自己正当化がいかに人間関係を滅茶苦茶にしてきたか

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photo credit: L*Ali via photo pin cc

私の愛しいアップルパイへ

この世に生きていて、人間関係に悩みのない者など居るのでしょうか。(否、居ないであろう!)

上司、同僚、友人、恋人、家族、どんなに親しくなろうとも悩みが尽きることはありません。人間関係から不毛ともいえるトラブルが際限なく生まれ、私たちは苦しみにのたうち回りながら生きているのです。

その問題の大部分を解決する鍵が、たった1600円の一冊の本に書かれていると言ったらどうしますか?わかりました。今日はその本を紹介しましょう。ですから、どうかヨダレを拭いて下さい。

私はなんて小さな人間だったのだろう

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photo credit: swirlingthoughts via photo pin cc

こんな経験はないでしょうか。

急いで乗ろうとしている人に気づいていながらエレベーターの扉を閉めた。ご老人に座席を譲るべきときに譲れなかった。友人との約束の時間に遅刻した。前の客がATMをもたもたと操作していた。仕事が期限内に終わらなかった。

告白します。私はこのようなことが起こるたびに必死に自分を正当化し、不当に相手を責めてきました。

「No!私は悪くない!むしろ悪いのはあいつだ!私は哀れな被害者なんだ!!」と。「私は多忙だから仕方ないんだ!私は休みなく働いて疲れているんだ!私には他に重要な仕事があったんだ!」と。

そして、このような経験をしたときは必ず後で「自分はなんて小さい人間だろう」と思い悩んできました。あなたは信じないかもしれませんが、私はこう見えて繊細な心の持ち主なのです。

しかし、瞬間的に起こる突発的で激しい感情の波にどうしても逆らうことができずにいました。

自分を過剰に評価し、相手を叱責しようとする。そんな態度をとれば明らかに人間関係は悪化すると分かっていても抗えないのです。

このことが取り返しのつかない後悔を生んだことだってたくさんあります。

人はいかにして「箱」に入るか

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photo credit: Tony Fischer Photography via photo pin cc

「これは私の生まれながらの性分なのだろうか。やっかいなもんだ。。」

諦めかけていたときに、一筋の光がさし込みました。それが今回紹介する「自分の小さな「箱」から脱出する方法」と呼ばれる本です。

本書では上述したような“不当な自己肯定”によって引き起こされる様々なコミュニケーションの問題を「箱に入る」と表現し、そのメカニズムを分かり易く説明します。

我々は自ら”箱に入る”ことで、いかに人間関係を滅茶苦茶にしてきたか、簡単にまとめてみましょう。

1.自分への裏切りがきっかけになる

やった方が良いと分かっていることをやらなかったとき。つまり、自分を裏切って望ましくない選択をしたときに、問題が起こりはじめます。

扉を開けたほうが良いのに開けなかった。席を譲ったほうが良いのに譲らなかった。という風にです。

ポイントは、相手が悪いことをしたから自分が望ましくない選択をするのではないというところです。逆なのです。自分が望ましくない選択をしたがために、相手が悪者になる必要が出てくるのです。

人間関係が悪化する源泉は、自分の選択にあったわけです。

2.なにがなんでも自分を正当化したくなる

そして、望ましくない選択をした自分を肯定するために、人は過剰に自分を正当化したくなり、相手を過剰に罵りたくなるのです。

「私は悪くない!悪いのはお前だ!うすのろ!!」と。そうでなくては自分が困るからです。こうなると全てが歪んで見えるようになります。まるで”箱に入っている”かのようにです。

3.正当化イメージが性格になる

自分への裏切りと自己正当化は、癖になります。つまり、いちいち望ましくない選択をせずとも、日常的に自分を正当化し続けるのです。

「私は多忙だから仕方ないんだ!私は休みなく働いて疲れているんだ!私には他に重要な仕事があったんだ!」という前提のもとに、日常的に行動し始めます。性格になるというわけです。

4.相手も自分を正当化しはじめる

そして、恐ろしい事態に発展します。

自分を過剰に正当化し、相手を手ひどく扱うことによって、今度は相手が自己正当化を始めるのです。

こうなると泥沼です。「早く帰ってこい!」と叫ぶ母親に反抗して、息子はより遅い時間に帰るようになります。すると母親はさらに強く罵るように「早く帰ってこい!」と叫び始め、息子は「待ってました!」と言わんばかりにより遅く帰るようになるのです。

気づかぬうちにこの負のスパイラルが、一般的な職場を、家庭を、友情を、恋愛を浸食しているのです。災いなる哉!我々は足を引っ張り合いながら生きているわけです。

箱の外にいる人間になろう

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photo credit: violscraper via photo pin cc

相手を責めているうちは事態は改善されません。「箱に入る」問題を自覚し、他人のことを自分を不快にする”モノ”としてではなく、きちんと人として受け入れたとき、はじめて我々は箱の外に出ることができます。

本書を読み、人が箱に入るまでのメカニズムとそこからの脱出方法の全貌を真に理解したとき、あなたは激しい後悔を感じるとともに、それ以上に大きな希望の光に包まれることでしょう。創造的なコミュニケーションがもたらす希望の光です。

 

人間関係に悩む全ての人にお勧めしたい一冊。文句なしの名作です。

貴下の従順なる下僕 松崎より

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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。