私の愛しいアップルパイへ
すばらしいことが起こった!ついに我が処女作「先送り0」が出版されたのです!Cooooool!
今日は著者である私、jMatsuzakiの視点から、本書を書くにあたって込めた想いや本書の魅力について語ります。
リッスン!
(静かになる)
先送り0(ゼロ)―「今日もできなかった」から抜け出す[1日3分!]最強時間術
先送り0はシンプルな3つのルールからなる新しい習慣の提案をコンセプトとしています。
- 1日の初めに今日やることを決める
- 1日の終わりにその中で先送りしたものの数を数える
- 1分でも手をつけたら「先送り」とはしない
これは先送りを根絶するための行動原理の中で、最も重要な部分を抜け漏れなく、重複なく抜き出したものです。
ここでいう先送りとは、「やるべきことが分からない」という基本的なケースから、「やるべきことは十分によく分かっているはずなのに、なぜか動き出せない」という複雑なケースまで念頭においています。
実際のところ、「やるべきことが分からないから動けない」のであれば、さほど困ったことにはなりません。むしろ「やるべきことは分かっている。何から始めれば良いかも分かっている。段取りも立てられる。にもかかわらず、なぜか動き出せない」というケースの方が対処は難しく、ダメージも大きいのです。そしてそのようなケースはベーコンエッグのように、あたり前に存在します。
先送り0の考え方はこういう複雑なケースも十分に念頭において設計されました。何が複雑かというと、そこにはプロジェクトの複雑さだけでなく、心理的な複雑さが絡むのです。
先送りを無くすというのは、一見すると仕事における業務上の、極めて実務的な問題に思われるかもしれません。しかし、私はそうは思いません。
もちろん、まずは何よりも仕事において、生産性を下げる要因になるでしょう。しかし、いつしか仕事の範囲を大きく超えて、人生に大きな影を落とす要因にもなります。
「何をすれば分からない」「動きようがない」「動きたくても動けない」
そういう理由で「先送り」を繰り返すうちに、仕事がうまく回らないだけでなく、人生全体がうまく回らない負のスパイラルに陥ってしまうことが少なくないのです。
いつしか「自分は無能だ」「自分は何をやってもダメだ」という自責の念によって苦しみ、身動きが取れなくなってしまうこともあります。こうなると仕事の範囲を大きく超えて、人生全体が「先送り」によって台なしになってしまうこともあります。実際、今まさにそれによって苦しんでいる人だっているでしょう。
もちろんこういう状況を打破する本はたくさんありました。数えきれないほどありました。そのような本を私自身、いくつも読みました。それで納得できなかったから、この本を書くに至りました。
私が思うに、「先送り」をなくすために世間でよく語られることは大きく2つあります。
- 目的を明確にしましょう
- スキマ時間を有効活用しましょう
なるほど!とても分かりやすく、理にかなっています!そして、だからこそ、うまくいかないのです!
人間の行動というのは分かりやすくもなく、理にもかなっていません。統計的にそう見えたとしても、個々人の行動にフォーカスしたら、どこまでも予測不能です。10人中9人がある特定の傾向を持っているとして、あなたが残りの1人ではないなどと、誰が言えるでしょうか?
私も上述した2つのような方法論を信じ、愚直に実践しようとしたことがありました。しかし、私はもうすっかり失望してしました。いまや、それらがうまくいくとも、効果があるともまったく信じていません。
本書では、口が裂けてもこの2つのような話をしないことに決めました。
では、どうすれば良いのでしょうか。ミノタウロスの迷宮で途方に暮れ、アリアドネの糸が垂れてくるのをただ待つしかないのでしょうか?
否、否、三たび否!
