私の愛しいアップルパイへ
ご存知の通り、2015年11月から「ライフエンジン」というオンラインコミュニティを運営しています。
あの記念すべき日から時がたち、運営も3年目に入りました。最初は直接オフラインの立ち上げイベントに参加してくれた人しか参加できないクローズドなコミュニティとして始まったので、当初は参加者20名程度でしたが、今では130名以上が参加するコミュニティに成長しました。
最初こそオンラインコミュニティは立ち上げたときだけ盛り上がって、すぐにゴーストタウン化してしまうのではないか?といった不安があったのですが、今でもどんどん興味深いコミュニティへと変化を遂げていて、実に面白いです。これは嬉しい誤算でした。
その面白さの1つは、これまでライフエンジンが2年と少しかけて変化し続けてきたプロセスの中にあると感じています。
これまでのライフエンジンの進化の歴史
1年目:セルフマネジメント・スクール時代
2年ほど前、「ライフエンジン」を始めた当初考えていたのは、私が得意とするセルフマネジメントを対話的にレクチャーできるオンラインスクール的な場所を作ることでした。実際、当初はそのように機能していたのですが、すぐにコミュニティとしての面白さは別のところにあると気づきました。
つまり、オンライン・スクールの形式は本質的にはブログやメルマガの延長線上にある情報発信型のサービスに過ぎず、それは現在ほとんどのオンラインサロンがそうなっているのですが、それだけでは夢想家たる私は満足できなくなってきたのです。
それからオンライン・コミュニティならではの形を模索する日々が始まりました。
2年目:コミュニケーションの活性化時代
そこからの当然の帰結として、オンラインコミュニティの面白さは参加者同士のコミュニケーションから生まれる偶然のパワー(=セレンディピティ)にあると結論づけました。これは本質的に上述したブログやメルマガの延長線上にある情報発信型のサービスとは矛盾する方向性にあることに気がつきました。
つまり、講師的な役割を持った人物からの情報発信をメインコンテンツにしようとすると参加者同士の雑談がどうしても抑圧されがちになるです。しかし、学校の休み時間のような空気感で何の気なしに起こる雑談の中にこそパワフルな偶然が潜んでいるものでしょう。そこで、次の段階では運営からの一方的な情報発信と、過剰なマネジメントやルール決め極力減らす努力が必要になりました。
それから運営陣は、参加者同士が自然に、自分の発見やパーソナリティなどを自由に気軽に投稿できる空気感を醸成するよう裏方に徹することにしに、雑談から生まれるコミュニケーションと、それによる絆によってコミュニティとしての価値をあげることへと舵を切りはじめました。
運営陣もコミュニティに価値を提供する講師的な立ち位置ではなく、あくまでコミュニティの参加者として振る舞うよう徹しました。
元来、群れることを避けてワイルドサイドを歩くことをルー・リードに習った私としては、これは特に苦手な取り組みでもあり、多くの試行錯誤を必要ともしました。しかし、共同運営者たちとの連携と努力が実ってこの取り組みは概ね成功しました。
3年目:仕事・経済圏の創造時代
しかし、いつでも1つハードルを超えれば次のハードルがやってくるものです。上述した施策は概ねうまくいきましたが、次は「仲良くなって…で、どうするの?」という課題と向き合う必要がありました。
つまり、根っからの夢想家である貪欲なる私たちは「ただの馴れ合いではない」コミュニティを模索する段階に入ったのです。
そこで私たちが取り組んだのは「働き方」にフォーカスすることでした。あらゆる面で(つまり、有形資産の面でも無形資産の面でも)終身雇用の神話が崩れた今、コミュニティの意義とは自分だけ新しい働き方をデザインする上でパワフルな効果を発揮することだろうと結論づけたのです。
実際、会社を辞めて独立して5年が経った私は、特定の会社に依存しないからこそ自分のチームを持つことの重要性を沁みて感じていましたし、すでにライフエンジニア(ライフエンジンのメンバーを我々は独自にそう呼んでいます)の中にもそういったニーズがあることを感じていましたから、直感的に「これだ!」という確信がありました。
