人間関係は変えられる!10年来の腐れ縁はいかにして生産性を取り戻したか?

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photo credit: Richard.Asia via photo pin cc

私の愛しいアップルパイへ

ごく稀に人生に対する考え方や価値観など、私のその後の人生を変えてしまうほどの衝撃的な体験を経験します。

しかもそんなことが細く緩やかなありふれた日常の中に隠れていて、突然やってくるのですから人生は面白いです。

1ヶ月ほど前に起きた出来事もそうでした。最近やっとその時のことが整理でき始めてきたので聞いて下さい。とっておきのストーリーです。

Robertとの出会い

このストーリーで中心的な役割を担う我が友を、ここでは仮に”Robert”と呼ぶことにしましょう。はじまりは18年前に遡ります。

Robertと初めて出会ったのは小学3年生のときでした。クラス変えで同じクラスになったときのことです。

私にも小学生の頃があったなんて驚きましたか?しかし、本当のことです。私も18年前は小学生だったのです。続けましょう。

それから7年後、中学3年生になってRobertと再度同じクラスになったとき、私とRobertは急激に仲良くなりました。今風に言えば”親友”ってやつです。

とにかく平日も休日も、朝から夜までRobertと遊び尽くしました。10年前のあの頃は何をやっても楽しくて仕方ありませんでした。あの時は1日の終わりが信じられないくらい早かったんです。

友情も永遠ではない

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photo credit: Yogendra174 via photo pin cc

残念なことですが、時が経つにつれて私とRobertとの関係は徐々に色褪せていきました。

私とRobertはあまりに似すぎていたんです。2人とも高校を出て、専門学校を出て、システム屋として働くことになりました。成長するにつれ、2人の人生には少しずつ陰鬱が蔓延していきました。

私とRobertを支配していた「楽しさ」も徐々に薄れ、「退屈」が勢力を強めていきました。かの”非常なる現実”は私とRobertを完全に飲み込んで、親友は徐々に”腐れ縁”に落ちぶれていったのです。

「友情も永遠ではない。」私はそう思いました。

冷めきった友情

今から1ヶ月前、昔と比べると随分疎遠になったRobertと飲みに行ったのが、衝撃的な体験を生む発端となりました。彼と飲みに行くこと自体は特別なことではありませんでした。だいたい2月に1度くらいは特に理由もなく行ってたんです。

ただこの頃、私とRobertの関係は完全に冷え切っていて、私はもうRobertとの関係は終わらせるべきだと考えていました。きっとRobertもそう思っていたはずです。本当に”腐れ縁”だったわけです。

私には改善する気も起きませんでした。10年かけて出来上がった”腐れ縁”がそう簡単に改善できるなんて、とても思えなかったのです。

「出来るのは立ち去ることだけだ。今日”ケリ”をつけてしまおうか」。私はそう思っていました。今思えば最低の人間でした。

友情の終わりの始まり

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photo credit: hoyasmeg via photo pin cc

だいたいこの日は出だしから最悪だったんです。Robertは悪びれもせず30分以上遅刻してきて、私は心底腹を立てていました。

焼肉を食べ始めてからも、場を支配していたのは明らかに”退屈”でした。最近就職した地元のJohnの行く末や、大学生活を満喫するDavidの話など、一向に会話は弾みませんでした。

そもそも話す内容なんていつもほとんど一緒で、お互いの話す内容に新鮮さなんて1つもなかったんです。

変化のおとずれ

お互いのいつも通りの話が終わった頃、私は沈黙を避けるために口が自然に開きました。

「このまま今の会社に居座ることにさ、いったいどれほどの価値を見出そうとしてるんだろうね?」

唐突に本音が出ました。夢や生き方の話なんて、Robertとはほとんどしたことがありませんでしたが、たまには良いかと思いました。それから、私はRobertに向けてというより、ただその後ろの壁を見つめながら、今思っていることを率直に話し始めました。

「このまま順調にいけば今の会社であと35年は働くわけだ。今5年働いたところだから、あとその7倍は働けるんだぜ。驚きだろ。正直に言うとね、気が狂いそうだよ。

いったい誰がそれを望んでるんだろうな。確信を持って言うけどさ、少なくとも自分だけはそれを望んでないのは確かだよ。それじゃあいったい誰のために35年間も臭い古雑巾を演じないといけないんだろうな?それも人生で最も活力に満ち溢れた35年間だぜ。それを差し出す価値が本当に今の生活にあるのか?甚だ疑問だね。」

1度話し始めたら熱くなってきて、止まらなくなりました。

「俺は心底思うよ。最大の間違いはさ、就職するまでに”仕事は我慢の対価だ”っていう錯覚から抜け出せなかったことだね。思えば随分と巧妙な刷り込みだったよ。金は忍耐の先にだけ存在すると思って疑わなかったんだから。

