【ネタバレ】エイリアン: コヴェナントの疑問20個を徹底考察!

私の愛しいアップルパイへ

2017年はエイリアンを愛するティーンエイジキッズ達にとって忘れられない年となりました。1979年にリドリー・スコット監督による「エイリアン」が公開されてから約40年、「プロメテウス」に続いてエイリアンの前日譚を描く2作目「エイリアン: コヴェナント」が公開されたからです。

今回はエイリアンを代表するアイコンである通称ゼノモーフ(あの頭が縦長のH・R・ギーガー氏デザインによるエイリアン)も健在で、ファンにとっては胸がデレッと甘くなったことでしょう。しかもあのリドリー・スコット監督が最新の技術を使ってゼノモーフを撮ってくれたわけですから、これほど嬉しいことはありません。実際、フルCGとなったゼノモーフは当時とは比べならないほど鮮明で、機敏で、うっとりしてしまう出来でした。

ただ、SF映画における(特にエイリアンにおける)リドリー・スコット監督というのは意味深なシーケンスやセリフを多用する監督で、観終わった時に「あれどういう意味だったんだろう?」といった疑問が噴水のごとく湧き上がってくるものです。特に今作はトリロジー(三部作)の二作目にあたる作品ですから、特に不明点や謎が発生しやすい作品になっています。

そこで、エイリアン: コヴェナントの分かりづらい点や疑問点を私なりに解説してみようと思います。解説は完全ネタバレで行いますから、まだ観ていないのならご注意ください。それでは始めましょう。

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エイリアン: コヴェナント考察!分かりづらい点や疑問点を完全解説

もう一度言いますが、完全ネタバレとなりますのでご注意ください。

エイリアンを作り出した黒い粉は何なの?

これは前作「プロメテウス」を観ていないと訳がわかりません。

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黒い粉は、人間の創造主とされている「エンジニア」が彼らの有する高度な技術によって作り出した病原体ないしは生物兵器とされているものです。エンジニアとは、前作プロメテウスで出てきた「エンジニア」と呼ばれる人間の創造主とされている人種です。

彼らのうちの1人がはるか昔に地球に舞い降り、水を使って自らのDNAを地球に巻いたことで人間を作り出したことになっています。人間にとっては神といってもいい存在です。

黒い粉についてですが、実はその能力や用途などについて十分に明らかにはされていません。これは次の作品でもっと詳しく描写されるのではないかと思われるので、次作の公開を待ちましょう。

エンジニアは人類をどうしたいの?

人類を作り出したのはエンジニアですが、エンジニアと人間との関係はどうなっているのでしょうか?これも前作「プロメテウス」を観ると経緯が分かります。

地球の古代遺跡からエンジニア達の星を特定し、LV-223へ到着したエリザベス・ショウ博士やデヴィッド一同ですが、エンジニアと対面したのもつかの間エンジニアは敵意を剥き出しにしてクルーに襲いかかります

その後、エンジニアは自ら作り出した人類を滅亡させようとしていることが分かります。なぜエンジニアが人類を死滅させようとしているのは分かりません。このあたりは次作でさらなる詳細が明らかになると思われますので、楽しみにしておきましょう。

一説によれば、前作「プロメテウス」ではエンジニア達が2,000年前に人類への攻撃準備をしていたと明かされますが、2,000年前は人類がキリストを殺害した時期と重なります。そのため、キリストを殺害した罰として人類を絶滅させようとしているという説があります。

黒い粉を振りまかれて絶滅したスキンヘッド達は誰?

