私の愛しいアップルパイへ
私が今までで一番惚れ込んだWebサービスが「Frekul(フリクル)」です。Frekulは、これからの音楽活動のかたちを提示してくれる日本産の音楽活動支援サービスです。
Frekul(フリクル)新しい音楽に出会う。アーティストとつながる。
つい先日(2013年7月18日)JOYSOUNDとの事業提携を発表し、Frekul登録アーティストが自作曲を簡単に最新カラオケ機種「JOYSOUND f1」に配信することができるサービス「キョクプロ」をリリースして現在大変な話題になっているサービスでもあります。
Frekulはどえりゃ~ファンタスティックなサービスです。音楽業界に無関係の人でも学ぶべきところが多くあります。今日は私がそう思っている理由をお話していきます。
音楽業界に衝撃を与える「Frekul(フリクル)」との出会い
私はサラリーマンを辞めたときに真っ先にFrekulの提供者にコンタクトをかけました。Frekulを開発する株式会社ワールドスケープの社長、海保けんたろー氏に直々に電子メールでラブレターを送ったのです。
「Greeeeeeat!このサービスの開発をどうにかして手伝いたい!そのためなら地べたを這いつくばったって良い!」と感じたからです。社長は快く受け入れてくれ、今では私も少しずつFrekulの開発に参画し始めています。
私がこれほどまでにFrekulに惚れ込んでいる理由は大きく4つあります。
1.便利機能の羅列でなく、うまくいくモデルを提示してくれるから
2.無料コンテンツから利益を生む貴重な機能があるから
3.ファンコミュニティを育成できる数少ないWebサービスだから
4.バンドマン達が情熱だけで立ち上げたサービスだから
1つ1つ見ていきましょう。
1.便利機能の羅列でなく、うまくいくモデルを提示してくれるから
Frekulはただ思いつきの便利機能が詰め込まれたサービスではありません。Frekulの根底に流れるのは、CDが売れない時代、売り上げチャートがアイドルで埋まる時代に、ユニークなこだわりと実力のあるアーティスト達がどうやって自分の音楽で活動基盤を築けるようにするかという夢です。
この夢を実現するためにFrekulが出した1つの答えが、容易にデータコピーされてしまう音楽コンテンツは無料で提供しつつ、アーティストが自律的にグッズやライブ・ファンクラブで活動基盤を築く方法です。なんとなく便利だからではなく、明確なヴィジョンに基づいて機能も実装されています。ナイス!
2.無料コンテンツから利益を生む貴重な機能があるから
ブログの記事やYoutubeの動画などもそうですが、無料でコンテンツを出すことでSNSなどで広く拡散される可能性が大きく高まります。
しかし、無料でコンテンツを提供した後に有料のコンテンツを販売するのは、非常に難しいところです。どこまで無料でどこから有料にするのかは誰もが頭を抱えるところですし、無料コンテンツの存在によってコンテンツを有料化するハードルが上がるからです。実際、無料コンテンツを提供できるサービスの中で、そのあとに有料コンテンツにつなげるところまで考えられているサービスは一部を除いて皆無です。
無料コンテンツに広告を掲載することで、広告主から収入を得るスタイルは今では一般的ですが、広告収入だけでは限界があるのも確かです。
Frekulはあらかじめこの無料と有料の間にあるハードルをよく認識しており、無料のコンテンツに満足してくれたリスナーに対してスムーズにライブやグッズ・ファンクラブなどの有料のコンテンツを提供する機能が用意されています。こういった無料と有料を橋渡しするサービスは、音楽関連サービスにかかわらず非常に貴重です。
3.ファンコミュニティを育成できる数少ないWebサービスだから
無料コンテンツを提供する上でもう1つ課題となるのが、1度だけコンテンツが消費されて終わりになってしまう事態です。
どれだけ広く無料コンテンツに興味を持ってもらっても、その次に繋がらなければ意味がありません。それはつまりファンコミュニティを育成することです。
自律的な活動によって継続的に活動基盤を維持しようと思ったら、最低でも無料コンテンツを受け取ってくれたユーザー、無料コンテンツを継続的に受け取ってくれるライトなファン、有料コンテンツを購入してくるコアなファンという3段階のコミュニティを育てる必要があります。
そのために大切なのが、「何が提供されるか?」に興味を持ってもらって終わるのではなく、「誰が提供しているか?」に興味を持ってもらうことです。Frekulは無料コンテンツに満足してくれたリスナーに対して、特定のプラットフォームに依存しない電子メールを媒介とした情報のやり取りを継続的に行うことで、これらを可能にしています。
4.バンドマン達が情熱だけで立ち上げたサービスだから
Frekul立ち上げの経緯は何度聴いても面白いです。検索すればその経緯に関する記事がいくつも見つかりますが、ここで簡単に紹介しておきましょう。
Frekulを開発する株式会社ワールドスケープは、メリディアンローグ(現SONALIO)というバンドのメンバーによって設立されました。
Frekulを立ち上げる前の2008年に彼らはメジャーデビューしたものの、メディアに露出してもなかなかCDは売れないし、自分達に入ってくる金額もごくわずかという現実にぶつかります。
メジャーデビューしても音楽だけでは食っていけない現実を知った彼らは悩んだあげく事務所を辞めました。そして、アーティストが自らの作品で生計を立てていくためのベストなやり方を模索して、たどり着いたのがFrekulだったわけです。
Frekulは立ち上げメンバーだけでなく、今開発に携わっているメンバーもFrekulの掲げるヴィジョンに共鳴したバンドマン達で構成されています。
もしFrekulが失敗に終わったとしても、きっとどこかの大企業が同様のサービスを作るだろうと私は考えています。しかし私は、業界の末端に位置するバンドマンが現実にどでかい風穴を開けられるのなら、どうしてもそのドラマを見てみたいのです。その方がずっと面白い世界になりそうではありませんか。
Frekulが作ろうとしている明るい未来
Frekulを使えばアーティストとファンはダイレクトにつながり、1つのトライブ(部族)を形成するようになります。彼らが自らのトライブを率い、自らのトライブの中で自律的な活動を展開していけば、自然なかたちで生活できるようになるでしょう。
▼Frekulはかつてセス・ゴーディンが謳った「トライブ」の世界が実現できるサービスというわけです。
その先にあるのは、人類が今までの歴史の中で一度も実現できなかったアーティスト主導の世界です。そこにはアーティストが(社会や経済に縛られず)自らの創作活動に100%没頭できる未来が待っていると私は確信しております。ワンダフル!
▼私もFrekulを使ってメルマガを配信していますので、こちらもどうぞ
貴下の従順なる下僕 松崎より