「What」「Why」「How」のフレームワークを使って、本当にやりたい仕事かどうかを見極める

The lonely woman
photo credit: johanlb via photopin cc

私の愛しいアップルパイへ

私たちは日々様々な仕事に手をつけています。ここで言う仕事とは、会社での作業や対価をもらえる作業のことだけではありません。専門書籍の読書やランニング、子育てや掃除洗濯、バッファローの群れを追ったりリボルバーのお手入れをしたりなど、広い意味で捉えて下さい。

ここで大きな問題となるのが、やりたい仕事が分からないという問題や、やりたい仕事を勘違いしていたという問題です。自分の思い描く将来的なビジョンに貢献するような、長期的な意味で本当にやりたい仕事が何かを自覚するには一定の難しさが伴うものです。

私の就職活動は失敗でした。好きな仕事(音楽)を投げ捨てて、単に得意な仕事(システム)を選択した結果でした。今思えば馬鹿げた選択をしたものだと思いますが、当時はやりたい仕事が分からない問題に陥って自分でも訳が分からないうちに選択を誤ったのです。

あの時、どうすれば本当にやりたい仕事かどうかを見極めることができたのか。その1つの答えが、仕事に対して「What(何を?)」「Why(なぜ?)」「How(どのように?)」の結びつきを考えることでした。今でも重要な選択をするときには必ずこの3つについて深く検討するようにしています。

字面だけ見るとひどく簡素で、面白みに欠けた使い古しのフレームワークに見えますが、その真の効果は中々のものです。具体的に見て行きましょう。

「What」「Why」「How」

「What」「Why」「How」のパワーについて考えさせられたのは「7つの習慣―成功には原則があった!」の続編とも言える以下の書籍を読んだときでした。

ここでは以下のように記されています。まずは「What」からです。

原則に基づいた「何を」は、成長と貢献に焦点を合わせている。それは、ただ生活の質を高めるための目標を設定し、達成するだけではない。ヒトラーは目標を設定し、達成した。ガンジーも目標を設定し、達成した。この二人の違いは何に焦点を合わせたかである。(中略)

ミッションやビジョンを考えたとき、「何を」は、「なぜ」や「どのように」よりも確認しやすいものといえる。

P.234

次に「Why」についてはこう書かれています。

ほとんどの人は、目標を成し遂げたいという、その理由を自覚しないまま頑張っている。だから熱意を持って近いを立てても、目標を達成するまでその熱意が持続しないのだ。

自分に負けそうになったとき、持続力を与えてくれるのは「目的意識(なぜ)」なのである。心の奥のより深い「イエス」が燃えていれば、諦めの気持ちに対して「ノー」と言えるのだ。

P.236

最後に「How」についてはこう書かれています。

「何を」と「なぜ」とが結びつけば、「どのように行うか」について考える準備ができる。「どの程度行うのか」ということは、自分を「コントロール(管理)」するか、「リリース(解放)」するかによって異なってくる。

もし「コントロール(管理)」というパラダイムで見れば、厳しく監視し続けなければならないことになる。もし「リリース(解放)」というパラダイムで見れば、自由さ・機会・支援が与えられ、それぞれ自分の最高のものを引き出し、大きなことを成し遂げることだろう。

P.237

ある仕事を始める前に、その仕事の「What」「Why」「How」を明確にしておけば、確固たる方向性を持てることになります。

間違った道であればそれに気づけますし、思い悩んだときにもうひと踏ん張りするパワーの源泉になります。

システム屋を当てはめると?

このフレームワークを使えば、私は道を踏み外さずに済んだでしょうか。私にとっての「What」「Why」「How」の結びつきの例を見てましょう。まずシステム屋からです。

▼第一に私にとって「システム屋」は「How」でした。

image

私にとってシステム化の技術というのは、何かを達成するための手段という位置づけだったわけです。働く前は「What」だとばかり思っていたのですが(思おうとしたのですが)、こういった勘違いは良くあることです。

もちろんシステム屋が「What」に該当する人も居るでしょう。システム化すること自体が好きな人です。「Why」の人も居るかも知れません。画面に並んだコードを見てるとムラムラするような人です。残念ながら私は違いましたが。

▼いずれにしても自分にとっての「What」と「How」をはき違えるとロクなことになりません。空いた「What」と「Why」の枠を埋めようとしてこんな風になります。

image

安定した人並み程度の細く緩やかな生活を目指し、耐え忍んだ先に幸福が待っていると信じながら、身につけたシステム屋の技術を嫌々発揮する。

(※でも許せるのは平日9時~17時まで。それを超えるのは我慢ならないんだベイビー。それと週末にはたった2日で良いから自由な時間を用意してくれよ。耐え忍ぶ生活に残ったささやかな楽しみなんだからね。)

How」は見事に「リリース(解放)」ではなく「コントロール(管理)」になっています。無情です。

音楽家を当てはめると?

さて、音楽家の場合はどうでしょう。これはすんなり出てきます。

image

音楽に身を埋めることそれ自体が目的であり、突き動かすのは心の奥底から湧き上がる表現の喜びであり、生涯に渡って作曲に没頭し続けることでそれらを実現しようとしています。まさに享楽!歓楽!悦楽!!

この時「How」は行動の「コントロール(管理)」ではなく、「リリース(解放)」です。

新たな仕事を始める前に一度立ち止まってみる

新たな仕事を始める前に一度立ち止まってみるのは良い習慣です。この一件以来私は大層慎重になり、必ず「What」「Why」「How」の結びつきについて考えるようになりました。大抵の場合は「What」だけ決まったら早々に着手しようとしてしまうものだからです。

まずじっくりと自分と向き合って、その仕事が自分にとって最重要かどうか見極めるのです。さもなくば、かつての私のように反対方向に向かって走りかねません。時間が経てば経つほど戻ってくるのは大変になります。

ネクストッ! >> 失敗を成功の糧に!どうすれば私は幸せなシステム屋になれたか?

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。