デヴィッドの回想シーンにて、デヴィッドが今作の舞台となる惑星に到着時したときに宇宙船から黒い粉のようなものをばら撒き、先住民である黒目の大きいスキンヘッドの民たちが殲滅するシーンがあります。

これは上の回答にもある人間の創造主とされている人種です。本作の惑星はもともとエンジニア達の星だったわけです。

ちなみにデヴィッドが黒い粉を撒いたのは前作「プロメテウス」から今作「エイリアン: コヴェナント」の間の出来事です。前作「プロメテウス」でエンジニアたちの生物兵器である黒い粉を手に入れたデヴィッドは、惑星LV-223から本作のエンジニアの星へ移動してきたときに、エンジニアを駆逐するために独断で黒い粉をばら撒きます

前作「プロメテウス」ではエリザベス・ショウ博士とアンドロイドのデヴィッドがLV-223から脱出できましたが、エリザベス・ショウ博士はそのあと宇宙船でコールドスリープ状態となったため、黒い粉をばら撒いたときもショウ博士は眠っていたものと思われるため、黒い粉を巻いたのはデヴィッドの独断と思われます。

デヴィッドの家の周りに散らばっていた黒い死体はなんだったの?

これは上記の疑問の通り、デヴィッドに黒い粉をばらまかれて死滅した、先住人であるエンジニア達の死体です。

デヴィッドはなぜエンジニア達を死滅させたの?

デヴィッドは惑星に黒い粉を撒き散らしてエンジニア達を死滅させますが、その思惑はなんだったのでしょうか?これは映画の冒頭でデヴィッドを作り出したウェイランド社の社長であるクリエイターとデヴィッドとの会話から読み取れます。

デヴィッドは自分を作り出した人間が、自分が人間に仕えるようにプログラミングしたことに違和感を覚えます。これはクリエイターに紅茶をくむときに少し躊躇したことからもわかります。デヴィッドは初期のアンドロイドであり、ウォルターと違って創造性があることからも分かりますが、初期型アンドロイドだけに自分のプログラムに疑問を持てる能力を持っていたと考えられます。

そのため、自分を作り出した人間や、さらに人間を作り出したエンジニアを死滅させることで、創造主をも超えるより高度な存在になりたいという野心が芽生えたと考えられます。この辺りはデヴィッドの名前の由来が「ダビデ」(今作の冒頭でデヴィッドが自分の名前をつけるときに登場する彫刻)であることからも分かります。ダヴィデは旧約聖書に登場する人物で、羊飼いのときに巨人ゴリアテを倒し、後にイスラエルの王となる人物です。巨人ゴリアテは本作の巨人エンジニアと重なります。

ただ、デヴィッドを生み出したウェイランド社の社長であるピーター・ウェイランド氏がデヴィッドに与えた使命が「人類の起源を探る」だったので、それらの行為もプログラムの範疇でしかないと皮肉的に考えることもできます。この辺りは次作でさらに明らかになるかと思います。

黒い粉で死滅したエンジニア達からはなぜエイリアンが生まれないの?

コヴェナント号のクルーが惑星に到着してすぐ、胞子上の植物から発生した黒い粉がレドワードとハレットに入り込み、エイリアンを生み出します。

※ちなみに、このとき生み出された白いエイリアンは今作から登場する新しいエイリアンで、昔ながらのエイリアンである「ゼノモーフ」を文字って「ネオモーフ」と呼ばれているそうです。

ここで疑問になるのは、なぜ黒い粉に襲われたエンジニア達からはエイリアンが生まれないのか?ということです。実のところ、これについては明確な理由は分かっていません。

ここからは推測になりますが、前作「プロメテウス」の冒頭で黒い粉を口に含んだエンジニアの体が崩壊する描写があることから、黒い粉はエンジニアを崩壊させることはできてもエイリアンを作り出せないようになっているのかもしれません。もしくは、デヴィッドはもともとエンジニア達の文明についてある程度の知識があったため、エイリアンを生み出さずにエンジニアを死滅させるように黒い粉を作り変えたか、そのような使い方を知っていたのかもしれません。

いずれにしても黒い粉についてはまだ謎ばかりなので、次作でその謎が解き明かされることを願いましょう。

黒い粉やエイリアンはなんでいちいち体内に入り込むの?

