新卒で中堅企業に就職して大失敗した13年前の私に向けて言いたい10のアドバイス

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私の愛しいアップルパイへ

正直に告白します。大理石像のごとく冷徹に振り返れば、新卒でおこなった私の就職活動は失敗でした。

新卒で就職した会社は所謂「中堅企業」でした。中堅企業の定義は難しいところですが、誰でも知っているトヨタ、ソニー、NTTといった大企業ではなく、中小企業基本法で定められた中小企業でもない企業が中堅企業となります。

中小企業は明確に法で定義されていませんが、例えば以下のような定義が中堅企業と言われています。

  • 資本金が1億円以上〜10億円未満
  • 年商が10億円以上〜1000億円未満

私が入社した会社は社員が2000人以上いるそこそこ規模の大きな金融系のシステム会社で、給料や待遇にも特に不満はありませんでした。人事の評価制度も悪くなかったと思います。売上高も私が入社した2006年で400億円程度ありました。

一時期から大企業ばかりでなく、このような中堅企業や一部の中小企業も就職活動では人気の就職先となりました。それに今は私も数年前に会社を設立して、会社を経営しています。会社経営というのは思っていたよりもずっと難しいことで、私の入社した会社は、今考えてみても、売上や経営も非常に安定した会社でした。

当時は親や友人、専門学校の教師の話を聞きながら現実的な選択肢のなかでCooooool!な選択をしたと思っていたのですが、今にして思えばあのときの考え方は大きく方向性を誤っていたと確信しています。

端的に言えば、私は好きなことより安定を求めて大失敗したのです。結局、6年半でこの会社を辞めて脱サラしました。

はじめて就職活動を行った13年前の私に向けてなにか言いたいことがあるか?ですか。そりゃあ、山ほどありますよ。

新卒で中堅企業に就職して失敗した13年前の私に向けて言いたい10のアドバイス

おお、jMatsuzaki!若かりしjMatsuzaki!20歳のjMatsuzakiよ!

こんなところで会えるとは奇遇だな。なんだ浮かない顔してるじゃねぇか。いまの俺より老けてみえるぜ。どうせ就職活動で悩んでるんだろ?なぁに、貴様の悩みごとはすべてお見通しよ。いいだろう、人生の先輩として俺がアドバイスしてやる。そのままじゃ貴様は不幸に向けて真っ逆さまだからな!ハッハー!

1.得意なことより好きなことを優先しろ!

最初に一番重要なことを言うぞ。よく聞け。一番やっちゃいけねぇのはな、貴様が最も好きだと思えることを、心からやりたいと思えることを、仕事にしようと”しない”ことだ。

そりゃあ大嫌いなことを仕事にしようとは誰も思わねぇだろう。一番危険なのはな、好きなことじゃなくて得意なことを仕事にしちまうことさ。「最良」を無視して、単に「良」を優先しちまうようなもんだ。これが一番陥りがちで一番危ねぇ罠なんだ。

貴様はITが得意なんだろ。IT系ならそれなりに結果が出せそうだし、それなりに不満なく続けられそうなんだろ。だからその道に進もうって考えてんだろ。なんて馬鹿野郎なんだ!本当は音楽のほうがずっと好きなくせに!

2.好きなことで食えないはずなんてない!

好きなことを仕事にしようって言うとな、外野どもはこう言うんだ。「そんなうまい話はない!」「リスクが高すぎる!」「貴様には無理だ!」「悪魔の言葉は甘いんだ!」ってな。これは巧妙な嘘だ。好きなことを妥協しちまった老いぼれどもの嫉妬なんだ。自分と同じ失敗をさせたくて脅してんのさ。

想像してみろ。好きなことで食う方法はな、実際は無限にある。あとは貴様がどれを選択していくかってだけの問題だ。これは理想の話じゃねぇぞ。現実の話だ。

コツはな、好きなことと、それを仕事にする方法を分けて考えることだ。好きなことは1つでも、それを仕事にする方法は無限にあるだろ。何をするかと、どう提供するかは別なんだ。だからな「好きなことで食えるはずない!」なんて勝手に根拠もなく思い込んでるんじゃねぇ!

3.好きなことは内面からあぶり出せ!

まさか実は自分が本当に好きなことがなんなのか分からないなんてことはねぇよな。そういう奴はたくさんいるんだ。奴らはこれから就職しようって段になって、自分が本当に好きなことが分からなくなって、本を読んでみようとか、人の話を聞いてみようとか、最初は適当に就職して経験を積もうなんて言いはじめる。こういう奴らをなんていうか教えてやろう。「阿呆」だ。

いいか、好きなことを探そうと思ったら、貴様の内部を掘り起こす以外に方法はねぇぞ。自分の外部を探しにいっても絶対に見つからねぇ。貴様自身の人生を歩んでるのは貴様自身だけなんだからな。

自分の内部を掘り起こすのは面倒だし退屈だろう。自分のことなんてとっくに分かってると勘違いしてるからだ。だからいつまでたっても好きなことが見つからねぇんだ!

4.カッコイイと思える奴からアドバイスしてもらえ!

