前回までのjMatsuzaki
人生はつまらないと青白い顔をする25歳の松崎少年に、人生を楽しくする<censored>な方法を教えてやると豪語するjMatsuzaki。
訳知り顔で語るjMatsuzakiのその内容とは…
世界のために生きてきたのに、なぜかくも不幸なのか?
あんたが疑問に思ってることはよく分かるぜ。
「私は世界のために生きてきたのに、なぜ私はかくも不幸なのか?」ってんだろ?
世界の要求に応えるために、全力を尽くしてきたんだ。世界に胸を張れるようにな。嫌なことでも1つ1つ乗り越えてきた。そうだろ?
世界の要求に応えることに疑問も抱かなかったはずだ。なぜなら、あんたは賢いからだぜ。あんたは世界と調和して生きることに価値を感じてたんだろ?いや、それこそがあんたの価値だと確信してた。自分を超えて、世界の要求に応えながら生きることは、より高次の生き方だからな。
最初の世界はもちろん家族だ。それから徐々に世界は広がっていった。友達も増えて、学校にも行くようになった。バイトを始めたらついに社会とつながった。正社員として働き始めて、あんたの世界は十分に広がった。
世界が広がる都度、新しい要求に応えなければならなかっただろう。最初は意思疎通ができれば良かった。それから仲良くすることを求められ、勉強することを求められ、働くことを求められた。
あんたは決して器用な人間じゃあない。うまくいかないことだっていっぱいあっただろうよ。それでも、逃げずに乗り越えてきたんだ。世界の多種多様な要求に応えるためにな。
それで、そんな自分に自信を持っていった。1人で動物みたいに生きるより、ずっと高いレベルの生き方だからなぁ。自信を持って当然さ。
いつの間にか人生はつまらないものになっていた
ここまで、あんたの人生は順調だった。充分に優等生の生き方だ。こりゃあ皮肉じゃないぜ。俺の本心だよ。あんたは流されるように生きてきたわけでもない。相応の努力の賜物だ。大したもんさ。俺は不器用だからな、尊敬するぜ。
1つだけ計算違いのことがあったよな。そぉ、いつの間にか人生はつまらないもんだと思うようになっちまったことさぁ。いつからつまらなくなったのかも分からない。どこで間違えたのか?最初から間違えていたのか?答えの出ない悩みを前に不安と焦りが膨れ上がっていった。まるでサルトルの「出口なし」さ。
なにが問題だったか知りたいか?よぉし、ここに2つの薬がある。赤い薬と青い薬。赤い薬は、真実を知る薬。青い薬を飲めば、今日のこの会話はすべて忘れる。
さぁ、ネオ!どっちを選ぶ?・・・赤い薬か。ハッハ、どうやら覚悟は決まってるらしい。
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