エイリアンシリーズを見ていると、エイリアンが誕生するためには人間の耳や鼻から黒い粉が入り込んだり、幼虫が顔に巻きついて体内に卵を植えつけたりと、誕生までにいちいち回りくどい方法を取っています

もちろんそうしてジワジワと人間を攻撃した方が映画として恐怖を煽れるからという理由はあるでしょうが、もう少し納得のいく解説を載せておきましょう。

エイリアンは宿主の体内に入り込み、自分が成虫になるまでにそのDNA構造を読み取って自分自身に反映させることで、宿主の特徴を生かしたエイリアンとなります。少々回りくどいものの、こうすることで環境に柔軟に対応できるようになります。

例えば、水の多い地域では土着の生物に寄生することで、水を素早く泳いだり水中でも長く生活できる能力を得たりすることが可能になります。こうすることで生物兵器としての完成度を高めているのです。

前作でデヴィッドは頭を引き千切られたはずなのに、なんで体があるの?

前作「プロメテウス」でデヴィッドはエンジニアと交渉の際、怒り狂ったエンジニアに頭と体を引き千切られて頭だけの状態になりました。

惑星LV-223から脱出したときも頭だけの状態だったはずですが、今作では体つきで登場します。なぜ体があるのか?ですが、これはエリザベス・ショウ博士が頭と体を接着してくれたそうです。これについては今作が公開される前に無料で公開された動画で描かれています。

このなかで自らを治療してくれるエリザベス・ショウ博士に対してデヴィッドが他の人間とは違った好意を抱くシーンも描かれています。

前作の後エリザベス・ショウ博士はどうなったの?

前作「プロメテウス」では、惑星LV-223からデヴィッドとエリザベス・ショウ博士の2人が脱出できます。しかし、本作では前作の生き残りとしてデヴィッドしか登場しません。エリザベス・ショウ博士は一体どうなってしまったのでしょうか?

本作にて、デヴィッドはコヴェナント号のクルーにエリザベス・ショウ博士は惑星に到着したときの事故で死んだと説明しますが、後にそれが嘘であり自らの手で殺害したことがわかります。

本作の中盤でデヴィッドの恐ろしい計画が明らかになるなか、一瞬ですがデヴィッドの研究室にて、腹部が完全に失われたエリザベス・ショウ博士の遺体が映ります。また、その直後にオラムに寄生することになるエイリアンの卵を前にしてデヴィッドはそれが人間から生まれた最高傑作であり、新しい生贄を必要としていると話します。

上記で紹介した動画にて、エリザベス・ショウ博士は惑星LV-223から脱出後にコールドスリープに入ることが確認できています。恐らくですが、デヴィッドはコールドスリープ中のエリザベス・ショウ博士をエイリアン創造の生贄として使ったものと思われます。エリザベス・ショウ博士の死体が眠るように安らかな表情であったことからもそう考えられます。

デヴィッドはなぜエリザベス・ショウ博士を殺したの?

作中、デヴィッドはウォルターにショウ博士を愛していたと告白していますが、なぜ愛するショウ博士を自らの手で殺害するような真似をしたのでしょうか?

上の回答にもある通り、デヴィッドの野心は人間とエンジニアを超えることにあります。ですから、愛する人をも自らの野心を叶えるための生贄として捧げたのでしょう。ショウ博士に対する別れの歌を作るなど、デヴィッドが愛をとるか野心をとるかで葛藤したことも伺えます。

ただ、上の回答にもある通り、デヴィッドに与えられた使命は「人類の起源を探る」ですから、ショウ博士を殺害して新しいエイリアンを創る材料にすることもプログラムに従った結果としての行動であったのかもしれません。もしそうだとしれば、デヴィッドほど悲しい存在もないのかもしれません。

このあたりの真相も次作でさらに明らかになると思われますから、楽しみです。

なんでコヴェナント号のクルーはみんなカップルなの?

