jMatsuzakiの次なるチャレンジについて~(3)三十歳で人生を再選択するには?

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私の愛しいアップルパイへ

▼いまの差し迫った問題については先日お話したとおりです。

今日は問題をさらに深掘りしてみようと思います。それはつまり、なぜ今このタイミングでこの巨大なレンガの壁にぶち当たらなければならなかったのかという話です。

1月1日生まれは天才への特急券である

マルコム・グラッドウェル氏のOUTLIERS(邦題:天才!成功する人々の法則)には、カナダのアイスホッケー選手のなかでもスターと呼ばれる選手たちは圧倒的に1月〜3月生まれが多いという話があります。

学年の変わり目である1月~3月生まれの子供は同学年のなかで最もはやく生まれた子供であり、身体的な優位性が高いのです。単にはやく生まれたからというだけなのですが、それを運動の才能があると勘違いした周囲の反応と、本人によって好機が次々と舞い込んできます。

結果、小さな優位点が累積することでいつしか本当の天才になってしまうのです。カナダのアイスホッケー選手にとって、1月1日生まれは天才への特急券であるといえるでしょう。

▼本書について詳しくはこちらをお読みください。

さて、この本を読んで私が真っ先に考えたことがなにかわかりますか?それは、こうです。

では、12月31日生まれのアイスホッケー選手はどうすればいいのか?

私は小学生の頃に芽生えた夢に蓋をし続け、三十歳を前にしてようやく音楽家になる夢へと向かう覚悟を決めたような人間です。いうなれば12月31日生まれのアイスホッケー選手した。

およそ三十年間、小さな劣位点が累積された12月31日生まれのアイスホッケー選手!

英才教育の賜物である絶対音感の訓練など当然受けていなければ、親の庇護下にあるうちに専門的な教育を受ける機会も得られませんでした。12月31日生まれの負い目から徐々に消極的になり、少なからず若さが優位なる業界において旬となる時期を完全に逃しました。

1月1日までは天才の特急券であるならば、逆に私のような12月31日生まれのアイスホッケー選手はどうすればいいのでしょうか?これは私にとってとても切実な悩みした。

12月31日生まれにとっての2つの障壁

私のように三十歳で人生を再選択する上で、障壁なることが2つあります。

孤独で前例のない旅になること

YouTubeを開けばモーツアルトも目を見張るほどの神童が溢れかえっている時代です。1月1日生まれのアイスホッケー選手の存在も戦略もありふれていますが、それに比べれば12月31日生まれのアイスホッケー選手の存在と戦略はむしろ稀です。

そりゃあ1月1日生まれのアイスホッケー選手を育てたほうが自分にとっても他人にとっても楽しいチャレンジになるでしょうし、人々の興味も惹きます。

幼い頃に親の支援を全面的に教授でき、それによって優れたトレーナーのもとにつくことができ、同じスタートを切った学友たちと切磋琢磨することができる。小さな優位点は累積され、大人顔負けの能力が身につき、才能が開花するのはある種の必然です。

対して、12月31日生まれがそれでもなお一流のアイスホッケー選手になることを切望するならそれとは少々異なる覚悟が必要です。

親からは拒絶されるかもしれません。親のもとを離れて自立しながら、同じ時期にスタートを切った学友もなく、複雑な状況のなかで自らの道なき道を切り拓いていかねばなりません。12月31日生まれの境遇は人それぞれで、それゆえに孤独で前例のない旅になることは容易に想像できます。

この環境的な厳しさは12月31日生まれのアイスホッケー選手にとって大きな障壁の一つになるでしょう。

12月31日生まれである不安と恐怖

もう一つの障壁は心理的な障壁です。

12月31日生まれによる負い目は自己否定という名の心理的障壁を作り出します。

精神面では自己否定に晒され、行動面では積極性が欠けたりといった影響が顕在化するでしょう。

「自分には才能なんてないのではないか?」「なにか、とんでもない間違いを犯しているのではないか?」「もうすでに手遅れなのではないか?」といった疑心暗鬼と日常的に戦わねばならないでしょう。目の前は不安と恐怖という名の霧と霞に覆われています。アクセルを踏もうと思ったときには同じくらいの強さでブレーキを踏みたくなります。

このような心理的障壁は遅咲きの夢想家たちを、12月31日生まれのアイスホッケー選手たちを、大いに悩ませることでしょう。

ただでさえ12月31日生まれという時間的なハンデを負っていて、さらには道なき茨道を行く必要があるにも関わらず、そのうえ全速力で走るのが難しいという状況です。

三十歳で人生を再選択するには?

おっと、勘違いしていただきたくないのは、私はなにも12月31日生まれであることを嘆いたり、不貞腐れたり、自分を特別視したり、不幸自慢したりしたいわけではないってことです。私やあなたのようなダイ・ハードな夢想家にとって最も興味を惹くのはいつだって「これからどうするか?」でしょう。

三十歳から一流の音楽家へと至る道はどこにあるのか?それは現実的に可能なのか?可能ならば、どうすればいいのか?

この愛すべきブログを立ち上げてからの5年間。「12月31日生まれのアイスホッケー選手の戦略」は、私にとって最重要テーマでした。

自らが偉大だと認める仕事を特定し、その仕事に没頭できる環境を整備し、そのために自分自身をうまく使う方法を必死に試行錯誤してきました。そのことに心血を注いできました。

「時間さえあれば…」「意志力さえあれば…」「お金さえあれば…」「体力さえあれば…」「人脈さえあれば…」「知識さえあれば…」

12月31日生まれのアイスホッケー選手なら誰もが陥るであろう「◯◯さえあれば…」という課題を1つ1つ突破し、今に至ります。そして現実的な問題を一通り解決したいま、ここに来てようやく「で、これからどうするの?」というシンプルな質問に対する明確な回答を持ち合わせていないことに気がつきました。

自分でも驚くべきことに、「あとは自分の好きなことに没頭してさえいれば、いつか成功が舞い込んでくるだろう」という程度の安易かつ曖昧かつ幼稚かつ稚拙かつ軽薄な戦略しか持ち合わせていなかったのです。

目下の課題を片付けることに必死になっている間、この巨大なレンガの壁を見て見ぬふりしていたのでしょう。人は自分を騙す天才ですから、ときに頭のなかの考えの重大な矛盾や欠陥に気がつかないのです。

これが私のレンガの壁の正体でした。次回からはレンガの壁を突破する方法について、つまり12月31日生まれのアイスホッケー選手の戦略について話していきましょう。

貴下の従順なる下僕 松崎より

▼ネクストッ!

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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。