私の愛しいアップルパイへ
今年1番の楽しみのうちの1つはクエンティン・タランティーノ監督の新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(原題:Once Upon a Time in Hollywood)が公開されることです。どえりゃ〜ファンタスティック!私たちのようなダイハードな映画ファンにとっては待ちわびたニュースです。
ティザーは上記動画の通りです(日本語字幕付き)。
今回も映画ファン歓喜の骨太な一本になりそうですので、映画が公開されたら100%楽しめるよう本作に関する情報をまとめておきましょう。
タランティーノ監督の新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」公開中!
クエンティン・タランティーノ監督作品8作目となる「ヘイトフル・エイト」(2015年)から4年ぶりとなる新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」が間もなく公開されます。全米公開は2019年7月26日、日本公開は2019年8月30日からです。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」はタランティーノ監督作品としては9作目にあたります。タランティーノ監督は以前より長編映画を10本撮ったら監督を引退すると公言しており、もしかしたら本作は最後から2つ目の作品になる可能性があります。
それだけに非常に力の入った作品になっているのでは無いかと考えられます。ワクワクでよだれが止まりません。タランティーノ監督に引退はして欲しくありませんが…
▼実際に観てきた感想は以下の記事にまとめました。ネタバレはありませんので、気になるようでしたらこちらもご参考にどうぞ、
【ネタバレなし】ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドを観た感想。まさかタランティーノ監督作品で泣くとは…
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの概要とあらすじ
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(原題:Once Upon a Time in Hollywood)は日本語訳すると「むかしむかしハリウッドで…」ということになります。日本では昔話の冒頭の言い回しとしてよく使われるものであり、昔を懐かしむ時に使う言い回しです。
そのタイトルと冒頭にある予告編のティザーを観ていただければ分かる通り、60年代のハリウッド黄金期の再現に徹底的にこだわったノスタルジックな雰囲気とタランティーノの映画愛が凝縮された最高の一作に仕上がっていそうです。
また、タイトルについてはマカロニ・ウェスタン(世界的には「スパゲッティ・ウェスタン」と呼ばれているイタリア産の西部劇)の巨匠であるSergio Leone(セルジオ・レオーネ)の代表作であるOnce Upon A Time In AmericaおよびOnce Upon a Time in the Westへのオマージュが込められているのも、マカロニ・ウェスタン好きのタランティーノ監督らしいです。
詳細なあらすじは公開されていませんが、現状知らされているあらすじをざっくり紹介しましょう。
かつてテレビの西部劇シリーズで名を馳せた俳優リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)と、長年彼のスタントマンとして活動するクリフ・ブース(ブラッド・ピット)が、テレビから映画へとシフトして一花咲かせようとハリウッドに乗り込んできます。
リックの隣人はなんとシャロン・テート(マーゴット・ロビー)。彼女はかの狂信的カルトであるチャールズ・マンソン率いるマンソンファミリーに殺害された実在の女優です。
この三人を中心としたハリウッド黄金期の狂騒を描くのが本作です。ハリウッドを題材としつつも、チャールズ・マンソンとマンソン・ファミリーが絡んでくるあたり、タランティーノ監督お得意のバイオレンス描写が火を噴きそうです。
とはいえ本作は簡単にあらすじを紹介できるものではなさそうです。タランティーノ監督はインタビューでもマンソン・ファミリーはストーリーの軸ではなく時代設定の一部でしかないといった主旨の発言をしています。そのため、それぞれの登場人物の物語が同時並行的に進められて複雑に絡み合った作品になりそうです。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのキャスト紹介
本作の主要なキャストと役柄について紹介します。
リック・ダルトン:レオナルド・ディカプリオ
かつて西部劇のテレビシリーズで名を馳せた俳優で、ハリウッド進出を目論むが、その計画はうまくいっていない。シャロン・テートの隣人。モデルは本作の撮影直前2018年9月6日に亡くなったバート・レイノルズ。
クリフ・ブース:ブラッド・ピット
リックのスタントマン役。モデルは実在したスタントマンであり、映画監督であるハル・ニーダム。
この役は当初トム・クルーズにオファーしていたそうですが、最終的にブラッド・ピットで決まりました。トム・クルーズ版も観たかった…!
