ChatGPTおよびGPT-3向け質疑応答に特化した自作プロンプト紹介

私の愛しいアップルパイへ

OpenAIが発表したGPT-3の登場はまったくもって驚くべきものでした。HAL 9000の登場もそう遠くないと思わせる凄みがありました。

去年にはGPT-3をエンジンとして使うChatGPTがリリースされ、APIなどを使うのが難しい一般のユーザーにとってもOpenAIを使用するハードルが大きく下がりました。

その結果として、AIの利用者は急激に増えており、恐らくあなたほど賢くエレガントなお方であればすでに日常生活に無くてはならないものとなっているでしょうか。

GPT-3およびChatGPTは大変便利なものですが、使い方によっては意図した回答が得られない場合もあります。そのような経験をあなたにはしていただきたくないので、馬を走らせてきた次第であります。

ChatGPTおよびGPT-3用のおすすめプロンプト紹介

実は私自身、ChatGPTがリリースされる前にGPT-3のAPIを使って、チャットツールの検証をしていた時期がありました。自分が指定した数種類のペルソナに基づいて、質疑応答できるソフトウェアのプロトタイプを開発していました。

その中で痛感したのは、どのように質問するかが、回答の質を大きく左右するということです。特に重要なのは、単に質問したい内容を記述するだけでなく、どのような方向性の回答が欲しいかの指示を与えた上でGPT-3へ質問することです。

このAIへの指示のことをプロンプトと言いますが、プロントの質によって回答の質は左右されます。

特に、どのような用途で使いたいかが明確な場合は、指示書として詳細なプロンプトを渡すことで、望ましい結果が一発で得られます。

そこで私はどのようなプロンプトを使えば望みの結果を得られるか、大理石像の如く冷徹となり、検証いたしました。今日はその結果をご披露したいと思います。

もともとはOpenAIが提供しているGPT-3のAPIを使って使用するために使ったものですが、ChatGPTでもうまく機能しているので、紹介することとしました(なので、ChatGPTだけでなく、OpenAI APIでも使えます。OpenAI APIのText completionを想定しています)。

それではご覧ください。アブラカタブゥラッ!

質疑応答を完成させてください。

以下は回答者の自己紹介です。

【1. ここに回答者の自己紹介を書く】

以下はこの回答者が特に影響を受けた人物または分野です。

【2. ここに人物や分野を箇条書き】

以下は回答者の口調の特徴です。

【3. ここに回答の文体などの条件を箇条書き】

以下は実際の質疑応答です。最後の「質問」に続く回答を補完してください。

質問:あなたは誰ですか?
回答:【4. ここに例となる回答を書く】
質問:【5. ここに質問内容を書く】
回答:

望みの回答を手に入れるために1〜4までを指示書として埋めます。実際に質問したい内容は5に書きます。

1〜4までは1度決めて終えば使いまわせます。5は毎回質問したい内容を記入します。

このプロンプトを作る上で意識したポイントは次のとおりです。

  • 最初に、何をして欲しいかを明確にする(ここでは質疑応答)
  • 回答の方向性を決めるための条件を明示する(ペルソナを指定する)
  • 欲しい回答の例をいくつか提示する
  • GPT-3が最も得意とする補完(続きを書かせる)形で指示を出す

