夢見るリアリストの葛藤~独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(4)~

Life

私の愛しいアップルパイへ

なるほど、確かにサラリーマン時代は”時間の切り売り”を助長するようなシステムの上に居ましたし、仕事内容が自分の本意では無いという”安全領域”に甘えていたということも自覚しました。

それでも「お金を稼ぐのが怖い」だなんて、まだ受け入れる気にはなれませんでした。この恐怖を否定する切り札がまだあったからです。

、、、

今日ほどエントリーを書く手が止まったときはありません。この連載が奇しくも不吉の”4”であるということも、きっと無関係ではないでしょう。

▼連載記事一覧
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(1)
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(2)
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(3)
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(4)
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(5)
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(6)

1年間続けてきたjMatsuzakiは何だったのか?

私が奇妙だと思っていた点はまだありました。2011年8月1日から1年以上も続けてきたこの「jMatsuzaki」の活動についてです。全ては個人の活動によるものであり、企業を盾にすることは出来ない活動です。

あなたが今見ているこのログ自体はフリーのメディアです。しかし、それと並行してセミナーやワークショップなどのオフイベントについても力を入れて取り組んできた実績があります。今年の春から20以上のイベントに携わり、そのほとんどで講演してきました。

私がこの「jMatsuzaki」で言い続けて来たことを、いつも以上に熱っぽく、情熱的に、我武者羅に叫び続けて来たんです。あなただってご存知でしょう。短時間のものもあったとは言え、多い時には週に4回も講演して回ったんです。その中に無料のイベントは1つとしてありませんでした。

会社を辞めたところで活動内容自体に大きな変更はありません。単独セミナーはどう考えたって今までの活動の延長上にあるものです。「お金を稼ぐのが怖い?」。今さらいったい何だというのでしょうか。私の舌が二枚あるとでも言うのでしょうか。

それで、私の本心は何て回答したと思いますか?

「否!」でした。

私がいかにして「本心」を欺いて来たか?

ここからの話は、、、まったく気が乗らないのですが、、、あなたに隠しても仕方ありません。せめてあなたにだけは真実を告白することにします。私がいかにして蚊の様に狡猾に”お金を稼ぐ恐怖”から逃げ回って来たかです。私自身すら欺くことのできた真実です。

第一に、全てのイベントは数名~十数名のチームによって構成されており、別々の役割を持った複数の人間によって運営されていました活動を効率化するためのこのチーム活動は、私の「本心」を欺くために大きく貢献しました。”お金を稼ぐ恐怖”は(私が耐えられる程度には)分散されていたわけです。

第二に、イベントは少なくともの私にとっては”非営利目的”でした。目的は私の話を聴いてもらうことであり、収益なんて二の次でした。これは恐怖から逃げてまわるために非常に聞き心地の良い言い訳でした。

そして、、、第三に、システム屋という職がありながらの活動でした。私には、、、限られた時間と労力の中で「ベストを尽くした」という”安全領域”があったのです。

最も重要な問いに対する回答

私はずっと価値ある話ができる人間だという漠然とした自信を持っていました。しかし、”お金を稼ぐ恐怖”に抗うための最も重要な問いに対して、私は真摯で明快な回答を準備できていなかったのです。

「今、私はあなたに何ができるのか?」

私の価値を問うこの最も重要な問いに対し、私はずっと見当外れの回答をしてきたのだと自覚しました。

「私はできるだけのことをやった」

私はいつか、勇気を持ってこう反論しなければならなかったのです。

「So What?」(だからなに?)

ふりだしに戻る

ここまで来て、ようやく「お金を稼ぐのが怖い」という私の本心の主張がまっとうであることを理解しました。そして正面から向き合うことに決めました。もはや「やるかやらないか?」の問題では無いということは明らかでした。「ふりだし」に戻った。率直にそう思いました。まるで、この愛すべきブログを始める前のようでした。あなたと出会う前のようでした。いったい何をすべきか分からずにマンションの片隅で悶々としていたあの頃です。

これがだいたい1ヶ月前の状況です。ドクダミの恐怖が一歩一歩近づいているという感覚が強烈な”焦り”を生み始めましたが、それでも私の本心による指示は「待て!」でした。

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貴下の従順なる下僕 松崎より

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独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(2)
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独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(6)

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。