【ネタバレなし】世界一好きな映画「パルプ・フィクション」を全力で紹介します

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私の愛しいアップルパイへ

私はトラヴィスに憧れてタクシー・ドライバーになろうとしたり、フェルディナンの影響で顔にペンキを塗ったうえにダイナマイトを巻きつけようとしたりするくらい根っからの映画好きです。

そんな私がいままで観てきたすべての映画のなかで、頂点に君臨するのが1994年公開のクエンティン・タランティーノ監督作品「パルプ・フィクション」です。今後、この映画を超える作品に出会えることはないでしょう。私はこの映画を数えきれないくらい観ました。

え、まだ観てないですって?それはいけない、パルプ・フィクションを全力で紹介しますから、この記事を読んだらすぐにDVDをレンタルしにいっていただきたい。

長編2作目にしてアカデミー賞を受賞したクエンティン・タランティーノ監督

もともとビデオショップの店員であり、映画マニアだったクエンティン・タランティーノ監督は、ハリウッドのパーティーに参加したのをきっかけに脚本を書き始めました。それが22歳の頃です。それから6年後、アメリカの名優ハーヴェイ・カイテルに認められて、29歳となる1992年に長編映画「レザボア・ドッグス」の脚本家&映画監督として本格的にデビューしました。

「レザボア・ドッグス」は低予算ながらも新人の脚本家&映画監督とは思えないクオリティの作品に仕上がりみごとにヒット。いまでもカルト的な人気があります。

それから2年後となる1994年。クエンティン・タランティーノ監督にとって2作目の長編映画作品としてパルプ・フィクションが作られました。

パルプ・フィクションは1994年のアカデミー賞で7部門にノミネートされ、そのうち脚本賞を受賞しました。カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールを受賞しました。

パルプ・フィクションの内容を一言でいうと低俗なギャング映画といえるでしょう。そんな映画がアカデミー賞やカンヌ国際映画祭で賞をとるなんて異例中の異例といえます。実際、パルム・ドール授賞式では観客席から「納得できない!」という叫び声があがったそうです。

では、一見すれば低俗なギャング映画でしかないこのパルプ・フィクションが、なぜ他の映画と一線を画す最高の映画なのかを説明しましょう。

世界一好きな映画「パルプ・フィクション」を全力で紹介します

映画の魅力がパルプ・フィクションに詰まっている

パルプ・フィクションがどういう映画かは、そのタイトルによく現れています。「パルプ・フィクション」というのは、パルプ紙(紙の質の悪い低俗な雑誌のことを指す)に掲載されたフィクション小説のことをいいます。

どういうことかというと、この映画が低俗でくだらない話であることを意味しているということです。パルプ・フィクションが大げさなメッセージ性を持たない低俗なギャング映画であることを皮肉っぽくタイトルで言い表しているわけです。

では、特にメッセージ性を持たないパルプ・フィクションが描いているのは何でしょうか。それは、群集劇です。登場人物の1人1人が自在に行動することで生まれる上質な群集劇です。ベタな予定調和のない、ほんものの群集劇です。

どれとはいいませんが、映画のなかには大上段にかまえて仰々しいメッセージをこれでもかと伝えようとしてくる作品があります。それが「深い」とか「すごい映画だ」なんていわれて高く評価されたりするわけです。

しかし、映画というものの本質を考えればメッセージ性よりも人間の仕草や会話、人間同志のやりとりこそが映画を彩る最重要な要素でしょう。人間そのものを使って表現できる芸術は映画以外にはないのですから。メッセージ性など、哲学にでも任せておけばいいのです。

そういう意味で、パルプ・フィクションはメッセージ性を徹底的に省いて「低俗でくだらない話」に終始することで、映画の本当の面白さを思い出させてくれる”ほんもの”の映画といえるでしょう。

魅力的なキャラクターが自在に動きまわる群集劇

先ほどお話したとおり、パルプ・フィクションは上質な群集劇です。登場人物の1人1人が本当に生命を吹きこまれたかのように自在に動きまわります。だからこそリアリティがあるのです。

本当の人生というのは、教科書通りに作られたハリウッド映画みたいに予定調和で表現できるようなものではありません。人はもっと無駄な話をするし、的はずれな意見もいうし、関係ない噂話もするし、誰が良くて誰が悪いかは曖昧だし、結末らしい結末だって存在しないでしょう。パルプ・フィクションはそれを映画をとおしてみごとに表現しているといえます。