経験のないことは先人に聞けってな。そりゃあ賢い選択だ。ただし、話を聞きにいく奴を間違えなければだ。

単に就職を経験したってだけの奴なら話を聞く価値なんてねぇぞ。学校の先輩だろうが、学校の就職相談室だろうが、家族だろうがな。

大切なのは貴様が心からカッコイイと思えるやつからアドバスをもらえってことだ。カッコイイと思えないやつのアドバイスを聞いたって時間の無駄だ。誰の話を聞きたいか、貴様が選べ!

5.社員数や月給や福利厚生で会社を選ぶな!

貴様の手元に数々の会社情報があるだろう。学校に張り出された紙っぺらもたくさんある。パソコンを開けばそれこそ無限だ。

そこに何が書いてあるか言ってみろ。社員数、月給、福利厚生、あとは現役社員が誰も目を通してねぇような張りぼての企業理念が並べてあるだけだ。

そんなもんは会社を選ぶうえじゃなんの基準にもならねぇ。そんなちっぽけで些細な要素で左右されるようならな、その仕事は貴様に合わねぇってことなんだよ!

6.社員かどうかなんてどうだっていい!

前から聞きたかったんだけどよ、なんで社員の募集ばっかり見てやがるんだ?社員になったら飴玉でも貰えるのか?頭でも撫でてもらえるのか?

普通はバイトのほうがずっと勤務時間が厳密だぜ。派遣なら経験できる幅が広がるかもしれねぇ。パラレルキャリアを積もうと持ったらその方がずっと良いときだってある。

クソの役にもたたねぇ常識だとか空気感だとかに囚われるんじゃねぇ。先入観なく、貴様が目指す理想の世界を実現するために一番効果的な方法を考えろ!

7.会社に終身雇用なんて求めるな!

いま貴様が抱えている不安のなかで最も大きくて、最も馬鹿げた不安がなにかを教えてやろうか。それはな、「この会社でずっと働けるだろうか?」だ。マヌケが。

コツコツ貯金ためて、コツコツ昇進して、マイカーを手にして、でかいプロジェクトを成功させて、盛大な結婚式あげて、念願のマイホームを建てて、子供を2人もうけて、頑張って部長目指して、上からも下からも突かれて、しわくちゃなスーツで帰るわけだ。教えてくれ。いったいその人生のどこに魅力があるんだ?もったいねぇ。

世界は広いし、貴様の可能性は青天井だ。まともな頭で考えればな、終身雇用なんてこっちから願い下げなんだよ!

8.体裁も見栄もクソ食らえだ!

だいたいな、社員数だの月給だの勤続年数だの昇進制度だのを気にしてる理由はなんだ?

それはな、他人の目に振り回されてるからだ。親はどう思うだろう?友達はどう思うだろう?教師はどう思うだろう?同級生はどう思うだろう?恋人はどう思うだろう?他人はどう思うだろう?ってな。ずぶ濡れのプードルみてぇにビクついてやがる。かわい子ぶって、つまらねぇ野郎だ。

結局、まだまだガキの思考なんだよ。自分の人生を背負う覚悟ができてねぇガキだ。いいか、俺が勇気をだして真実を教えてやる。体裁も見栄もクソ食らえだ!他人を満足させるために生きるのを今すぐ止めろ!

9.ヴィジョンに共鳴できる会社を選べ!

貴様はいま現実的な選択肢の中で一生懸命マシな選択肢を探してるつもりなんだろ。狡猾ぶって、少しでも後悔しないように、小さな妥協を1つ1つ積み上げてやがる。そうして、失敗しないようにして成功からも遠ざかってやがる。道化師より滑稽な野郎だ。

じゃあどう選べばいいかって?もっと単純で確実な方法があるぞ。

貴様が実現しようとしてる理想の世界と同じ世界をな、すでに実現しようとしてる会社を選べよ。見せかけだけじゃなくって、本当の意味でヴィジョンに共鳴できる会社をな!

10.仕事と遊びを分けて考えるな!

休日は多い方が良いと思ってるんだろ。週休2日は当たり前、祝日だって欲しいし、有給も自由に取りたいし、毎週水曜日が休みだったら最高だなんてヨダレを垂らして考えてやがる。

それじゃあな、金も時間もずっと貧しいままだぞ。金は遊びに消えてくし、時間なんてまったく増えねぇ。しかもずっと後悔する羽目になる。「小学生の頃は楽しかった。中学生の頃は楽しかった」ってな。

そうなるのが嫌だったら「仕事」と「遊び」なんて考えるんじゃねぇ。「仕事」を「遊び」にする方法を考えろ。仕事をな、いまから死ぬまでずっと続けていたいと思える「遊び」にするんだ!

なにかを我慢している限り、成功も幸福もない

私が失敗した原因は、我慢した先に報いがあると思っていたことです。だから好きなことがあってもそれを我慢して、他人が求めてそうな手近なことをやろうとしたのです。我慢した分だけ得られるものがあると勘違いしていたからです。

実際には正しい方向は逆でした。なにかを我慢している限り人は自分の全力を発揮することができず、結果的に成功も幸福も遠のいてしまうのです。これは誰にとってもメリットのない生き方です。

ベンジャミン・フランクリンの言うとおり、「日陰の日時計」に価値はないのですから。

貴下の従順なる下僕 松崎より

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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。