我がブログの持つテーマは、自分への裏切り行為の中にあった

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photo credit: Emily’s mind via photo pin cc

私の愛しいアップルパイへ

2011年8月1日にこの愛すべきブログを公開し、それから300以上の記事を投稿してきました。

このところ、よくブログのテーマについて考えることがあります。1つ1つの記事を結びつける、jMatsuzakiというブログ全体のテーマについてです。

私という人間はこのブログやセミナーを通していったい何を伝えようとしている人間なのか。毎日記事を投稿していく中で、少しずつ整理できてきました。そして、その出発点は過去のある出来事と深く結びついていると考えるようになりました。

今日はその過去のストーリーと、そして私が掲げるテーマについてお話させて下さい。

過去の勇敢なる決意

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photo credit: young_einstein via photo pin cc

実は過去に1度だけ、本気で会社を辞めようと思ったことがあります。3年前のことです。あれはシステム屋として働き始めて3年ほど経過した頃の出来事でした。

その頃、私が所属していたチームには大きな体制変更があり、私は複数のシステムを1人で担当することなりました。仕事上での私のもつ責任は少しずつ重くなり始めていました。

そして、それに反発するように”音楽家になる”という夢は少しずつ大きくなってきていて、私の細く緩やかな生活の中には無視できない摩擦が生まれはじめていました。

残念ながらあの頃は、仕事もプライベートもとてもうまく回っているとは言えない状況でした。

上司とは性格が合わなくて大きなストレスになっていましたし、リリースしたばかりのシステムはトラブル続きで終わりが見えず、神経はピリピリしていました。

それに引きずられるように、当時組んでいたバンドでの活動の熱は冷めはじめ、作曲のペースも意欲もどんどん落ちていく始末でした。

私は明らかに焦っていました。いつしか何かの変革が必要だと感じるようになり、何がなんでも今の生活から抜け出したいと願うようになりました。それから、安易な解決方法を導き出すまでにさほど時間はかかりませんでした。

「ガッデム!こんな会社辞めてやる!!」

Williamとの面談

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photo credit: pedrosimoes7 via photo pin cc

それからの私の行動は、雌牛が牛車をひくように滑らかでした。

私は出社すると机に荷物を置き、早々にペンタゴンへ向かいました。当時、マネージャ層の人間の座席は、フロアの中央に五角形のような形で密集していたため、個人的に”ペンタゴン”と呼んでいたんです。

ペンタゴンに到着すると、私はひどく深刻そうな顔を作りながら、当時の部長(ここでは仮にWilliamとしましょう)に面談の時間を割いて頂きたいと、周りに聴こえないよう小声でお願いしました。

Williamは私の要求をすぐに受け入れてくれ、ペンタゴンを離れて近くの会議室で面談が始まりました。私は席に着くなり、いつになく決意を固めた表情で率直に話し始めました。

昔からの夢があること。その夢を諦めることは出来ないこと。仕事と夢のジレンマを抱えながら生活するのはもう限界だということ。そのために会社を辞めること。

私が一通り話し終えると、Williamは慎重に、そしていつになく穏やかな口調で話しはじめました。

「会社を辞めたい本当の理由は、Jackとの確執ではないのかね?それなら課長を変えたって良い。君は3年間で順調にキャリアを築いているし、正直もったいないと思うよ。

音楽家で食っていくあてなんて無いんだろう?だったら尚更だ。会社を辞めずともバンドは出来るだろう。ああいった業界は才能より人脈のパイプが重要になる。生活できるようになるのは大変だろう。ずっとバイトで食い繋いでいくのは惨めなもんだ。

最終的にどうするか決めるのは君自身だが、いいかい、今すぐ決断する必要は無いんだろう?だったら2週間くらいもう一度じっくり考えてみてくれ。考えがまとまったらもう一度話そう。

自分への裏切り行為


photo credit: RaGardner4 via photopin cc

それ以降、私がペンタゴンに行くことはなく、この件についてWilliamと話すこともありませんでした。

Williamと話しても無駄だと思ったわけでもなく、考えがまとまらなかったわけでもなく、Williamとの話が終わった瞬間、私は私の本心に気づいてしまったのです。

あの瞬間、なんと私はホッとしたのです。怒りに駆り立てられる前に、情熱を燃やす前に、確固たる決意を振りかざす前に、ほとんど条件反射的に、ほとんど無意識のうちに「安堵」したのです。2週間の猶予が与えられたことに対してです。

会社を辞めたところで、具体的に何をすべきかなんぞ分かっておらず、私は結局は単に今の生活から逃げ出したいだけだったんです。そして、何をすれば良いか分からない将来が不安で仕方なかったのです。私は最初から決意なんぞ何も持ち合わせていなかったのです。全てが見せかけの硝子細工でした。

その本心を自覚した途端、私は自分というものに心の底から失望しました。そして、もう自分がまったく信用ならない存在となり、恥ずかしくて仕方なくなりました。

私は一線を越えてしまったのです。絶対にやってはいけない自分への裏切り行為を働いてしまったのです。

この時の経験は、それからずっと虫歯のようにズキズキと纏わりつくようになりました。そして私は、急速に無気力状態に向かっていくのです。

以下の記事に記したとおり、再起するまでに随分と時間がかかりました。

私はいかにして再起したか?過去の挫折と勇敢に立ち上がったあの日をもう一度振り返ってみる | 旧jMatsuzaki
今日は今の私の活動の出発点となった”挫折”について、あなたにお伝えします。 …

jMatsuzakiのテーマとは

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photo credit: _val_ via photo pin cc

さて、テーマの話に戻りましょう。私がこの愛すべきブログで、セミナーで発信するテーマは、全てこの裏切り行為に基づいています。

そのテーマとはあの時、自分を裏切らずに済むために手にしておくべきだったものであり、そして、近い将来訪れるであろう2回目のチャンスに向けて私が手に入れなければならないものです。

それは現実的な希望です。夢を現実的に実現していく方法論です。

一か八かに賭ける必要も、大げさな度胸をみせる必要もない、現実的に1つ1つ行動を積み重ねていける方法です。そして、積み上げた行動を柔軟に軌道修正できる方法であり、どんな夢に対してもたくましい足とともに確実に前進できる方法です。

それは、ホームレスがドクターに、介護士が政治家に、そしてサラリーマンが音楽家になれる方法です。

私はそれを、私と同じように現状に不満を持つ者へ、現実に屈服することのない者へ、高い夢と理想を持つ者へ、届けていきたいのです。

夢を叶えるのためにヒーローである必要はなく、神秘的な力を発揮する必要もないと私は信じています。誰でもどんな状況でも、夢を叶えていく方法があると私は信じています。ですから、私は常に”神秘の裏側”であり続けたいと考えています。

それを私は「夢見るリアリスト」と呼ぶのです。

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。