夢見るリアリストの葛藤~独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(5)~

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私の愛しいアップルパイへ

これでゴールは明確になりました。

「今、私はあなたに何ができるのか?」

私の価値を問うこのシンプルな質問に胸を張って答えられれば良いだけです。恐怖の正体がほんの少しだけ見えてきた気がしました。

それで、スッキリしたかですか?いいえ、まったく気分は晴れませんでした。むしろ、よりいっそう落ち込んだくらいです。なぜなら、この問題がそう簡単に解決できるものではないとすぐに分かったからです。

セス・ゴーディンは「新しい働き方」ができる人の時代の中で、ブレ・ペティスによるこんな言葉を引用しています。

人には三つの状態がある。「わからない、行動、完了」だ

「新しい働き方」ができる人の時代 P.145

私の状態は明らかに「わからない」でした。「やるかやらないか」ではなく「動くに動けない」。まったく歯痒い状況です。きっとあなたから見たら”見えない壁”を演じるパントマイム師のように滑稽だったに違いありません。

▼連載記事一覧
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(1)
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(2)
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(3)
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独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(5)
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(6)

表面的なテクニックを真似ただけでは駄目

アフィリエイト、電子書籍、セミナー、メルマガ、有料サロン、、、先人に学べば個人でお金を稼ぐノウハウはいくらでもあります。「やりようはいくらでもある」と訳知り顔で走りだそうとする自分を必死に抑制しました。

表面的な形式だけを真似ても本質的な解決にはならないということは、太陽の光によって明らかでした。壁に向かって何度も何度も繰り返し唱えました。問題は「私がどうやるか?」ではなく「あなたに何ができるか?」だと。

もしかしたら、私のことを良く思っていて下さるあなたなら、形式だけを猿真似したやり方で(最初は)受け入れてくれたかも知れません。しかし、私の本心による指示は「待て!」でした。

“傲慢”だと思いますか?

この1年、私がこの愛すべきブログを通して何度もあなたに向けて語り続けてきたのは、「いつやるか」より「何故やるか」の方が大切だということでした。「何をやるか」より「どこへ向かうか」の方が大切だということでした。

今、私が納得いかないうちに納得いかないやり方で走り出してしまえば、きっとこれまでの我が活動の全てを否定することになるでしょう。

この1年、「jMatsuzaki」は随分と頑固者に育ったものです。

我、壁に向かって自問自答す

それからすぐ、今までSNSなどに割いていた時間を削減し、その代わりに壁に向かって自問自答する時間に充てました。比喩ではありません。一日中、暇さえあれば実際に壁に向かって自問自答していたんです。

post it

マンションの片隅で小さくなっていても状況は変わらないでしょう。とにかく思いついたことを次々に付箋に書いて壁に貼っていくことにしました。

問題の解決に役立ちそうなアイデア。不安に感じていること。対策できそうなこと。恐怖を克服するために試してみたこと。あなたが喜びそうなこと。

役に立つかどうかは分かりませんが、とにかくあらゆることを書き出しました。いつ答えが出るとも知れない、根くらべの勝負です。

jMatsuzakiは”いくら”か?

そのうち、壁が語りかけてくるようになりました。恐怖を克服するために解決すべき大きな課題が2つあるというのです。どちらも実に厄介な問題でしたが、まず1つ目から見ていきましょう。

1つ目は自分の値段についてでした。私の本心が「お金を稼ぐのが怖い」と主張するなら、私の本心がビクつくことのないよう、まっとうな値段設定をしなければいけないでしょう。

、、、

しかし、だいたい人間の価値なんて、いったいどうしたら分かるというのでしょうか?労働時間でしょうか?満足度でしょうか?

私が1時間話したら、それは1万円でしょうか、2万円でしょうか?それとももっと上でしょうか?相場によって決まるのでしょうか?

それは私が決めるようでもあり、あなたが決めるようでもあり、他の誰かが決めるようでもあります。答えのない言葉遊びを強いられている感覚でした。「人間に値段をつけようとするなんて道徳に反してる!」そう言って投げ出してしまいたい気分でした。

実は出口のない問題で、誰もが見て見ぬ振りしている問題なのではないか?とも感じました。こんな問題で足踏みしているのは私だけで、そんな私は愚か者なのかも?と。

、、、

それから何日かすると、ふいに壁が語りかけてきました。このとき初めてほんの少しだけ気分が晴れ渡ったのを覚えています。根くらべに勝ったのです。「jMatsuzakiはいくらか?」。私はようやく私の本心を納得させる答えを案出しました。

「私にいくらの価値があるか?」は問題ではなく、「お金に変えられない価値を提供する」こと

ヨチヨチ歩きもいいとこですが、貴重な一歩です。

貴下の従順なる下僕 松崎より

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著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。