PowerPointの限界を超えた表現の楽しさを!~書評「すごプレ」~

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photo credit: Louisville Joe via photopin cc

私の愛しいアップルパイへ

プレゼンテーションにおいてスライドは重要なファクターです。スライドの出来だけで、聴衆の反応を大きく変えることだって可能でしょう。そんな大切なスライドを、あなたはどんなツールで作っているでしょうか。

やっぱりAppleのKeynoteですか?MicrosoftのPowerPointじゃエレガントさに欠けると言わざるを得ませんか?

hmm,,,あなたもそろそろお気づきかと思いますが、「PowerPointはダサい!Keynoteはカッコイイ!」は誤解です。

スライドの良し悪しはツールの問題ではないのです。どんなツールを使おうがプレゼンターのセンス次第で良くも悪くもなるものです。信じられないですか?箇条書き中心のPowerPointじゃ限界があるって?

そんなPowerPointの限界を突破してくれる本があります。紹介しましょう。「すごプレ」です。

「すごプレ」に見るPowerPointの限界を超えた表現の楽しさ

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上記は「すごプレ」を読みながら見よう見まねで作ったスライドの1枚です。なかなかCooooool!!だと思いませんか?少なくとも従来のPowerPointらしさは感じられないのではないでしょうか。

あなたのPowerPointに対する先入観を根っこからひっくり返してしまう「すごプレ」とはどんな本なのか、今日は本書のポイントをいくつかご紹介していきます。

アニメーションはご法度でない!

本書を読んで私が第一に驚いたのは、スライドの中にアニメーションを大量に盛り込んでいる点です。

近年のスライドに対する常識は「アニメーションは使うな!」でした。この鉄則に真っ向から「否!」をとなえる珍しい本が本書なのです。

もちろん我武者羅にアニメーションを使うのはいけません。アニメーションをスライドの内容に合わせて自然な形で溶け込ませることで、視覚的におもしろみのあるスライドを作るのです。

そうすれば、スライドだけで聴衆を惹きつけることができるのです。

PowerPointクリエイティブ!

本書のテーマは「見せ方を工夫して、見た目におもしろみのあるスライドプレゼンをつくりましょう!」というものです。

このテーマに対するアプローチのしかたを本書では「PowerPointクリエイティブ」と呼んでいます。これは「デザイン」+「動き」+「操作」を組み合わせたテクニックのことです。本書内の解説を引用しましょう。

プレゼンの見た目をおもしろくする3つの要素-すなわち「デザイン」「動き」「操作」-を統合することによって、驚き=おもしろみのあるスライドをつくることです。具体的には、「わかりやすく目を惹くデザイン」をつくり、そこにアニメーション効果や音声・映像によって「動き」をもたらし、プレゼンターの効果的・印象的な「操作」によって見た目のインパクトを生み出す、という作業となります。

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本書に付属されているサンプルを見てみると、とてもPowerPointとは思えないスライドのクオリティに度肝を抜かれます。是非あなたにもこのPowerPointに対する先入観がガラガラと崩れる感覚を味わってもらいたいところです。

”真っ白”からはじめよう!

本書では、スライドの作成は真っ白なスライドからはじめようと言います。できるだけ自由な発想ができるようにするためにです。

非常に単純なアイデアですが、なるほどと唸りました。よくよく考えてみると、そうしなければ必然的にエレガントさに欠けたスライドになってしまうからです。これは多くの人が陥っている落とし穴です。

考えてもみて下さい。「クリックしてタイトルを入力」なんて問いかけに答えていくだけで、魅力的なスライドが作れるでしょうか。(否、作れないであろう!)

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すぐ使える小ネタファイルが付属!

「アニメーションの使い方やそのデザインのしかたなどを一から覚えるのは面倒だ」と考えているあなたに良いニュースがあります。

本書にはおもしろみのあるスライドを作るための小ネタがいくつも紹介されていますが、それらを実装したPowerPointのファイルが本書に付属しているのです。

つまり、高度なテクニックを自ら身につけることなく、これらのファイルをコピーして使うだけで、十分におもしろみのあるスライドが作れるというわけです。

PowerPointでも十分に表現を楽しめる!

本書に書かれているのは、高度なデザイン知識とアニメーション技術を駆使して実装されたPowerPointの活用法です。

本書に掲載されているようなスライドを自分で一から作るには、かなりの労力がかかるでしょう。しかし全てを真似ることは無理でも、本書に書かれているスライド制作ネタをいくつかストックしておけば、確実に表現の幅を広げることができるでしょう。

何より「PowerPointでここまで出来るのか!?」という世界を知れるだけでも大きな収穫になるはずです。本書は、PowerPointの限界を超えて表現の楽しさを味わいたいあなたにオススメの一冊です。

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。