photo credit: pfala via photopin cc
私の愛しいアップルパイへ
意識しているか否かに関わらず、私たちは日々様々な選択をしています。就職といった大きな選択から、今日の昼食メニューといった小さな選択まで、その1つ1つが今の私を作っているとも言えます。そう考えると「選択する能力」によって生活は大きく変わると言えるのではないでしょうか。
そんな深淵なる選択の世界を徹底的に研究して体系化したのがシーナ・アイエンガー氏の著書「選択の科学」です。彼女は冒頭でこんな風に言っています。
わたしたちが「選択」と読んでいるものは、自分自身や、自分の置かれた環境を、自分の力で変える能力のことだ。
P.23
▼過去の連載はこちら
・(1)世界の見方を変えれば、あなたの選択肢を増やすことができる ← Just Now!
・(2)首尾一貫した自分であることに固執しなければ選択肢が広がる ←Next!!
これからこの「選択の科学」を参考に、私たちが選択する上で注意すべきポイントを何回かに分けて連載していきます。今日は選択肢の数と幸福度についてです。
選択の自由度が幸福度を高める鍵
人にとって「選択」は本能です。自分で選択しているという自覚は、私たちに大きなパワーをもたらしてくれます。こういった経験は1つや2つあるでしょう。
どんなに待遇が良くとも、誰でもできるような単純作業を黙々とやらされるのはひどくストレスが溜まるものです。逆に、忙しくて報酬がイマイチでも、大きな仕事を自分に任せてくれるほうがやりがいを感じるでしょう。
裁量の度合い大きければ幸福度は増し、小さければ幸福度は下がります。それは野生の動物よりも、動物園の檻に入れられた動物のほうが寿命が短くなるようにです。
世界の見方があなたの選択肢を増やす
それでは、のっぴきならない現実の中で気の遠くなるような単純作業を無理やり押し付けられた人は、不幸にならざるを得ないのでしょうか。
NO!ここで見落としてはいけないのが、裁量の度合いの大きさは多分に本人の認識のしかたに影響を受けている点です。
この研究で、人々の健康に最も大きな影響を与えた要因は、人々が実際にもっていた自己決定権の大きさではなく、その認識にあった。実際、下位層の公務員は、上位層よりも仕事の自由度は少なかったが、同じ階層内でも、自分に仕事の自由度がどれくらいあるかという認識と、それに対応する健康状態は、人によって大きく違ったのだ。
P.35
単純作業だと思える仕事でも、考え方1つで創造性な選択肢を見つけられるかもしれません。私たちは世界の見方を変えることで新たな選択を生み出すことができます。そうすればつまらないと思っていた仕事にもやりがいが出てくるでしょう。
自分が選択したことに意識的になれば幸福度が高まる
たしかに、いきなり世界の見方を180度変えるのはそう簡単な話ではありません。私たちに深く刷り込まれた先入観を変えようとすることは、空中に花を咲かせるより難しいでしょう。
「それでは、結局のところ外部環境によって私たちの選択肢は固定されてしまうのか!我々はただ奇跡を信じて反応的に生きるしかないのか!!」と悲観するのはまだ早いです。本書ではこの問題について興味深いアプローチを示してくれます。
この研究が教えてくれるのは、たとえささいな選択であっても、頻繁に行うことで、「自分で環境をコントロールしている」という意識を、意外なほど高めることができるということだ。これは、ささいなストレスが徐々に蓄積していくと、たまの大きなできごとが引き起こすストレスより、大きな害をおよぼすようになるということの裏返しだ。
P.37
選択肢の数を無理やり増やそうとする必要はありません。日々当たり前のように行っているささいな選択肢に対して意識的になるだけで、恩恵を受けることができるでしょう。
今日のお話をまとめます。自由に選択しているという意識が、私たちの幸福度を高めます。選択の自由度は、多分に「あなたが世界をどう見ているか?」に影響を受けるものです。その見方は、無意識的に行っている選択に対して意識的になるだけで、良い方向に変えることができるでしょう。
▼過去の連載はこちら
・(1)世界の見方を変えれば、あなたの選択肢を増やすことができる ← Just Now!
・(2)首尾一貫した自分であることに固執しなければ選択肢が広がる ←Next!!
貴下の従順なる下僕 松崎より