本作を観ていると途中でコヴェナント号のクルーが全員カップルであることに違和感を覚えなかったでしょうか?新しい惑星の調査であるにも関わらず、クルーが全員カップルというのは少々不思議です。

これには理由が2つ考えられます。第一に、コヴェナント号の目的は地球に代わって人類が居住できる新しい惑星「オリガエ6」への移住が目的です。本作の途中でカリンが船長代理となったオラムに対して「今は同じ船のクルーでも、オリガエ6に到着したら隣人になるのよ」と言っていますが、クルーのミッションはオリガエ6への到着だけでなく、新天地で人類を発展させることがミッションであるので、到着後の生活を考えれば夫婦をクルーに選ぶのは自然です。

第二の理由としては、コヴェナント号が明らかに旧約聖書の『創世記』に登場する「ノアの方舟」の比喩であることです。ノアの方舟では、神の怒りによって地上が洪水で滅ぼされます。”正しい人”であったノアは事前に箱舟の建設を命じられ、家族や動物とともに脱出することを許されました。そのとき箱舟に乗っていたのはノアとその家族を含めて全てが夫婦であり、同乗させた動物もすべてオスとメスのつがいでした。これはコヴェナント号のクルーの構成と重なります。

リドリー・スコット監督は前作「プロメテウス」や代表作である「ブレードランナー」でも分かる通り、SF映画に神話的なエッセンスを盛り込むことを好む監督です。コヴェナント号でノアの方舟を踏襲したのはリドリー・スコット監督らしい選択といえます。

コヴェナント号に信号を発信していたのは誰なの?目的はなんなの?

コヴェナント号が「オリガエ6」から本作の惑星に軌道修正するきっかけは、惑星から謎の信号を捉えたからです。では、その信号は誰が何のために発したのでしょうか。

信号の内容は前作「プロメテウス」で惑星LV-223から脱出したエリザベス・ショウ博士が、エンジニアの船であるジャガーノート号を操縦しながらジョン・デンバーの「故郷に帰りたい」を歌うホログラムでした。

これを発信していたのはショウ博士を殺害した後のデヴィッドです。その目的は、ショウ博士から作り出したエイリアンの新しい宿主を探すために、新しい人間が必要だったからです。

コヴェナント号はこの信号を受信し、デヴィッドの思惑通りにみすみす惑星に降り立ってしまうことになります。

なんで惑星には動物がいなかったの?

本作の舞台となる惑星にコヴェナント号のクルーが到着した際、動物の声などが一切しないことを指摘しています。実際、動物らしい動物も一切登場しません。確認できた植物も虫による受粉を必要としない麦だけでした。

恐らく、惑星にはもともと動物や虫が居たと思われますが、いずれもデヴィッドの撒き散らした黒い粉で死滅したものと思われます。また、生き残ったものもデヴィッドのエイリアンを作り出す研究にあてがわれたために、動物や植物が居なくなったと考えられます。

胞子から出てきた黒い粉はなんなの?

デヴィッドが惑星に撒き散らした黒い粉とは別に、コヴェナント号のクルー達を襲ったのは胞子状の植物から吹き出てきた黒い粉でした。

この黒い粉を吹き出す胞子ななんなのか?ですが、黒い粉はDNA構造を書き換える力を持っているようなので、デヴィッドが惑星に黒い粉を撒き散らしたことで土着の植物が黒い粉を吹き出す植物に変異したものと思われます。

もしくは、もともとこのような植物がこの惑星にはあったとも考えられますが、黒い粉はエンジニアが作り出した病原体ないしは生物兵器とされているので、もともとこういう植物があったと考えるよりは黒い粉が植物に作用したと考える方が自然かなと思います。

なんで宇宙船にもう一体エイリアンが入り込んでいたの?

惑星から脱出する際、ダニエルズがクレーンを使って1体のゼノモーフを倒しますが、その後に母艦でもう一度ゼノモーフの襲撃を受けます。この2体目のゼノモーフはどこからやってきたのでしょうか?