パルプ・フィクションでは、物語のブロックごとに中心人物が変わります。映画全体をとおしてこれが主人公といえる人物はいません。1人1人がみな主人公なのです。

登場人物の会話の1つ1つが味わい深くてキャラクターを引き立たせています。服装も、立ち振る舞いも、間の悪さも、失敗する姿も、どのシーンを切り取ってもイカしてるんです。映画を観ている間じゅうずっとにやにやしてしまう映画です。

渋いスターの胸が熱くなる共演

キャスティングも最高です。クエンティン・タランティーノ監督が映画マニアだっただけあって、配役のツボをおさえています。

メインキャストはギャング役にジョン・トラボルタとサミュエル・L・ジャクソン。ギャングのボスの妻にユマ・サーマン。ギャングに追われる役はブルース・ウィリスとティム・ロスなどなど。実に渋い配役です。

脇役にもハーヴェイ・カイテル、クリストファー・ウォーケン、スティーヴ・ブシェミ、アマンダ・プラマー、そしてクエンティン・タランティーノとグッとくる配役です。

いずれも他の映画では主演に抜擢されている俳優ばかりですから、豪華スター同士の演技対決もパルプ・フィクションの楽しみの1です。

細部まで散りばめられたファン心をくすぐる設定

パルプ・フィクションには映画のなかでは明かされない裏設定がそこかしこに散りばめられています。

主人公の使っている財布のデザインや、レザボア・ドッグスとの意外なつながりや、映画のなかでは移されないスーツケースの中身や、登場人物のセリフの引用元など、本当に細かいところまでファン心をくすぐる設定が散りばめられています。

昔、ブレアウィッチ・プロジェクトが映画内に残した様々な謎を映画以外のプロモーションに活用することで大成功を収めましたが、パルプ・フィクションにもそれに近いものがあります。

裏設定を読み解いていくと、もう一度パルプ・フィクションを観たくなります。このように、何度も観たくなるような細部のこだわりがパルプ・フィクションを名作とした1つの理由でしょう。

こだわりぬいた音楽の選曲も最高

私は大抵の映画音楽が無音時間を埋める程度の役割しか与えられていないことに胸を痛めていますが、パルプ・フィクションはそうではありません。

パルプ・フィクションで使われている音楽は、音楽にも並々ならぬこだわりをみせるクエンティン・タランティーノ監督自身が選曲した構成になっています。Dick DaleのMisirlouはパルプ・フィクションをきっかけにリバイバルヒットとなり、他の様々な作品やCMでもこぞって使われるようになったので知っている人も多いはずです。

Misirloをはじめ、オールディーズを中心に構成されるBGMはみごとに映画とマッチしています。映画の醸し出す「低俗なギャング映画」感を良い感じに助長していて、素晴らしい相乗効果を挙げています。

▼私は映画だけでなく、パルプ・フィクションのサウンド・トラックももう数えきれないほど聴き込んでいます。

▼ちなみに、クエンティン・タランティーノ監督作品に使われた楽曲のベスト盤も存在します。このアルバムも最高です。

すべてが馬鹿馬鹿しくて格好いい!

パルプ・フィクションを観た感想を一言でいうなら、すべてが馬鹿馬鹿しくて格好いいというところでしょう。人間同士の絡みやそこから生まれる空気づくりに重きを置いた群集劇としては、パルプ・フィクションは群を抜いています。自在に生きる登場人物の1人1人に美を感じるでしょう。

あなたもきっと最初の5分でパルプ・フィクションの世界に引き込まれるはずです。もし引き込まれなかったなら不感症の疑いがあるのでカウンセリングを受けられることをおすすめします。

▼タランティーノ監督作品をすべてまとめた記事も書きました。タランティーノ監督に興味を持ったなら、こちらもどうぞ。

(追記)新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」日本中!

さらに現在はタランティーノ監督の長編9作目となる新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(原題:Once Upon a Time in Hollywood)が公開されました

しかも本作はタランティーノ監督本人へのインタビューで今までで一番「パルプフィクション」に近い作品と謳っていることもあり、期待が高まります。

今回も映画ファン歓喜の骨太な一本になりそうですので楽しみです。

▼以下の記事に映画が公開されたら100%楽しめるよう事前知識をまとめましたのでご覧ください。

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貴下の従順なる下僕 松崎より

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