私の愛しいアップルパイへ
曲を作ろうと思い立ち、机の前に座って「さて何から手をつけよう?」
そんな経験はありませんか?もしあったなら反省が必要です。それは作曲に賭ける”魂”と”情熱”をムダ遣いしている事に他ならないからです。
しかし逆をいうと、事前にプロセスを標準化してモデル化しておく事で最高のパフォーマンスを発揮できるようになります。
◇「何から手を付ければ良いかは誰も教えてくれない」
事前にやるべき行動を決めておかないと”魂”と”情熱”はカラ回りします。それが真に重要な労働であるなら大きな問題です。
楽典、対位法、和声学、旋法論、旋律学、楽式論、音楽史、アナリーゼ、、どれも作曲のプロセスを教えてくれるものではありません。そして私は悩みます。「で、何をすればいいんだっけ?」と。
もちろん音楽は創造であり、ゼロベースの発想が土台にあるのは当然です。ただ、本当に悩むべき部分と悩むべきで無い部分を明確に分離し、悩むべきで無い部分は事前にモデル化しておく。そして、悩むべき部分に100%の力を振り絞る事が重要だと私は主張したい。
単なる効率化ではありません。「重心の置き場所」を決めておくのです。それは作曲プロセスのマネジメントです。
◇「ひたすら作って最適化する」
この「作曲プロセス」を誰も教えてくれないのは当然です。作曲の方法・手順は、曲の様式に依存するだけでは無く、その音楽家の趣味・思考、性格、その時の気分、感情、制作環境、金銭的余裕、人脈、身分、立場などあらゆる事に依存しているからです。
なので、ひたすら作品を作り上げて、制作の過程を記録して、少しずつ自分に最適化し、モデル化していくしか方法はありません。しかし、これを無骨にひたむきに少しずつコツコツと続けてきた者とそうで無い者は、作業効率だけでは無く、品質においても必ずや大きな差を産むと私は信じています。
◇「思いつきだけで終わらせない」
音楽は決して”単なる思いつき”だけでは作れないと私は信じています。優れた音楽には必ず「種も仕掛けもある」というのが私の持論です。「音楽は享楽だが、神秘では無い」というのが私の持論です。
だから少しずつでも「種と仕掛け」を作っていきましょう。作曲プロセスマネジメントの極意は“没頭すべき事に没頭できる仕組みを作る事”です。
貴下の従順なる下僕 松崎より