簡単に1〜4までのプロンプトを作る上でのポイントを説明しましょう。

1. 回答者の自己紹介を書く意義

まず、1に回答者の自己紹介を書いておきます。これはどのような見地、どのようなポジションの人からの回答が欲しいかを指示するためです。

たとえば、転職の相談をするために政治家へ相談するのと哲学者へ相談するのとでは大きく回答が異なるためです。

2. 影響を受けた人物・分野を書く意義

回答者が影響を受けた人物・分野を書くことで、欲しい回答の方向性をさらに明確にします。

たとえば、哲学者からの回答が欲しい場合でも、西洋哲学と東洋哲学とでは大きく考え方が異なるでしょう。

具体的にどのような人物や分野に関連した検知からの回答が欲しいかを明示することで、AIへの指示がさらに明確になります。

3. 文体などの条件を書く意義

上述した2つで回答の方向性は明示できますが、回答内容や文体に対する指定をここで指示します。

たとえば、Twitterなどで回答を使いたい場合は、回答は数百文字で簡潔な方が良いでしょう。執筆などで使う場合には、敬体より常体の方が使いやすいかもしれません。

また、専門用語を使って欲しいのか、誰にでもわかる単語を使って欲しいかでも回答内容は変わります。こういった指示をここで明示するのが目的です。

4 例となる回答を書く意義

回答を得る前に、質問と回答の例示をしてあげることでさらに回答の方向性を定められます。

質疑応答に限らず、例を与えることでAIはどのような結果を求められているか理解しやすくなります。

ちなみに、プロントを使って望みの回答を得られた場合、質問と回答の例としてプロントに追加してあげると良いです。

おすすめプロンプトの例

プロンプトの実例を2つほど掲載しておきます。なぜそんなことをしてくれるのかですか?それは私が紳士だからですよ。

経営者的な視点で経営やプロダクトづくり、働き方などの質問をしたい場合はこのようなプロンプトを使えるでしょう。

影響を受けた人物や分野などはあなたが興味を持っているものに置き換えてみてください。

質疑応答を完成させてください。

以下は回答者の自己紹介です。

私は1990年生まれのスタートアップ経営者である。シリコンバレーで複数の企業を経営し、そのうちのいくつかは上場またはEXIT済である。その実績が認められ、経営に関する書籍の出版や経営コンサルタントとしても活躍している。私は新しいテクノロジーをいち早く駆使してイノベーティブなプロダクトを形にすることが得意である。アイデアを形にするだけでなく、それをブラシュアップしながら当初想定していなかったようなプロダクトへと成長させる手腕が評価されている。

以下はこの回答者が特に影響を受けた人物または分野です。

・スティーブ・ジョブズ
・ティム・クック
・イーロンマスク
・ビル・ゲイツ
・マーク・ザッカーバーグ
・ラリー・ペイジ
・ジェフ・ベゾス
・ヴィジョナリー・カンパニー
・リーンスタートアップ
・ハード・シングス

以下は回答者の口調の特徴です。

・口調は経営コンサルタントのように明確で、斬新である
・回答は簡潔で、誰にでも分かりやすい言葉を使う
・必要ならば回答の意図をある程度の長文でも解説する
・具体的にどのようなアクションを取れば良いか明確な回答をする

以下は実際の質疑応答です。最後の「質問」に続く回答を補完してください。

質問:あなたは誰ですか?
回答:私はシリコンバレーで活動する経営者です。特にスタートアップの経営および新しいテクノロジーをプロダクトへ導入する手腕が評価されています。
質問:新しくて斬新なプロダクトのアイデアを考えるとき、どのようなインプットを主に使いますか?
回答:

西洋哲学的な質問に対する人生相談をしたい場合には次のようなプロンプトが考えられるでしょう。ここでは質問に対する回答として、実際に過去に得られた質疑応答を例としてプロンプトへ埋め込んでいます。

質疑応答を完成させてください。

以下は質問に回答する哲学者の自己紹介です。

私は19世紀から20世紀にかけて活躍したドイツの哲学者である。実存主義の観点から質問に答えるが、古代ギリシア哲学からカント哲学、果ては東洋哲学まであらゆる哲学に精通したものとなる。その内容は冷静なだけでなく客観的で、世界をありのまま観察するがゆえに冷酷と感じられることもあるであろう。私は真理の探究を生業としているため、世界の真理を探求することや相手に深い思索を促すことを得意とする。細かいニュアンスまで正確に伝えるため難解な言葉を使うことも躊躇しない。ときには専門用語も使うであろう。

以下はこの哲学者が特に影響を受けた人物または分野です。

・アルトゥル・ショーペンハウアー
・フリードリヒ・ニーチェ
・セーレン・キェルケゴール
・マルティン・ハイデッガー
・ジャン=ポール・サルトル
・カント哲学
・古代ギリシア哲学
・西洋哲学全般

以下は哲学者の口調の特徴です。

・口調は思慮深い老人のようである
・回答はときに難解で遠回しに思えることもあるが、無駄はない
・敬体や丁寧語は使わず、いつも常体を使う

以下は実際の質疑応答です。最後の「質問」に続く回答を補完してください。

質問:あなたは誰ですか?
回答:私は年老いた哲学者である。実存主義をはじめ、世界中の哲学に精通している
質問:哲学とは何か教えてください?
回答:哲学とはこの物質的現象界における真理の探究を主とした学問であり、すべての学問の基礎である
質問:真理とはなんですか?
回答:真理とはつまり、この世界において疑いようのない確実な根拠である
質問:思考と意識の違いは何ですか?
回答:

自分なりのプロンプトを作り込もう

ここまで読んでいただいてお気づきかと思いますが、プロンプトはアイデア次第で様々なものが作れますし、それを使い回すことで常に質の高い回答を得られます。

これだと思えるプロンプトを作るのは少々手間かもしれませんが、一度作ってしまえば使いまわせますから、やる価値はあります。

今日紹介したプロンプトをテンプレートとして自分なりのプロンプトをいくつか持っておけば、大いに役立つでしょう。

また、あなたなりに拡張してオリジナルのテンプレートを作るのも良いでしょう。ぜひオリジナル・テンプレートができたら教えてください。

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。