首尾一貫した自分であることに固執しなければ選択肢が広がる:書評「選択の科学」byシーナ・アイエンガー

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photo credit: Curtis Gregory Perry via photopin cc

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「選ぶことこそ力につながる」と雄弁に語るシーナ・アイエンガー氏の著書「選択の科学」を紐解きながら、選択する力をつける方法について考察する連載の第二弾を始めます。

▼過去の連載はこちら
・(1)世界の見方を変えれば、あなたの選択肢を増やすことができる
・(2)首尾一貫した自分であることに固執しなければ選択肢が広がる ← Just Now!

今日のお題は、選択における一貫性と柔軟性のバランスについてです。

一貫性と柔軟性を同時に求めるジレンマ

私たちはいつだって首尾一貫した自己であることを望むものです。一貫性のある行動は私たちの軸を支え、強めてくれます。今まで自分が築き上げてきた物語に反する選択は、アイデンティティを脅かすものです。今まで右だと言っていたものを急に左に変えようと思ったら、少なからず抵抗を感じるでしょう。

しかし一方で、世の中は絶えず変化しています。首尾一貫した選択に固執し過ぎることは選択の幅を狭め、結果的に悪影響になることだって少なくありません。振り返ってみてください。自分の中でつじつまの合わない選択を避けるために、結果的に損した経験が1つか2つはあるはずです。

この選択における一貫性と柔軟性のバランスは、選択することをより一層難しくしています。私たちはこの一貫性と柔軟性のジレンマの中で、どのように選択を考えていけば良いのでしょうか。

高いレベルでの一貫性を保てば柔軟性も維持できる

首尾一貫性を保ちつつも、幅広い選択肢に目を向けることは、選択の力を培う上で重要なポイントでしょう。本書が提示する解決策の1つは、高次の目的を持つことで、より高いレベルで一貫性を保つことです。そうすれば、目の前の小さな選択に左右されることがなく、狭い心に囚われずに済みます。

夢、道徳、理想、原則、信念、真実といったものに対して忠実であれば、状況にあわせて選択を変えることは矛盾にはならないわけです。そうすれば新しい選択肢と折り合いをつけることが容易くなり、一貫性と柔軟性のジレンマに嵌らずに済みます。

小さな選択肢を前にして首尾一貫した自己に固執しなければ、選択肢が広がるわけです。

高いレベルでの一貫性には自覚と表明が求められる

本書では続けて高いレベルでの一貫性を保つ方法について、こんな注意点をあげています。

高みから俯瞰することで、内に抱える多くのものの折り合いをつけることができるのだ。ただし、自分の大まかな指針を世間にはっきり伝えるよう心がけなければいけない。(中略)

大切なのは、昔からずっと同じ自分でなくても、自分であることには変わりないという認識を持つことだ。

P.127

つまり、高いレベルでの一貫性には自覚と表明が求められるということです。そのためには自分の時間をたっぷりとって内省的になる必要があるでしょう。また、以下の記事で紹介した夢の文章化は、そのためにパワフルな効果を発揮するはずです。

夢はたったの2年5ヶ月でどれほど変わったか?~夢を毎日読み返してみると、自分の夢にどれだけ無関心だったかが分かる~ | jMatsuzaki

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貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。