photo credit: The U.S. Army via photopin cc
私の愛しいアップルパイへ
O(オー)
M(マイ)
G(ガッ)
私としたことが痛恨のミスをしました。聞いてください。
一昨日から丸2日間、実家に帰っていたんです。実家に到着してから問題に気がづきました。ノートパソコンにExcelをインストールしていなかったという問題についてです。
私は時間管理のためにExcel上で動作する「TaskChute2」というツールを使っています。毎朝起きたらその日にやることをこのツールにリストアップし、リアルタイムで行動記録をつけています。そして寝る前には記録を振り返って一日を評価します。毎日欠かさずです。
もう私の臓腑の一部なわけです。カウボーイにとってのテンガロンハットです。
このツールを使い始めたのは今年の1月からでした。一年近くも毎日欠かさず使ってきたツールが、ある日突然まったく使えない状況になったらどうなってしまうのか。
ものの本当の価値というのは、それを失ったときに初めてわかるものです。今回、私も実にエキサイティングな体験をしました。興味が湧いてきたでしょうか?
「TaskChute」が何を習慣化してきたのか
TaskChuteが使えなかったことで、随分とゆったりした時間の使い方をしました。時間が経つにつれて、どんどんゆったりしていきました。昼寝もしました。寝る時間も遅くなりました。
それが良いことか?悪いことか?ですか。どうやら良いことではなさそうです。私はこのときの状況をたったの2文字で的確に言い表すことができます。「怠惰」です
今までずっと考えてきました。なぜTaskChuteを使うと毎日を怠惰のうちに過ごすことがなくなるのか。なぜ今まで先送りし続けてきた「やりたいこと」に着手することができるのか。
今回、その理由をなんとなく理解しました。
通常、価値観と深いつながりを持った「やりたいこと」に手を付けるのは、なんとも億劫に感じるものです。それがいつ終わるとも知れないですし、その先に何が待っているか分からない不安だって生じるでしょう。心の奥底では「やりたい」と強く思っているはずなのに、いざ実行の段になると体が拒否反応を示すということがよくあります。
何よりも、自分がやりたいと強く願うことを実際に行動に移すのは「勇気」が要ります。だから”ゆったり”しようと考えてしまうわけです。真の意味でやりたいことに時間を費やすより、期限に追われたり無意味なことに時間を費やしたりする方がずっと楽ですし、快感なのです。
TaskChuteが使えなくなって初めてその本当の価値に気がつきました。私が今まで何を習慣化してきたのかをです。私が毎朝一日の計画を立て、行動記録をとり、一日を振り返ることの本当の意義をです。
毎朝計画を立てるということは自分に対する宣言をすることです。私は今日一日「やりたいこと」に全力で没頭するという宣言です。そのために最善を尽くすという宣言です。
それは自分自身に対して”誠実さ”を問うという「宣言」であり「挑戦」です。一時的な享楽に流されることなく、自分自身の「やりたいこと」に忠実でいられるか、その誠実さを試しているのです。
この宣言がないと、のっぴきならない現実と怠惰に、あっけないほど簡単に流されてしまいます。一時的にアドレナリンを分泌するためだけの無意味な行動に没頭し始めるのです。
そんな時、もし計画が書き出されてれば、ギリギリのところで一踏ん張りできます。計画が「汝、誠実であれ」と囁くからです。
宣言がまっとうできないということは、自分自身に対して誠実さを失うことになります。
しかも、このツールの性質上、行動の記録は克明に残されてしまうのです。「私はこの瞬間、自分の価値観に対して誠実ではなかった」という証拠が残るわけです。これを振り返るということは、この”不誠実さ”向き合わなければならなくなります。
そんな状況が続けば、いずれ自分自身に対して失望することになるでしょう。自分に失望するというのは恐ろしいことです。この世で最も恐ろしいことです。
つまり、TaskChuteは”誠実さを試す挑戦”を習慣化したのでした。
“誠実さ”は鍛錬できるということです。”誠実さを試す挑戦”は筋トレのようなものです。すぐに結果は出ませんが、やればやるほどあなたの”誠実さ”は確実に強靭なものになっていきます。いずれはツールによって管理されずとも、誠実さを発揮できるようになるでしょう。
逆にやらなければどんどん衰えていくものです。いずれ不誠実であるためのもっともらしい言い訳を案出しようとするでしょう。「他の仕事が立て込んでる」「今は体力的に弱ってる」「緊急でやらなければいけないことがあった」と。
どのツールを使うかはさほど重要な問題ではありません。毎日自分に対して”誠実さを試す試練”を課せば、そしてそれに挑戦し続ければ、価値観と深いつながりを持った「やりたいこと」にもっと多くの時間を費やせるでしょう。
もちろん最初は苦痛を感じるかもしれませんが、これこそ、天空に向かう螺旋状のサイクルを生み出すものです。
貴下の従順なる下僕 松崎より