が休まらない時、トラブルでテンパっている時の対処法などについても言及されています。
多くの仕事術に関する本では、そもそもしんどい状況に陥らないようにするための予防策にフォーカスが当たりがちです。しかし本書では、誰もが時期によってはしんどい状態に陥ることは避けられないとある意味で割り切って、むしろしんどい状態から回復する方法について充実させているのが印象的でした。
私自身、約10年前に仕事でうまくいかずに自信を喪失し、パソコンの電源ボタンをどうしても押すことができず何日も自宅でウンウンと葛藤していたことがあります。あのときの自分に届けたい一冊に出会えた満足感に包まれた一冊でした。ヴンダバー!
ダメで良い、できなくて良い
しかし、「強いメンタルを鍛えるべき」と考えるのは危険です。
(中略)
「そんな自分はダメだ」「強くあらねば」
と考えてしまうと際限ない自己否定のループに入ってしまい、うつ一直線になりかねません。
豆腐メンタルを肯定しましょう。
「CHAPTER9 メンタルが弱い」より抜粋
本書は全体を通して「ダメで良い、できなくて良い」というメッセージが込められていると感じました。これは著者のお二人が自分のダメなところを受け入れながらも、後天的に身に付けた知識と技術でどうにか壁を乗り越えた経験から来ているのでしょう。
あるがままの自分のダメなところを受け入れながら、それを知識と技術でカバーする方法を教えてくれ、むしろあるがままの自分にしかない才能を活かせるようになる。全体を通してそんな一冊に仕上がっているのではないでしょうか。
新入社員など仕事の基本を知りたい方はもちろんのこと、ベテランの方にもオススメできる仕事術の本になっていると思います。Greeeeeat!
貴下の従順なる下僕 松崎より