私の愛しいアップルパイへ
「おいおいジェイ、ここまで組み立ててきた積み木を今さら崩そうってのか?そりゃないぜ。」
私の人生だけは喜劇だと思っていましたが、この時ばかりはニヤけていられませんでした。
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独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(1)
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(2)
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(3)
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(4)
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(5)
独立後2ヶ月で立ちはだかった2つの壁(6)
恐怖とは真っ向から対決しなければならない
「”お金を稼ぐのが怖い”だって?そんな馬鹿な。」
私は最初、この馬鹿げた恐怖を見て見ぬ振りすることにしました。横を通り抜けることも、来た道を戻ることも考えました。何日かして、この恐怖には真っ正面から取り組まなければ一歩も先に進めないことを理解しました。
ああ、とても嫌なことになりました。後ろからは確実にドクダミの恐怖が近づいていると言うのに、、、
私の感情には不安と恐怖に焦りが入り混じり、少ししてから怒りも混じるようになりました。
「お金を稼ぐのが怖い」
畜生、他界した祖母が見たらなんて言うでしょうか。自分自身がとても情けない存在に思えてきました。
それはとても受け入れ難い感情でした。自分が少しずつ少しずつ小さくなっていく感覚がしました。
高校の頃にはバイトをしていたじゃないか
とにかく、この恐怖は合理的じゃないって感じたんです。初めてバイトを初める高校生じゃあるまいし。
そうだ、初めてバイトを始めたのは高校生の頃でした。チェーン店のカレー屋のバイトでした。
10年前からお金を稼いでいたわけです。だからお金を稼ぐのが怖いなんて主張は奇妙だったんです。
バイトだったからお金を稼いでいるという自覚が薄かったんでしょうか。なるほど、それはそうかも知れません。確かに学生という”安全領域”に甘えていたのかも知れません。
6年半サラリーマンをやってきたじゃないか
それにしても奇妙です。バイトの経験を抜きにしても、今まで6年半もサラリーマンをやって来たんです。大手の金融系のシステムエンジニアとして毎日朝から晩まで働いてきました。
半年ごとに仕事は上司に評価されて、それによって給料やボーナスが決まりました。さらには顧客に対しても満足度調査が行われ、その結果は仕事の評価としてフィードバックされていました。
今さらお金を稼ぐのが怖い?それは矛盾してるではありませんか。私はサラリーマンとして働いていたし、その対価を貰っていたはずです。これは確然たる事実なわけです。
それで、私の本心は何と言ったとおもいますか?
「否!」です。
、、、
ああ、畜生。つまりこう言うことです。心の奥底では良くわかっていました。
私は厳密な意味では労働の対価を貰っていたわけではありませんでした。時間を切り売りしていたに過ぎなかったわけです。
上司による評価も顧客からのフィードバックも、形式上のシステムに過ぎないと良く分かってました。それを良いことに「さぁ、早くやって欲しいことを言ってくれ。無いなら俺はさっさと帰りたいんだ」と言い続けて来たわけです。
“いい仕事をする”という視点はまったく無く、お金を稼ぐことに関する責任は完全に欠如していました。
会社を盾にし、雇用という”安全領域”に甘えていたということです。
それでもまだ奇妙だという感覚は拭えませんでした。「お金を稼ぐのが怖い」だなんて。。
貴下の従順なる下僕 松崎より
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