「細かく時間管理するのは自由さがなくなって逆効果なのでは?」という不安を2年半かけて検証した結果、完全に勘違いだったことが分かりました

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photo credit: FABIOLA MEDEIROS via photopin cc

私の愛しいアップルパイへ

数年前まで私は時間管理が大嫌いでした。仕事で求められたときにやむを得ず工数表だとか勤務表だとかを作るくらいで、のっぴきならない理由がない限り進んで時間管理に取り組むことはありませんでした。その大きな理由は以下のようなものでした。

「時間を管理しようだなんてちゃんちゃら可笑しい!きっと計画にとらわれて逆効果になるであろう!窮屈に自分を縛るより、自由に使える時間をざっくり確保して、与えられた時間の中でその時の気分に合わせて自由に動いた方が、本来の力を存分に発揮できるのだからな!」

二年半近くかけてこの疑問を検証した結果、この考えが誤りだったことが分かりましたのでご報告します。

時間管理で起こる生活の変化

私は今、当時ではとても考えられないくらい時間管理を重要視しています。詳細なやり方をここで紹介するのは控えますが、タスクの洗い出しや事前の計画作り、実行ログの記録や定期的な自己評価など、様々な取り組みを行っています。過去に仕事で求められていたよりもずっと高度な時間管理手法です。

それによる効果を端的に表現すると「自分がいま本当に没頭したいことに没頭できるようになる」ことでしょう。

冒頭で述べた時間管理は逆効果だと思っていた頃の私は、実際には2つの問題を抱えていたため、まったく効果的な時間の使い方をできていませんでした。

1.時間があったとしてもそれを重要なことに使えない
2.実情が分からないので生活の改善サイクルを作れない

1については、日々の雑務や怠惰な心、人からの依頼事項などで重要なことが実際には後回しになっていたためです。

2については、1のような問題点を抱えていたにも関わらず、自分は自由な時間を効果的に使えていると思い込んでいたためです。

結果的に私はひどく効果性の低い生活に甘んじていました。

時間管理によって起こった変化の遷移

今から二年半前、私は単に得意なだけのシステム屋の道を今まで通りに歩くべきか、小学生の頃からの夢であった音楽家の道を今さら歩き出すべきかでひどく苦悩していました。夢を諦めきれず、しかし今まで何の結果も出なかったのに、今さら何が出きるのかと。

そんなある日ひとつのアイデアを思いついたのです。ちょっとした好奇心でした。「私は一体どれだけ夢に時間を使った上で、結果が出なかったと言い張っているのだろうか?」と確認したくなったのです。それまでは自分では結構頑張っていると思い込んでいました。会社に通いながらバンドを運営したり、レコーディングしたりしていたからです。

そこで私は「夢に貢献する時間」がどれだけ捻出できているかを測定してみたのです。

現実を目の当たりにした最初の一週間

二年半前、行動の記録と時間の計測を始めた最初の週が終わったとき、私は心底驚きました。

一週間のうちで夢に貢献する時間はたったの10時間しかなかったのです。168時間のうちの10時間。割合で言えば6%に満たない数字です。ショックでした。何を持って自分は頑張っているなどと思い込んでいたのか。

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私は自分自身に対して心から怒りを感じました。結果が出ないなど思い込みに過ぎず、行動に移していないことこそが真の問題だったからです。私は夢を実現できるかどうかよりも、夢に貢献する時間を捻出することを第一として生活改善に取り組み始めました。

時間管理による改善を体感した半年間

記録を振り返ってみると、私は単に期限の差し迫った仕事、他人からの依頼事項、日々の雑多なタスクに追われ、休みの日は怠惰の心に流されて憂さ晴らしに使っていたのです。夢に直結することは後回しされ、捻出できたのはわずか5%。

現実を目の当たりにして危機感を覚えた私は、行動ログをとり、それを評価する改善サイクルを回し続けました。半年間の試行錯誤の後、夢に貢献する時間は5%から28%まで急上昇しました。一週間は168時間なので毎週47時間ということになります。ちなみに、この28%は最大値ではなく平均値です。

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ブレイクスルーを体感した1年間

スコアは28%のまま安定し、夢の実現に向けて行動する機会を以前よりずっと増やせるようになりました。私は新たに手に入れた28%の中で、音楽活動に限らず、人生の長期的な計画立案、社会貢献を意識した執筆活動、スキルアップのための様々な学習や技術習得、規則正しい生活や定期的な運動など、今まで後回しにしてきた重要なことに着手できるようになりました。

ここまできて当初の目標はクリアできたと十分満足できたのですが、28%の生活を続けている内に予想外の選択肢を手に入れました。私にはもっと夢に密接した分野を仕事にするための、新しい活動基盤が築けていたのです。5%にショックを受けてから1年と2ヶ月後、私は会社を辞める決断をしました。

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時間管理によって効果を最大化した2年半

会社を辞めたことで限界点を突破し、さらにスコアは伸び始めました。会社を辞めて3ヶ月が立った頃には夢に貢献する時間を40%以上捻出できるようになったのです。今では調子が良いときには45%~50%の時間を割けるようになりました。

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時間管理で得た「夢に貢献する時間」という成果

この2年半の検証プロセスを経て私は「細かく時間管理するのは自由さがなくなって逆効果なのでは?」という不安はまったくの勘違いだったと結論づけました。

▼以下のグラフを見てください。赤で塗られた面積が私が時間管理によって得た「夢に貢献する時間」という成果です。
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これだけの時間を救い出せるのであれば、時間管理が逆効果などとはとても言えませんし、時間管理にちょっとくらい労力がかかっても全然ありではないでしょうか。

結局のところ私は、ただ面倒であるがために時間管理が逆効果だと思い込みたかっただけのようです。このように成果が目に見える形で提示されるとまったくの勘違いだったことがよく分かりました。

貴下の従順なる下僕 松崎より

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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。