まず1体目のゼノモーフですが、これはデヴィッドの策略によってオラム副官に寄生したエイリアン(顔に絡みつく白いエイリアンで、フェイスハガーと呼ばれています)から生まれたものです。

2体目のゼノモーフですが、これはオラム副官の後に同じ場所でフェイスハガーに襲われたロープ軍曹から生まれたものです。ロープ軍曹の場合、コールがすぐにナイフでフェイスハガーを引き剥がしますが、ときすでに遅し。このときすでにゼノモーフを生みだすための病原体がロープ軍曹の体内に入り込んでいました。

ロープ軍曹はダニエルズらと共に母艦に帰還して顔の治療を受けていましたが、その後に母艦の中でゼノモーフを生み出して死亡します。これが2体目のゼノモーフとなります。

ダニエルズ達はラストシーンの後どうなるの?

ダニエルズは目の前にいるウォルターがウォルターに扮したデヴィッドであることを看破しますが、ときすでに遅くコールドスリープ状態に入ってしまいます。不敵な笑みを浮かべるデヴィッドですが、ダニエルズ達は一体どうなってしまうでしょうか?

デヴィッドの計画は体内に隠し持ってきたエイリアンの卵を使って、さらに強力なエイリアンを作り出すことです。そのため、エリザベス・ショウ博士にそうしたように、ダニエルズ達を実験台として新しいエイリアンを生み出そうってわけです。

普通に考えればダニエルズ達の体内にエイリアンを産み付けるはずですが、作中ではそこまでは描かれませんでしたので最終的にどうなるかはまだわかりません。ダニエルズ達が奇跡的にデヴィッドの魔の手から逃れられるのかは、おそらく次作で描かれるものと思われますので、楽しみにしましょう。

そもそもデヴィッドはなんでクルーでもないのにコヴェナント号に入り込めたの?

ウォルターとの戦いを制して惑星から脱出した際、しれっと母艦に入り込んできたデヴィッドですが、母艦に備わるマザーは未確認生命体を検知する能力がありますから当初のクルーではないデヴィッドが簡単に入り込めたのは納得いきません。ウォルターと同じウェイランド社のアンドロイドだから大丈夫だったとも考えられますが、セキュリティ的な考えとしては少々無理があります。

この点に関して、(少々無理やりな解釈ですが)おそらくデヴィッドは何らかの方法でウォルターの体を乗っ取ったものと想像します。ウォルターとの戦いの最後に手に取ったナイフを使ってウォルターを機能停止状態にした後、自らのデータをウォルターの中に移動させたのではないでしょうか。

ウォルターとデヴィッドとの戦いの決着が描かれていないことから推測となりますが、デヴィッドが髪の色や左手を失っているなどウォルターと同じ外見であったことや、マザーがデヴィッドを未確認生命体と判断しなかったことから鑑みるに、おそらくウォルターの体を乗っ取ったと考えるのが自然ではないでしょうか。

また、その後ラストシーンでデヴィッドはコヴェナント号のマザーに「デヴィッド」としてユーザー認証されています。本来コヴェナント号のクルーでないデヴィッドがマザーにユーザー登録されているのはおかしい気もします。

この点について、(これも少々無理やりな解釈ですが)その前にデヴィッドが必死にコンピューターをいじっているシーンがあるので、自分で直接ユーザー登録したと考えられます。

最後、ダニエルズはウォルターとデヴィッドをどう見分けたの?

最後のシーンでダニエルズはデヴィッドがウォルターに化けていたことを看破します。しかし、見た目が完全にウォルターのデヴィッドをどうやって見分けたのでしょうか?