このとき、以前読んだリンダ・グラッドン氏のWORK SHIFT(ワーク・シフト)が素晴らしい教科書として機能してくれました。私はもう一度WORK SHIFTを隅々まで読み込み直し、新しい働き方を形成する上で人生の糧となるコミュニティのあり方と、それを実現する方法について大理石像のごとく冷徹になって考えました。WORK SHIFTはいまライフエンジンのなかである種のOSとして機能してくれています。
ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>[Kindle版]
現在、この試みは試行錯誤の真っ只中ですが、すでに面白い実績が生まれ始めています。
例えば、ライフエンジニア同士でコラボレーションが多発しています。共同メディアを立ち上げてみたり、共同でWebサービスを作ってみたり、情報発信に注力しているライフエンジニアのアイコン作成を、イラストレーターとして活動するライフエンジニアが作成したり。
ライフエンジンには学生もいれば経営者もおり、フリーランスとして働く人もいれば本業の傍で自分の事業を築いている人もおり、地方在住の人もノマドな人も海外在住の人もおり、多様性のあるカウボーイが集まっています。そういった中で、すでにライフエンジニアがマーケットに提供中の仕事に対して、新メンバーとしてライフエンジンで繋がったメンバーを迎える動きもあります。
また、直接コラボレーションがなくともライフエンジニア同士を支援する動きも活発で、ライフエンジニアがpolca(気軽に使えるクラウドファンディング・サービス)を立ち上げてはライフエンジン内だけの支援で成功する動きも多発しています。この実績は1つや2つではありません。今日もライフエンジニアのpolcaを支援しようと思ったら、すでに他のライフエンジニアたちの支援によってプロジェクトが成功していて驚きました。
先日は先進的な試みとして運営によって正式に独自の仮想通貨である「LIFEENGINE COIN」(略称LEC)を1,000枚発行し、ライフエンジン内での流通を始めました。これはこれからどうなっていくか想像もつきませんが、すでにLECの代わりにプログラミングをレクチャーするサービスを始めてくれる人が現れるなど、個人では生まれようのない面白いアイデアが形になりつつあります。
「これからの働き方」というテーマは壮大で、ライフエンジンと働き方を結びつける動きはまだまだ試行錯誤の段階ですが、大げさに言えば独自の経済圏が生まれつつあることを感じています。
あらためて「ライフエンジン」というオンラインコミュニティの面白さ
あらためて「ライフエンジン」というオンラインコミュニティの面白さを考えてみると、この2年ほどで経てきた上記のプロセス全てが包含されていることなのだと感じています。方針変更はあったものの以前の取り組みを完全にゼロにしたわけではなく、良いところだけを残してアップデートされてきたのです。
つまり、セルフマネジメントのスクールとしての側面もありながら、オンライン上での多様性のあるメンバーとの出会いを促進する側面もありながら、それぞれの新しい働き方を形成していく側面もある3層構造になっていることがライフエンジンの面白さなのでしょう。
セルフマネジメントが必要な人にはそれを、その上でコミュニケーションから生まれるひらめきが必要な人にはそれを、チーム化によって個人ではできな活動を始めたい人にはそれを。そして、それらのニーズと取り組みが相互に有機的に結びつきあって、唯一無二のコミュニティになりつつあります。
これが、これまで私がライフエンジンを立ち上げてから運営としても参加者の一員としても体験してきた「ライフエンジン」というオンラインコミュニティの面白さです。
さて、あなたも興味が湧いてきたでしょうか?
▼ライフエンジンの取り組みについては、運営の1人であるF太さんの記事が参考になるのでご覧ください。
▼さらなる詳細とお申し込みはこちらから。
貴下の従順なる下僕 松崎より