ポモドーロ・テクニックの最重要な正式手順をみんな見落としている

私の愛しいアップルパイへ

ポモドーロ・テクニック」という時間管理メソッドをご存知でしょうか?1987年にイタリアのフランチェスコ・シリロ氏が大学の課題を終わらせるために始めた手法で、2006年に初めてインターネット上で公開されました。時間管理メソッドとしては有名な古典的方法の1つです。

簡単に説明すると「25分間集中作業したら5分休憩する」を1ポモドーロ とし、4ポモドーロを終えたら15分〜30分休憩するというインターバルで作業するものです。誰でも簡単に使えるシンプルな手法として、世界中で愛用されています。

ええ、分かります。もちろんご存知でしょう。あなたほどの賢人ならば。しかし、今さらポモドーロ・テクニック?などと言わず、あとほんの少しだけ私に時間をください。

ポモドーロ・テクニックを紹介している書籍やブログは数知れませんし、今さらポモドーロ・テクニックの概要を紹介しようだなんて思いません。

私も毎日このポモドーロ・テクニックの恩恵にあずかっているのですが、実はこのポモドーロ・テクニックの正式な手順について、多くの人が見落としている最重要な手順が1つあると私は思っています。

それはメソッド考案者であるフランチェスコ・シリロ氏が正式に著した「どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門に書かれている内容で、ポモドーロ・テクニックについて語られている既存の本や記事ではほとんど取り上げられていない手順でもあります。かくいう私も、半年前に本書を読むまではポモドーロ・テクニックのやり方をひどく誤解していました。

興味を持っていただけましたでしょうか?

25分間も1つのことに集中するのは難しい

25分間集中作業したら5分休憩する。2時間経ったら30分ほどの長めの休憩を取る。端的にいえばこれを繰り返すのがポモドーロの基本です。

フランチェスコ・シリロ氏がメソッドを公開して以来、こんな簡単なことで、驚くほど集中できるとして、世界中で話題になって今に至ります。

しかし、ポモドーロ・テクニックで見落としてはならない点が1つあります。それは、25分間、1つのことに集中するのは決して簡単なことではないということです。

最初は新しいメソッドに取り組む新鮮さから25分間しっかり集中できるかもしれません。しかし、その新鮮さが薄れ始めた頃から25分間1つのことに集中することが難しくなり、ポモドーロ・テクニックの効果が薄れ、いずれやらなくなってしまいます。

25分間も作業をしていると、「今日買い物行こうかな?」とか「そういえばあのメール返信したかな?」といった、集中している作業とは無関係の気になることが無数に湧いてくるものです。

このような25分間の間に湧き上がってくる様々な欲求や思いを、フランチェスコ・シリロ氏は「内的中断」と呼びます。

仕事や勉強への集中を邪魔する最大の原因は、私たち自身の頭の中にある。私が「内的中断」と呼んでいるもの──宅配ピザの注文やソーシャルメディアの更新、デスクの上の片付けなど、ふと心にわいてくる欲求や思いによる中断──は、メールやフェイスブックの告知の着信音のような外的な中断よりも頻繁に起こり、害も大きい。このような中断を引き起こす要因に対処する最善の方法は、それを受け入れたうえで穏やかに対処することだ

どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門 序文

私はポモドーロ・テクニックについて、Web上の記事や書籍を読んでいたのでよく知っていると思っていたのですが、ポモドーロ・テクニックにおいて「内的中断」に対処する方法が正式に存在するとは思ってもいませんでした。そして、これこそ私が長らくポモドーロ・テクニックのアキレス腱だと思っていたことに対する、素晴らしい対抗方法でもあったのです。

内的中断が起きそうになったらメモしておく

その対処法というのはごく簡単なものです。それは、内的中断を引き起こす欲求に体で反応しようとする前に、メモに書き留めておくことです。メモした内容はポモドーロが終わった後に対処することになります。

冒頭でお話しした、ポモドーロ・テクニックについて多くの人が見落としている手順というのは、ポモドーロを開始するときには近くにメモを用意しておいて、この内的中断をメモすることです。内的中断をメモしておけば、いつでもそのメモを見れば内容を思い出せるので、気が散らなくなるわけです。

この簡単な、そして最重要のルールをほとんどの人が見落としているように思います。私自身、ポモドーロ・テクニックといえば25分タイマーを使うだけのものと考えていました。しかし、この一手間によってポモドーロ・テクニックの効果は大きく変わります。実際、私の仕事においては、このルールを知ってからポモドーロ・テクニックが極めて有効なものになりました。

▼私の具体的な方法は、パソコンの横にiPadを設置して白紙のノートを表示しておきます。ここにマインドマップの形式でポモドーロ中の内的中断を都度書き加えていくのです。

▼実際に今日作った内的中断のメモをお見せしましょう。25分間の間に頭によぎった目の前の作業と無関係のことはここに書き出しています。

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マインドマップはこの手の内的中断と極めて相性が良いのでお勧めです。第一に、マインドマップは深く考えずに思いついたことを追記することに長けています。第二に、単語だけを連ねて表現するので、メモするのが早いのです。

このメモに書かれた内容はポモドーロが終了した後か、休憩時間、1日の終わりに見直して、必要に応じて新たなタスクとして管理することになります。

私は半年ほど前から、朝一でポモドーロ・テクニックを開始する直前にこの内的中断メモを用意しておく一手間を加えました。これが見事にジャックポットで、それまでよりもずっと作業に集中しやすくなりましたし、自分をコントロールするのがうまくなりました。

内的中断への対処こそポモドーロ・テクニックの核である

今や内的中断メモなしにポモドーロ・テクニックを行おうとするのはもったいないと思うどころか、邪道だとも感じています。

ポモドーロ・テクニックは集中を引き出すためのものであり、その集中を阻害する最たる要因である内的中断への対処なしにはうまく機能するはずがないからです。

フランチェスコ・シリロ氏はこう言っています。

私たちが頭の中でどれほどいろいろなことを考えているか、つまり作業に集中するのがどれほど難しいことであるかが分かる。内的中断を引き起こしうる原因の数と種類の多さは、作業に集中できないのではないかという自分自身の不安の表れである場合も少なくない。

このような事柄には、後から見ると全く緊急ではないと思えるものも多い。1回のポモドーロや1つの作業、あるいは1日が終わった後、自分が緊急や重要の印を付けた事柄に別の形で対処できることに気づくことになるだろう。

どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門 個人としての目標達成

▼内的中断に対処する具体的な方法はメソッド考案者のフランチェスコ・シリロ氏による以下の本に詳しく書かれていますので、こちらもご参考にどうぞ(ちなみに、マインドマップを使うことにしたのは私のアイデアなので本書には登場しません)。

本書は”入門”と題されているものの、かなり細かいところまでポモドーロ・テクニックがルール化されていて、今まで表面的にしかポモドーロ・テクニックを理解していなかったのだと痛感しました。

貴下の従順なる下僕 松崎より

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著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。