私の愛しいアップルパイへ
変化だ!奇妙なものに目を向けろ!!
突然ですが、音楽理論なるフレームワークには大きく分けて二つのアプローチがあります。
一つは既存の作品を分析し、体系立て、抽象化、一般化し、規則として整理したもの。
そしてもう一つは、今ある一般的な規則を応用し、新しい規則を生み出し、そして作品に適用したもの。
これら二つは”作品⇒規則”と”規則⇒作品”という意味でまったく逆のアプローチと言えます。
前者は既に存在する曲から規則を抽出する訳ですから、耳に心地よい分しばしば保守的な規則だと言えるでしょう。
後者はしばしば耳に違和感を与えますが、革新性があり、時折我々をハッとさせます。
今回は後者にによる奇妙な和音のご紹介です。
固有和音は3度音程に縛られている
我々が知る楽曲のほとんどは、その調が持つ固有和音によって骨組みが作られています。
固有和音とは、その調の構成音一つ一つをルートとした時に作られる最もポピュラーな和音です。
例えばハ長調を例に見てみましょう。この調の固有和音は以下となります。
このシンプルな3和音を使い、トニック・サブドミナント・ドミナントを中心にコードが進行していく訳です。
このコード群をじっくり見るとある一つの法則に気がつきます。
それは全て3度音程の積み重ねによって成り立っているという点です。
3度の堆積からの開放
ここまでくれば勘の良い方ならおわかりですね。
そうです。何も3度の積み重ねばかりを使う必要は無いのです。
3度があれば当然4度の積み重ねも5度の積み重ねも有り得るのです。
実際に弾いてみると三度の和音に馴れた我々の耳にはいささか無機質で冷徹な響きであるように感じさせます。
同時に、このなんとも単純な一つのアイデアが我々の霊感を呼び起こすのに十分な力を持っている事を知るでしょう。
奇妙なものに目を向けろ!
いかがでしょうか。なんともシンプルなアイデアですが、中々奇妙だと思いませんか。
この考え方は四度や五度に限らず、短三度の堆積や長三度の堆積などに応用する事も可能です。
さて、私は時に思うのです。我々には”奇妙さ”が足りていないのでは無いかと。
そして”奇妙さ”が我々にとっていかに魅力的であるかは言わずもがなです。
これらシンプルな一つのアイデアが、あなたの”奇妙さ”を追い求める心に働きかける事を願います。
貴下の従順なる下僕 松崎より
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▼ご参考------------------------------------------
近代和声学 (1955年) 松平 頼則 音楽之友社 1955by G-Tools |
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