ロジックよりエモーションで聴衆を突き動かすプレゼン上達法!~書評「世界一わかりやすいプレゼンの授業」~

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私の愛しいアップルパイへ

私にとってのプレゼンテーション(以下「プレゼン」)の定義は、「自分のアイデアを相手に伝え、現実を理想に近づけるための協力をお願いすること」です。私が”連れ小便”と呼んでいるものです。

そう、プレゼンは決して”歩く百科事典”が体系的な知識を披露する場ではないということです。そう考えると、プレゼンは多くの人にとって身近な行為だということが分かります。

お客様への営業活動や、上司へ業務お改善を提案するときなどはもちろん、個人のセミナーや勉強会、友人とのサークル活動、家族とのコミュニケーションや恋人への告白だってプレゼンの技術が応用できます。

ですから、プレゼンのスキルは習得すれば誰にとっても有用なスキルになると私は考えているのです。たとえあなたがキング牧師でなかったとしてもです。

今日は、誰もがプレゼン技術を上達できるようにと書かれた一冊の本を紹介しようと考えています。きっとあなたも気に入るはずです。

ロジックよりエモーションで心を動かすプレゼンへ!

上記のプレゼンの定義から今度はプレゼンのゴールを考えてみましょう。私はこう捉えています。「相手が自分のアイデアを受け入れ、実際に行動に移すこと」。

そして、このゴールに到達するために必要なのは、フレームワーク思考などを巧みに使って情報を論理的かつ体系的に並べるだけでは不十分です。時には自分の情熱を感情的に表現する必要があります。そうすることで初めて聴衆は”その気になる”のです。

本書ではまさに、”ロジック”よりも”エモーション”(感情)をキーワードにしたプレゼンの上達法が書かれています。それも、誰もが日常のプレゼンで使える方法です。その中でも特に有用だと感じたポイントを3つ紹介していきましょう。

聴衆を突き動かす3つのプレゼン上達法!

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photo credit: Keoni Cabral via photopin cc

1.聴衆を「聞く態勢」に変える

「アイスブレイク」という言葉をご存知でしょうか。セミナーやワークショップなどの前に、参加者の緊張をほぐすために行われるグループワークです。

ちょっとしたクイズを出したり、参加者同士で自己紹介などを行ってもらうことで聴衆の緊張をほぐし、「聞く態勢」に入ってもらうのです。

プレゼンでもこのアイスブレイクが非常に大切です。このアイスブレイクを疎かにしたプレゼンターを時おり見かけますが、それは非常にもったいないことです。いきなり本題に入ってしまうと、聴衆は強い抵抗感を感じるものなのです。それではプレゼンのゴールに辿り着くのは困難となってしまうでしょう。

持ち時間が少ない場合には何もグループワークをやる必要はありません。本題に入る前にほんの2~3分、自分の自己紹介やちょっとした小話を挟むことで同じ効果を発揮することが出来るからです。

大切なのは安心感とともに自分を受け入れて貰うための気遣いです。まるで恋愛のようですね。ふふ。

2.「してほしいこと」を明確に伝える

上述したとおり、プレゼンのゴールとは「相手が自分のアイデアを受け入れ、実際に行動に移すこと」です。つまり、プレゼンは”依頼行為”なのです。

ですから、聴衆に何をして欲しいのか、プレゼンの後にどんな行動をとって欲しいかという依頼を明確にしましょう。商品を買ってほしいのか見てほしいのか、他の誰かに話を通して欲しいのか、一緒に何かをやって欲しいのかをです。

最初に依頼事項を明確にしてから本題に入り、最後にまとめとしてもう一度依頼事項を説明する。これだけでもあなたのプレゼンはぐっと良くなるはずです。

さもなければ、あなたのプレゼンが終わったと同時に、聴衆は肩を少し上にあげ、両手を大きく広げ、眉を下げて苦笑いをしながらこう呟くことでしょう。

「So What?」(だからなに?)

3.聴衆にプレゼンを「受け取って」もらう

プレゼンは依頼行為だというのは説明しました。依頼行為なのですから、大切なのは自分が話すことではなく、相手に受け取って貰うことです。自分がうまく話せているかどうかでなく、聴衆に反応してもらうプレゼンを意識しましょう。

本書では聴衆にプレゼン内容を受け取ってもらうための術として以下のようなテクニックが紹介されています。

・比喩などを用いた耳に残るキーワードを使うこと
・文章の句読点のタイミングでアイコンタクトを使うこと
・左右にフラフラせず、前に出る動きを盛り込むこと
・ここぞという時に沈黙の「間」を使うこと
・時には「○○ですよね?」などと聴衆に語りかけること

もちろん表面的な演出だけではプレゼンは成功しないでしょうが、逆に伝えるべき情熱があるのに話し方や立ち振る舞い程度の問題で聴衆との距離を作ってしまうのは実にもったいないことです。

人前に立つとオドオドして上手く話せないという話を良く聞きます。しかしそれらは生まれつきの性格や遺伝の問題ではありません。確実に自分でコントロールできる範囲にあることです。

約束します。あなたはスカーレットオハラより魅力的になれる可能性を秘めている。

さぁ人を行動に突き動かす技術を手に入れよう!

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今回は私が特に気に入ったポイントをピックアップしてみましたが、本書にはもっと多くの、そして誰もが実践可能なテクニックで溢れています。

私たちの生活はプレゼンの連続と言えます。人を行動に突き動かす技術であるプレゼン法を学べば、あなたは夢に向けて加速できるはずです。何故なら、理想を現実化するためにはどうしたって人の力を借りなければならないからです。

本書はそんなプレゼンの入門編としてオススメの一冊です。

貴下の従順なる下僕 松崎より

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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。