シャロン・テート:マーゴット・ロビー
当時ハリウッドで人気だった実在の女優。作中ではリックの隣人。1969年、夫であるロマン・ポランスキー監督との子を妊娠中にチャールズ・マンソン率いるマンソン・ファミリーに母子ともに殺害される。しかも、本来はチャールズ・マンソンのメジャーデビューを拒んだプロデューサーをターゲットとした人違い殺人であった。
ロマン・ポランスキー:ラファル・ザビエルチャ
シャロン・テートの夫であり実在する著名な映画監督。現在存命中だが、本作に対する公式なコメントは確認されていない。代表作に「ローズマリーの赤ちゃん」「チャイナタウン」「戦場のピアニスト」がある。
マーヴィン・シュワルツ:アル・パチーノ
ハリウッドのプロデューサーであり、リック・ダルトンの代理人。
ジェイ・セブリング:エミール・ハーシュ
シャロン・テートの友人だった実在のヘアスタイリスト。マンソン・ファミリーによってシャロン・テートと共に殺害された。
スティーブ・マックイーン:ダミアン・ルイス
「荒野の七人」「大脱走」「ゲッタウェイ」「タワーリング・インフェルノ」などで知られる実在したハリウッドの大スター。
ブルース・リー:マイク・モー
言わずと知れた実在のアクションスター。代表作に「燃えよドラゴン」「ドラゴン危機一発」など。
ウェイン・マウンダー:ルーク・ペリー
西部劇のテレビシリーズで活躍した実在の俳優。
演じるルーク・ペリーは「ビバリーヒルズ青春白書」は知られる俳優ですが、2019年3月4日に脳卒中で逝去したため、本作が遺作となりました。
チャールズ・マンソン:デイモン・ヘリマン
実在したカルト教祖であり、マンソン・ファミリーの指導者。ファミリーは4つの場所で9人の殺人を行った。チャールズ・マンソンは終身刑となり83歳で獄中死した。
演じるデイモン・ヘリマンはデヴィッド・フィンチャー監督によるNetflixドラマ「マインドハンター」でもチャールズ・マンソンを演じている。
ジョージ・スパーン:ブルース・ダーン
アメリカの実在した牧場主。牧場をマンソン・ファミリーに住処として提供していた。
当初はリック・ダルトンのモデルであるバート・レイノルズが演じる予定でしたが、友人のブルース・ダーンが代役となりました。
リネット・“Squeaky“・フロム:ダコタ・ファニング
マンソン・ファミリーの一員として最も知られている実在するアメリカの犯罪者。一時期ジョージ・スパーンの牧場に住んでいた。シャロン・テート殺人に直接関与はしていないが、フォード大統領の暗殺未遂事件で知られる。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの見どころなどまとめ
ディカプリオ&ブラピの二大スター共演
なんと言っても最初に目を引くのはレオナルド・ディカプリオとブラット・ピットによる二大スターの共演でしょう。しかも映画内の設定では二人はコンビなので密な掛け合いが期待できます。
タランティーノ監督作品「ジャンゴ」で存在感がありすぎるキーパーソンを演じたレオナルド・ディカプリオとイングロリアス・バスターズの主人公を演じたブラット・ピットの二人が交わるのですから、タランティーノ監督ファンとしてはたまりません。
しかも配役もこれまでのギャングやカウボーイなど分かりやすい設定ではなくなんとも意味深な配役で、どのような展開がなされていくのかまったく分からないのも興味深いです。
豪華俳優陣たちが絡み合うパルプ・フィクション風の展開
タランティーノ監督作品ですから、注目すべき俳優は二大スターだけではありません。あまりにも豪華な出演者たちによる数々の味のある掛け合いがタランティーノ監督作品の真の見どころです。今回もあんな人もこんな人も出演するオールスター・キャストに仕上がっています。
- シャロン・テート役のマーゴット・ロビー
- かつて天才子役で名を馳せたダコタ・ファニング
- ジョン・ウェインを殺した男ブルース・ダーン
- スティーブ・マックイーン役にはダミアン・ルイス
- さらにはハリウッドのプロデューサー役に重鎮アル・パチーノ!
- そしてタランティーノ監督作品の常連ティム・ロス
- 同じく常連のマイケル・マドセン
- 同じく常連のカート・ラッセル
CinemaConによるタランティーノ監督へのインタビューによれば、これまでで一番「パルプ・フィクション」に近い一作なのだそうです。「パルプ・フィクション」と言えばタランティーノ監督の長編2作目にして彼のな名を世界に轟かせた代表作ですから、ファンとしては期待せずにはいられません。
▼パルプ・フィクションについては以下で詳しく取り上げておりますので、こちらもご覧ください。
【ネタバレなし】世界一好きな映画「パルプ・フィクション」を全力で紹介します
60年代のヒッピーが闊歩する古く良きアメリカの演出
元々ビデオ屋の店員として働いていて才能を見出された映画オタクとして知られるタランティーノ監督ですが、彼の愛する60年代の古き良きアメリカとハリウッドの再現が今作の一番の見所でしょう。
衣装や街並みや小物だけでなく、ブルース・リーやバート・レイノルズやロマン・ポランスキーなどハリウッドで活躍した俳優たちの再現にも力を入れているようで、その辺りはタランティーノ監督のセンスが爆発していそうです。ティザーにもありましたが、ブルース・リーとブラット・ピットのやりとりには吹き出しました。
また、音楽のセンスも良いことで知られているタランティーノ監督ですので、劇中に使われる音楽にも注目です。
悪の象徴チャールズ・マンソンをどう扱うのか?
