教会旋法の苦手意識を克服!教会旋法は柔軟だと知る!![その2]

 

音符 / SigNote Cloud

 

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教会旋法の粗野で無骨で異国的な響き、なんと甘美なるかな!

 

教会旋法の苦手意識克服シリーズの第二弾です。

 

前回は教会旋法の歴史を簡単に説明し、これらが持つ柔軟さや自由さについて説明しました。

 

今回はそれらを扱う為のより具体的な使用方法について言及します。

 

ちなみに第一弾はこちら。始めての方は是非ご覧下さい。
教会旋法の苦手意識を克服!教会旋法は柔軟だと知る!!
 

 

「多声部」教会旋法の規則

 

「多声部」教会旋法が、グレゴリオ旋法と「長調」「単調」音楽の間を取り持つにあたり、教会旋法に与えられた幾つかの規則をご紹介しましょう。

 

1.ドミナント上の三和音では長3度を用いる

 

これこそ教会旋法に生じた最も本質的な変化と言えるかもしれません。

 

ドミナント上の3度の音を半音上げる事で生じる和声的な説得力が、全ての旋法に適用されるようになりました。

 

つまり、「導音」の導入です。

 

例えば第1旋法であるドリアで考えてみると、第7音度であるCを#し、主音Dとの半音関係を作るという事です。

 

2.主和音を終始和音で用いる際は、長3度を用いる

 

これはドリアを例に取ると、終始和音でD上の三和音を用いる場合に、Fを#させるという事です。

 

これによって、ドリア上の三和音は「D,F,A」⇒「D,F#,A」が頻繁に用いられる事となりました。

 

3.下方向へ進行する際に、Bを♭させる

 

下向進行ではBを♭させ、Aとの半音関係が積極的に用いられるようになりました。

 

逆に上向進行ではBを♭する事はありません

 

4.FとBの不協和音程を避ける為にB♭を用いる

 

FとBの間は増4度音程になっており、不協和な響きを生み出します。

 

これを避ける場合にもBを♭させる事で回避されるようになりました。

 

5.FがGに向かう場合、しばしばF#を用いる

 

FとGの全音関係においても、必要に応じてFを#する事で半音進行が積極的に用いられる事となりました。

 

これらを見ると、「多声部」教会旋法の本質は、「導音」を始めとした積極的な半音進行の導入と言えそうです。

 

 

固有和音の変化

 

上記の通り、「多声部」教会旋法では必要に応じて半音進行が積極的に用いられる様になりました。そして、このある時には全音を用い、ある時には半音を用いるという事こそが、教会旋法の独自性を主張するのです。

 

ドリアを例に見てみましょう。

 

ドリアにおいては、必要に応じて三つの音に臨時記号が付与されます。

 

・主音Dと3度音程の関係にあるFに#を付ける

・ドミナントと3度音程の関係にあるCに#を付ける(=導音)

・下向時のBに♭を付ける

 

これにより、主音Dの短調が持つ7つの固有和音に加えて、ドリアは最大で倍の14もの固有和音を使える事になります。

 

例えば、F#を用いたD上の長三和音、B♭を用いたE上の短三和音、C#を用いたF上の長三和音、、、といった具合です。

 

この自由で豊かな和音の選択こそ、教会旋法が持つ独特で異国的な響きの本質だと言えるでしょう。

 

 

教会旋法は柔軟だ!

 

いかがでしょう。これら教会旋法の「長調」とも「短調」とも違う柔軟性、独自性についてご理解頂けましたでしょうか。

 

この厳密さを欠いた教会旋法の自由さが、作曲時の選択肢を広げる技法として快く受け入れられる事を願います。

 

尚、「長調」「短調」は”転調”において教会旋法をはるかに凌駕する可能性を秘めています。こちらについてはまた別の機会に。

 

貴下の従順なる下僕 松崎より

 

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▼ご参考------------------------------------------

4393930266 旋法論 楽理の探究

東川清一

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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。