ゲームオーバーなのか?ゲームスタートなのか?

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私の愛しいアップルパイへ

あなたは私のことをドイツの皇帝のように生まれつき特別な星のもとで生まれた男で、不安や葛藤など抱えたことのない完璧人間だと思っているかもしれませんが、それは買いかぶりというものです。私だって人生に行き詰まるときがあります。

そんな行き詰った状況で度々私を救ってくれた質問があります。それが「ゲームオーバーなのか?ゲームスタートなのか?」です。

私にとってこの質問が特に大きな意味を持った2つのできごとをご紹介しましょう。

夢に挫折してゲームオーバーになったとき

ご存知の通り、私は音楽家になる夢がありつつも、その夢を見ないふりしてシステム屋として働いていました。大それた夢を馬鹿にされるのも怖かったですし、特殊な道に進んで人生を棒に振るのも怖かったからです。

私は人には自ら「趣味ですから」と嘯きながら、細々と音楽活動を続けていました。「見てろよ、まだまだ本番はこれからだ」と思い続けながら、気づけば25歳でした。サラリーマンになってから6年目に入っていました。

ロックスターといえば10代のうちか20代前半には大成しているものです。四捨五入して30歳になった私はついに夢に生きる青春の日々は終わってしまったのだと思いました。芽が出ることもなく埃をかぶってしまった夢を見てため息をもらす日々でした。

結局のところ、たいして夢を実行に移すこともなく夢を諦める段階へと至ってしまった日々を後悔しました。学生時代は良かったと思っても時間は戻りません。学生時代よりもこれからの人生のほうがずっと長いというのに。

それでも、これからはセカンドライフ目指して真面目にサラリーマン生活に勤しむ日々を受け入れるつもりでした。音感もなく、経験もなく、人脈もない私には仕方ないことなのだという、犠牲者のマーチが聴こえてきました。音楽家への道はゲームオーバーなのだとなかば確信していました。

そして音楽家の夢を諦めることにしました。諦めようとして、諦めようとして、諦めようとして、最後の最後であの質問を私自身にぶつけました。

「ゲームオーバーなのか?ゲームスタートなのか?」

▼さらなる詳細については以下の記事でまとめた通りです。

脱サラ後に貯金が尽きてゲームオーバーになったとき

それから、私はこの愛すべきブログを立ち上げてシステム屋から音楽家へと至るすべてのプロセスを発信してきました。最初は予想以上に順調に進んで喜んでいたのも束の間、大きな問題は会社を辞めてフリーランスとして独立した直後にやってきました。

私は個人事業主として忙しく働く日々を過ごしていましたが、一向に収益につながらなかったのです。会社を辞めてから半年ほどで貯金が尽きて、来月の家賃を払うことができなくなりました。キャビネットに収納された国民保険と市民税の納税通知書を思い出しては怒りがこみ上げてきました。

私は飲みに行く金もなく、外食の金も惜しみ、近くのスーパーのセール時間帯を狙って冷めた白米と天ぷらを数百円で買ってきました。白米を口に運ぶと泥の味がして、吐き出しそうになるのをぐっとこらえました。その日、私は実家に戻ることを決めました

おおみえ切って独立した私にとって、この決定は屈辱的なものでした。それ故、人に相談することもできず孤独に苦しみました。私はこの愛すべきブログも含めてすべての仕事を投げ捨てたい衝動に駆り立てられました。やはり夢に生きるなど凡人には非現実的な望みで、音楽家への道はやはりゲームオーバーなのだと確信しはじめていました。

私は打開策も見つからず、泣き出しそうになりながら(実際、実家へと戻る電車のなかで泣きました)、あの質問を私自身にぶつけました。

「ゲームオーバーなのか?ゲームスタートなのか?」

▼さらなる詳細については以下の記事でまとめた通りです。

ゲームの主人公は誰もがゲームオーバーだと思うなかで、ゲームスタートする

考えてみれば、ゲームの主人公というのは大抵、周囲がゲームオーバーだと確信するなかでゲームスタートします。

姫が拉致監禁された、世界が乗っ取られたなど、誰もがゲームオーバーを確信するなかでゲームスタートし、何度も失敗を繰り返した結果、いずれは見事にやってのけてみせるのです。

ゲームオーバーかゲームスタートかは、認識の問題でしかないということです。ならば、ゲームオーバーだと思ったときには、ゲームスタートを選択したいものです。

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。