今作ではチャールズ・マンソン率いるカルト集団マンソンファミリーが重要な立ち位置を占めそうです。
チャールズ・マンソンといえば、そのカリスマ性を発揮してマンソン・ファミリーを率い、数々の殺人教唆をしたカルト指導者です。自ら殺人を実行したことがないものの1971年にはカリフォルニア州の最高刑である死刑を言い渡されます。その後、同州にて死刑制度が一時的に廃止されたため終身刑に減刑され、2017年に83歳で獄中死しました。
チャールズ・マンソンはその悪行からアメリカでは狂気、暴力、恐怖など悪の象徴として知られるようになりました。もともとはミュージシャンを目指しており、自身で作曲した作品も数曲残されていることから、反体制を歌うロック・ミュージシャンを中心にしばしば彼の曲が引用されたりカバーされたりしています。マリリン・マンソンが悪の象徴としてチャールズ・マンソンのラストネームを使ったことは有名です。
現在でもチャールズ・マンソンは悪の象徴として忌み嫌われる一方で、悪のカリスマとして信奉されている面もあります。
しかも、マンソン・ファミリーの手によって殺害され、本作でも重要な位置を占めるであろうシャロン・テートの夫であったロマン・ポランスキー監督はまだ存命しており、映画界においては非常にセンシティブなテーマであると考えられます。
この実在する犯罪者でもありポップ・カルチャーでもある扱いづらい人物をタランティーノ監督が本作でどう扱うのかは大変興味深いところです。
他のタランティーノ監督作品との関連は?
タランティーノ監督ファンの間では有名な話ですが、彼の作品は全て同一世界で起こっている設定になっています。
「レザボア・ドッグス」のMr.ブロンドことヴィック・ベガと「パルプ・フィクション」のヴィンセント・ベガが兄弟であったり、ヴィック・ベガの保護観察官であるスカグネティが「ナチュラル・ボーン・キラーズ」に登場したり、パルプ・フィクションで登場する架空のタバコの銘柄「レッド・アップル」が「ヘイトフル・エイト」にも登場したりと、それぞれの世界は繋がっています。
この他の作品との関連を探すのもタランティーノ監督作品の楽しみの1つです。今回の時代背景は60年代アメリカということで、「ジャンゴ」や「ヘイトフル・エイト」や「イングロリアス・バスターズ」以降の時代設定であり、「レザボア・ドッグス」や「パルプ・フィクション」や「ジャッキー・ブラウン」以前の時代設定という、ちょうど中間に当たる作品となりそうです。
本作にはタランティーノ監督が好む西部劇の役者たちも登場するので、もしかしたら劇中で「ジャンゴ」や「ヘイトフル・エイト」に触れられるのかも?
色々と繋がりがありそうな時代設定なので、他のタランティーノ監督作品との関連を探しながら観るのも面白そうです。
本当に最後から2番目の作品になるのか?
タランティーノ監督は以前から長編10作撮ったら監督を引退すると公言しています。今の所それを撤回する発言は聞いていません。
本当に10作で引退となると、本作はタランティーノ監督作品の9作目にあたるので、最後から2作目の作品ということになります。
最後から2作目ということをタランティーノ監督は強烈に意識していると想像できるので、何らかの仕掛けや新しいニュースが入ってきてもおかしくありません。この辺りの情報が劇中で触れられるかどうかは不明ですが、公開に合わせて新しいニュースが入ってくるかもしれませんので、要チェックです。
過去のタランティーノ監督を復習して新作に備えよう!
クエンティン・タランティーノ監督作品については以下の記事でもまとめています。上でもお話ししました通り、タランティーノ監督作品は全て同一世界で起こっているという設定があるため、事前に他の作品も観ておくとより新作を楽しめることでしょう。
▼全タランティーノ監督作品は以下にまとめておりますので、こちらもご覧ください。
クエンティン・タランティーノ監督の代表作ランキングと関連作品14作品を一挙紹介
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」公開までは関連作品を観て共に体を温めておきましょう。
貴下の従順なる下僕 松崎より