高校も専門学校も今の会社もさ、進む道をただ人にお任せしてたんだよ。何1つとして自分で決めたことは無かった。自分の人生なのにだぜ。嘘みたいだろ?でも真実なんだよ。夢かと思ったけどさ、真実だった。」

この辺まで話して私は頭が混乱してきました。何故かと言うと、私の人生の話をしているのか、それともRobertの人生の話をしているのか、分からなくなってきたからです。それくらい私とRobertは似過ぎていたんです。私は自分の話をしているのかRobertの話をしているのか分からないまま続けました。

「中学から今まで不幸に向けて一直線だった。いいかい?驚くなよ。俺はお前に真実を言うけどさ、中学を卒業してからずっと右肩下がりの人生だったんだぜ。ピークは中学3年生で、そっから10年もの間、右肩下がりだったんだよ。このままあと35年も続いたらいったいどうなってしまうんだ?俺は恐ろしいよ。

1言で表現するなら”らしくない”だね。今の俺たちは”らしくない”よ。10年前を思い出して見ろ。あの頃は楽しくて仕方なかった。何が楽しいかなんて考える暇もなく、ただひたすら楽しかった。そこに疑う余地すら無かったんだ。今はどうだ?楽しんでいいかどうか人の顔色見ながら、ビクビクオドオド生きてる。なんて情けないんだろうな。俺たち”らしくない”よ

楽しさのピークはもう過ぎてて、後は落ちていくだけなんて耐えられない。10年前、20年前は良かったって言いながら生きるんだぜ?耐えられるか?俺は御免だね。実はさ、もう決意したんだよ。俺はもう臭い古雑巾を演じるのを辞める。俺はさ、自分の人生に責任を取るって決意したんだ。それでさ、、、、、」

私は自分に向かって言っているのか、Robertに向かって言っているのか混乱しながらも、必死に頭を働かせてこう言いました。

「お前はどうなんだ?本当にこのまま後35年間生きてくつもりかい?」

友情に炎が灯る

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photo credit: Mr. Theklan via photo pin cc

退屈そうに押し黙っていたRobertはゆっくりと口を開きました。

「ああ、俺はさ。このまま生きてくくらいなら死んじまった方がマシだと思ってるよ。」

私は驚きました。その瞬間、完全に空気が変わったのを感じました。人生で初めての経験でした。さっきまでの”退屈”は消え去り、ただ”情熱”だけがその場を支配していました。弱音を吐いたことなんて1度もなかったRobertの言葉に少し動揺しながら、私は言いました。

「Goooooood!でも聞いてくれ!いいか、俺は気づいたんだ!”楽しさ”を諦める必要なんてなかったんだよ!しかも、俺たちは今からでも”楽しさ”を自分で選択できるんだ!!」

Robertは興奮ぎみに言いました。

「そうだ」

私は言いました。

「命を投げ打つ覚悟があれば、何だってできる!地べた這いずりまわって、必死に人生にかぶりついていけば、俺たちは必ずあの頃に戻れる!寝てるのが勿体なくって、布団から飛び出るように起きてた中学3年生のあの頃にだ!

いや、むしろ自らの力でもっと高みを目指せるだろうよ!!最も高いピークをこれから自分で作れるんだ!!!

Robertは吹っ切れた顔で言いました。

「そうだ、その通りだ!」

腐れ縁を根底から変えたもの

それからというもの、私とRobertの関係は激変しました。互いに心から打ち解け、尊敬しあい、それぞれが出来る限り協力しあうようになりました。Robertと過ごす時間は、他の誰と過ごす時間より生産的なものに変わりました。

さて、この驚くべき奇跡体験はいったいどこから来たのでしょうか。私はその源泉を、7つの習慣に謳われている「第五の習慣:理解してから理解される」の中に見ます。

本書には、自分の意見を受け入れてもらうためにまず必要なこととして、以下のように書かれています。

相手の立場を相手以上にうまく説明することで、相手の立場を深く理解していることを示すことだ

そして偶然とはいえ、私がまるで自分のことのようにRobertの立場を的確に説明したことが、明らかに”腐れ縁”を激変させたのでした。

相手のことを真に理解したとき、新しいコミュニケーションの扉が開くのだと、私は実体験をもって理解したのです。

Robertのその後

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photo credit: Luz Adriana Villa A. via photo pin cc

Robertは最近ブログを始めたらしいです。そのブログを見る限り、自分の夢に向かって着々と歩を進めているようです。

実は私はいつかRobertと2人で仕事をしようと思っています。きっと彼となら最上の相乗効果を発揮できると確信しているからです。これからのRobertとの新しいストーリーが楽しみでなりません。

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。