実力を100%発揮する方法は自分の中の妨害者を弱体化させることだった

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私の愛しいアップルパイへ

先日、あなたにこんな話をしたのを覚えているでしょうか。

端的に言うと、不安や期待を手放して今から1つ1つ積み重ねていけばいいと思えた時にこそ、人は自分の底力を発揮できるという話です。

実はこの記事を書いて以来、1つ大きな課題を抱えていました。それは「では不安や期待を手放すにはどうすれば良いのか?」という問題です。大抵の場合、こういったものはそう簡単に手放せるものではないでしょう。

私は定期的に不安のまったくない爽快な状態を経験するのですが、再現方法が分かりませんでした。そして、時間とともにまた新しい不安に悩まされ、徐々に爽快さが失われブレーキを踏みながら前進しているような気分になってくるのです。

そんな私の問題に大きな風穴を開けてくれた本があります。それが今日紹介する「実力を100%発揮する方法」なる本です。前知識なくタイトルに惹かれて買ったのですが、予想以上に衝撃的な内容だったので、あなたに強くオススメします。

自分の中にいる妨害者を弱体化させない限り幸福も成功もない!

この本の主張するところは、自分の強みを特定してそれを伸ばせと説く「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす」と比較して逆のアプローチといえる本でした。ストレングス・ファインダーについては以下の記事にまとめがあります。

本書は「人の中には自分のポジティブな行動を抑制しようとする妨害者が必ず存在する。この妨害者を弱めない限り、人は自分の実力を発揮することができず、幸福も心の平安も成功も得られない。」と言います。

妨害者はどんな人間の中にも存在します。妨害者の実態は、主に幼少時代に習慣化された思考パターンの塊だからです。本来、大人になればもっと創造的な解決方法を見出すことができるはずなのですが、我々は誰もがこの幼い頃に培った思い込みからなかなか抜け出すことができず、気づかぬうちに様々な妨害を受けています。

今日は本書が説く妨害者の特徴やそれを弱体化させる方法について簡単に紹介します。

自分の中に住み着いた妨害者を弱体化させる方法

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妨害者とは危機や不安に過剰反応する部分である

まず「妨害者」とはなにかを説明しましょう。先述したとおり、妨害者とは幼い頃に習慣化された思考パターンの塊です。この思考パターンがどんな傾向を持っているかというと、危機や不安、恐怖の回避を再優先しようとします。

そのため、新しい挑戦をためらったり、人の指摘に攻撃的になったり、環境が悪化しているのになかなか行動に移せないといった状態に陥ります。

妨害者は、知識の少ない幼少時代に世界を安全に生き抜くためにつくりあげたものなのですが、大人になってからも妨害者に頼ったままでいると、思うように実力が出せずのたうち回ることになります。

そして妨害者の最も恐ろしい特徴の1つは、妨害者が思考に定着してしまって、多くの人は妨害者の存在にまったく気づいていない点なのです。

妨害者による妨害を簡潔にまとめた本書の一節を紹介しましょう。

自分の人生を振り返ってみてほしい。自分を必ず幸せにしてくれるはずの何かを手に入れたあと、幸福感がどれだけ長続きしただろうか。仕事の成績や幸福度を高めようとして読んだ本、受けた研修の多くを振り返ってみてほしい。改善できたことが、その後どれだけ長続きしただろうか。

妨害者のボス「裁判官」との戦いを始める

妨害者は人によって様々な特徴を備えているのですが、1人だけ誰もが抱えている妨害者のボスが存在します。それが「裁判官」という奴です。誰もがこの裁判官に苦しめられており、裁判官との戦いに勝つことが妨害者を弱体化させる重要なポイントになります。

裁判官は常に自分や他人、状況の粗探しをしています。自分の欠点や過去の過ちを裁いたり、他人の悪いところを裁いたり、悪い状況を裁いたりしています。それによって責任をなすりつける先を探しているのです。結果、不安や怒りや挫折、後悔や悔しさを生み出して、「このままではうまくいかない!」と悲観的になります。裁判官はネガティブなエネルギーで我々を行動に駆り立てたり、行動を抑制させたりするのです。

さらに、裁判官は妨害者のボスなので、様々な個性をもった他の妨害者を活性化させる働きも持っています。

裁判官の手にかかると、ものごとをチャンスや贈り物と捉えることができなくなり、ポジティブなエネルギーからくる行動を妨害してしまうのです。裁判官の名の下で人を裁くのを止めれば、大きな進歩を感じられるでしょう。

自分の中に居る声の大きい共謀者を特定する

裁判官以外にも、幼少時代の環境によって様々な特徴の妨害者が作り上げられます。妨害者を弱体化させるには、自分の中の妨害者がどんな奴なのかを知ることがまずもって大切です。自分の中にどんな妨害者が居るか分かれば、そいつの首根っこを捕まえて弱体化させることができますから。