答えはシンプルです。現在に集中することです。
未来や過去に生きるのをやめて、人生に一貫性をもつのをやめて、現在を受け入れれば、二度と先送りに悩むことはなくなります。
先送りがなくなれば、人生にもう一度(もしくは初めて)「安らぎ」と「満足」がやってきます。安らぎと満足からは本物の「情熱」が生まれます。それが、予期せぬ幸運を運んでくれるでしょう。
現在を受け入れて、現在に集中すること。
「しかし、現在に集中するのが難しいのではありませんか?」
あなたほど賢いお方であれば、そのような疑問が湧いてくるというものでしょう。
そこでまずはシンプルな3つのルールからなる新しい習慣を始めてみてください。
- 1日の初めに今日やることを決める
- 1日の終わりにその中で先送りしたものの数を数える
- 1分でも手をつけたら「先送り」とはしない
「先送り0」を執筆する上でこだわったこと
このように拙著「先送り0」の執筆にあたっては、多くのことにこだわりました。
上述したようなことを全体的な方針として、本書を執筆する上で気をつけたことの中から特に重要なものをご披露しましょう。
残りのスペースが少なくなってしましたので、それぞれ端的に紹介していきます。
タスクシュートの実践を目的にしない
本書「先送り0」の方法論を支えているメソッドはご存知「タスクシュート」です。
私はこのメソッドを13年続けていますから、このメソッドの有効性について懐疑的な気持ちはまったく持ち合わせていません。
しかし、まだタスクシュートを知らない人や、実践し始めた人にとってはそうではないでしょう。
ですから、「タスクシュートの実践」がゴールにならないよう十分に気をつけました。手段としてタスクシュートが有効であるというに留め、うまく機能しているのであれば「タスクシュート」でなくとも構わないという内容に徹したはずです。
とはいえ、本書の方法論を実践する上で「タスクシュート」を採用することがベストな選択であると私が確信していることは、補足しておきましょう。
専門用語や論文の引用ではなく、自分の足で集めたデータだけに頼る
本書を執筆する上で、他分野の専門用語や会ったこともない誰かが書いた論文の引用に頼らないことには十分に注意しました。
現代のビジネス書というのは専門用語や論文の引用によって説得力を持たせようとする動きが強すぎるかもしれません。場合によっては何の因果関係もないと思える専門用語や研究結果、論文の引用を繰り返して説得力を上げようとする本も読みました。著者が正しくその専門用語や実験の結果、論文のキリトリを理解しているか疑わしいものも中にはありました。
そういうもっともらしい根拠を読むたびに、それがなぜ自分の現実生活でも同じく適用できるなどと思えるのか疑問を持ちました。
本書は、現実生活における実体験をベースに組み立てられました。私の実体験だけでなく、本書の仮説を検証するために2022年から延べ1,000人以上の方に100日間実践してもらって反応を見ました。特に興味深い体験を話してくれた方には、私が直接インタビューしました。
データやエビデンスの類の論拠が必要な場合は、自らが提供するサービスから得られたデータの分析結果のみを参照しました。
そもそも「タスクシュート」というメソッド自体が、現場の悩みを解決するために、現場の知恵を結晶化して作られたようなメソッドなのです。「なぜかは分からなくても、実際にうまくいってる」ものを重視しているメソッドなのです。
だからこそ実用的で、生々しく、分析だけでは見出せない面白さがあると思っています。本書はその”面白さ”を台なしにしないよう注意しました。
やることを整理すれば動けるのか?
本書は多分に「タスク管理」や「時間管理」の要素を含んでいます。
この10年、タスク管理や時間管理の分野ではあまりにも「やることの整理」が重視されすぎてきました。
やるべきことややりたいこと、気になることを書き出して整理すれば、頭がスッキリして実行に移しやすくする方法です。
残念ながら頭はメモリではありませんし、ツールはハードディスクではありません。ですから、私はこのようなやり方をまったく信じていません。効果的どころか、害をもたらすこともあると思っています。
本書では「やることを整理しよう」「可視化しよう」という話は徹底的に排除しました。むしろ「やることを整理しなくてもOK」「洗い出さなくてもOK」というメッセージを散りばめました。
「逆算」を徹底的に排除する
やることの整理と同じく徹底的に排除したものは「逆算」です。逆算というのは理想を描き、ゴールを定め、計画を立て、実行に移す。実行結果から改善策を見いだし、さらに効率的なやり方へシフトする。こういった「ゴールをもとに実行管理するやり方」を「逆算」と呼んでいます。
私はこういった「逆算」のやり方にはまったく懐疑的です。実のところ、先に「やるべきことや、やりたいことの整理」を疑問視したのも同じ理由なのです。やるべきことややりたいことを整理・分類し、重み付けし、重要なものから実行するのは「逆算」的なアプローチです。
「逆算」が効果的に機能する状況は極めて限定的です。実務上、「逆算」がうまくいくケースは思ったより少ないのです。それよりも輪をかけて重要なのは、「逆算」が現在を受け入れることを難しくさせることです。
本書では「逆算」を徹底的に排除しました。それだけでなく「逆算」せずともうまくいく仕組みを提示することにかなりの力を注ぎました。
Tips集ではなく、体系的な理論とし、他のメソッドと混ぜない
最後にもう1つ、本書はこの一冊で完結する体系的な理論として書き上げました。
本書にはタスク管理や時間管理、習慣化や仕事術な多岐に渡るテクニックが取り上げられています。しかし、数多くの独立したTipsを散りばめるような本にはしたくありませんでした。
一つ一つの章に意図があり、有機的につながっていて、体系化された1つのメソッドを提示したかったのです。この本さえ実践していれば、あらゆるケースに対処できる。そういう一冊を作りたかったのです。
人生で困った時や迷った時に、戻ってこれるたった1つの方法論となるような一冊にしたいと思ったからです。「時間をうまく使う50のコツ」といった本でそういったことを実現するのは難しいでしょう。
「先送り0」を手にとってみてください!
このように多くのこだわりと共に世に出した一冊が「先送り0」です。
世に出したといっても当然私一人の力ではなく、共著者の佐々木正悟さんや技術評論社の担当編集さんをはじめ、数々の人の協力を得て作り上げた一冊です。
この金色の太陽の光のように輝く一冊が、あなたの手に届くことを祈っています。
なお、3月2日(土)には本書の出版記念パーティーを開催します。私も久々に日本に帰国し、パーティーに出席します。本書を気に入っていただきましたら、ぜひ出版記念パーティーに参加いただけますと幸いです。
» 2024年3月2日(土)「先送り0」の出版記念パーティーを開催します!
貴下の従順なる下僕 松崎より