これはその前のデヴィッドとダニエルズとの会話を思い出せば分かります。本作の序盤でダニエルズは亡くなったブランソン船長が新しい惑星にたどり着いたら湖畔で小屋を建てようとしていたことを話します。

ラストシーンでダニエルズはその小屋の建設をウォルター(と思っていたデヴィッド)にお願いするのですが、中身はデヴィッドな訳ですから、当然デヴィッドは何の話をしているか分からないといった態度をとります。このやり取りでダニエルズは目の前にいるのがウォルターではないことを見破るのです。

最初と最後に流れるワーグナーの「ヴァルハラ城への神々の入城」にはどんな意味があるの?

意味深に映画の冒頭と最後を飾るのはリヒャルト・ワーグナーの「ヴァルハラ城への神々の入城」です。この楽曲にはどんな意味が込められているのでしょうか?

「ヴァルハラ城への神々の入城」はワーグナーの代表的な楽劇「ニーベルングの指環」4部作の1部目であり序夜となる「ラインの黄金」の内の一作です。「ヴァルハラ城への神々の入城」は序夜の最後を飾る幕引きの作品にあたります。

「ヴァルハラ城への神々の入城」は地球を支配していた巨人族(!)と神々(!!)との物語で、「ニーベルングの指環」は彼らの没落を歌った作品なのです。当然、デヴィッドから見て巨人=エンジニア、神々=人間でしょう。

そして「ヴァルハラ城への神々の入城」はその巨人と神々の没落のはじまりを描いた作品であり、それはまさにデヴィッドが実現しようとしていることに符合するのです。

初代「エイリアン」のノストロモ号やエレン・リプリーとの関連は?

1979年公開の初代「エイリアン」では、宇宙貨物船ノストロモ号が惑星LV-426からの信号を受け取り、調査のために惑星に降り立ったことでエイリアン達と遭遇します。

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前作「プロメテウス」と本作「エイリアン: コヴェナント」はこの初代「エイリアン」の前日譚を描くトリロジーとして製作されたものですから、どのように繋がっていくかも興味が湧くところです。

まず最初にデヴィッドやエリザベス・ショウ博士がエンジニアを見つけたのは惑星LV-223であり、最初の「エイリアン」で描かれる惑星LV-426とは別の星であることがわかっています。そのため、どうして惑星LV-426にエイリアンやエンジニアが居たのか、コヴェナント号と関連があるのかはまだ分かっていません。

そして、初代エイリアンでは惑星LV-426に降り立ってすぐ、ジャガーノート号を操縦するエンジニアの化石(通称スペースジョッキー)と対面します。このエンジニアの腹部はエイリアンによって食い破られたものと見られる風穴が空いていますが、その経緯は長年謎に包まれていました。このあたりは恐らく次作でもっと明らかになるでしょう。

また、前作「プロメテウス」でプロメテウス号を、今作でコヴェナント号を派遣したウェイランド社は、その後「エイリアン」に至るまでに経営破綻してユタニ社と合併、「ウェイランド・ユタニ」社に改名することがわかっています。このあたりの経緯も次作で明らかになるのではないでしょうか。

また、エイリアンシリーズを代表する主人公といえばシガニー・ウィーバーが演じた「エレン・リプリー」ですが、彼女が次作でどう関わってくるかも気になるところです。今作のダニエルズはエレン・リプリーと血が繋がっているのではないかという噂もありますが、これも次作で明らかになるでしょう。

まったく新しいエイリアンを目撃せよ!

エイリアン: コヴェナントの続編の制作については現在見送られているようですが、2020年9月のForbesでのリドリー・スコット監督のインタビューによると、「エイリアン」シリーズの新作について現在企画が進行中とのことです。

エイリアン: コヴェナントの続編かどうかは定かではありませんが、リドリー・スコット監督の次のエイリアンシリーズに期待です。

本作では解き明かされなかった様々な謎が、次作では明らかになると期待しており今から楽しみです。

エイリアン: コヴェナントを今すぐ見たい方は以下の通り、Amazonなどで購入するか、動画配信サービスなら2020年12月現在Netflixで配信しています。

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貴下の従順なる下僕 松崎より

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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。