本書ではこの裁判官以外の妨害者のことを、裁判官の「共謀者」と呼んで9つに分類しています。簡単に名前と特徴をまとめましょう。

  • 潔癖症 … 行き過ぎた完璧さ、秩序、整理整頓を求め、自分や周囲のエネルギーを無駄に消費する
  • 八方美人 … 人から受け入れられることを再優先するがあまり、自分の目標を見失う
  • 優等生 … 外面的な成功にばかり目が行くようになり、たえず実績をあげていないと自分を大切にできなくなる
  • 犠牲者 … 感情的になったり、気まぐれに振る舞うことで愛情を得ようとするが、辛い気持ちに目が行きすぎて被害者意識に陥る
  • 理屈屋 … すべてを合理的に処理しようとする気持ちが強すぎて、傲慢になったり冷たくなったりする
  • こわがり … 危険や危機に過敏になり、安心することができなくなって大きなストレスを抱えてしまう
  • 移り気 … さらなる刺激を求めてたえず別のことに目を移したり、忙しさで気を紛らわせたりするが、安らぎや満足を得られない
  • 仕切り屋 … 不安にかられて支配権を握ろうとし、状況をコントロールしようとしてまわりの人間を無理やり従わせようとする
  • 優柔不断 … 明るいことや心地よいことばかりに注目して、先延ばしや事なかれ主義が習慣化してしまう

本書の中にはもっと詳細な特徴がまとめられていて、自分の中で大きな力を持っている共謀者を診断できるようになっています。ちなみに私は「八方美人」と「潔癖症」の共謀者が特に強いことが分かりました。これは私にとってここ最近で最も大きな発見になりました。

妨害者が現れる都度ラベリングして妨害者を弱める

「で、妨害者を弱体化させるには具体的に何をすればいいの?」ですか。良い質問です。

本書ではいくつかの方法が提示されるのですが、その中でも妨害者を弱体化させるために効果的なのが「ラベリング」と言われています。自分の中に妨害者が現れたらそれを自覚して、「妨害者の◯◯がまた××と言っている」てな具合にラベル付けするのです。

たったそれだけ?と思うことなかれ、妨害者を弱体化させる一番効果的な方法は妨害者を自覚することなのです。妨害者の強みは、あなたが気づかないうちにあなた自身に成り代わってしまっていることだからです。本書の一節をご紹介しましょう。

なぜなら妨害者は本来、味方を装ったり分身のようにふるまったりして、正体を見破られずに活動するときに最も破壊力をもつからだ。観察とラベル付けはそんな仮面をはぎとり、その言葉のウソを暴く。「自分にはできない」と「自分にはできないと裁判官が言っている」の違いを知ってほしい。そうすれば雪だるまはあなたの意識の光に当たって溶けていく。

妨害者の代わりに賢者のパワーを発揮する

我々の中に居るのは妨害者ばかりではありません。妨害者が活発な間は眠っていますが我々の中には「賢者」も居ます。賢者は妨害者と対極的な存在です。妨害者が怒りや後悔、恐怖や不安などを原動力とするのに対し、賢者は好奇心や創造性、貢献や大義や純粋な楽しさを原動力とする愛すべき奴です。

妨害者が弱体化されたことで賢者が活性化されれば、あなたが本来持っているパワーを発揮できるようになります。本書によると、それは5つあるとされています。

賢者の五つの偉大な力とは、
(1)大いなる好奇心と開かれた心をもって「探求」する力。
(2)自己や他人に共感をもって接し、いかなる状況にも「共感」する力。
(3)新たな視点や独創的な解決法を生み出すべく「革新」する力。
(4)自己の奥底にある価値観や使命感に最もふさわしい「方向」を選んで進む力。
(5)妨害者のせいで悩んだりじゃまされたり注意散漫になったりすることなく、断固たる行動をとる「実行」の力。

妨害者を弱めて賢者を強めれば常にエネルギッシュなパワーが溢れる!

自らの中にどっかりと座り込んだ妨害者の力を弱めることの大切さは分かっていただけたでしょうか。おそらくあなたも自分の中の妨害者について少なからず思い当たるところがあるはずです。かくいう私も心臓をえぐられるような気分でこの本を読みました。

妨害者ではなく賢者の力を得たとき私達は自分の実力を100%発揮することができます。不安や恐怖や期待やプレッシャーといったシガラミから抜けだして、自由に柔軟に本来の力を発揮できるからです。

そのためにはただアクセルを踏み続けるのではなく、ブレーキを踏んでいる足を弱める必要があります。本書はその具体的な方法を的確に教えてくれる実にエキサイティングな本です。本書ではラベリング以外にも賢者を強める様々な方法が書かれていますので、是非手にとってみてください。

貴下の従順なる下僕 松崎より

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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。