私の愛しいアップルパイへ
私がマンションの片隅で毎日大理石像のごとく冷徹になって考えているのは、うまい時間の使い方とはなにか?ってことです。いうまでもなく時間は私たちに与えられた一番の財産です。これをどう使うかは、幸福と成功に大きく関わってきます。
私も時間管理について記事を書いたりセミナーを開催したりしている職業柄、何人もの”時間管理の達人”に会ってきました。時間管理の達人は誰ひとりとして同じやり方をしていませんでしたが、面白いのは共通した特徴が1つあったことです。それは、
時間管理のうまい人は郵便物を受け取ってもすぐに開封しない
ということです。
「So What?」
そう言いましたか。良い質問です。解説しましょう。
郵便物をすぐに開封しない人は時間の使い方がうまい
なぜ郵便物をすぐに開封しない人は時間の使い方がうまいのでしょうか。それは単なるズボラとどう違うのでしょうか。その理由はこうです。
時間の使い方を主体的に考えている
時間管理のうまい人が郵便物を受け取ってもすぐに開封しようとしないのは、時間を主体的にコントロールしようとする意志が強いからです。自分が時間の使い方を主体的にコントロールできるのはどこからなのかを、よく理解して活用しようとしています。
郵便物を受け取るところは外部からの緊急割り込みといえるでしょう。これはいつ来るか指定できないものが多いですし、来てしまったものは受け取るしかありません。
しかし、受け取った郵便物を開封するか否かは自分でコントロールできる範囲です。いますぐ開けることもできますし、あとで開けることもできます。
郵便物を受け取ったからといってすぐに開けるのは反応的な時間の使い方といえるでしょう。もともと計画していたタスクを投げ捨てて、いま外部から割り込まれたタスクに振り回されている状態です。
郵便物を開封する程度ならいいじゃないかと思うかもしれませんが、時間管理の達人は普通の人が細かいと思うようなレベルまで、時間を主体的にコントロールしようとする意志が行き渡っているのです。
タスクの優先度のつけ方を知っている
時間管理の達人はタスクの優先度を決めるためのポリシーが明確にあります。そして、単にいま言われたからとか、いま思いついたからという理由だけでタスクの優先度をあげたりはしません。
時間管理の達人は、自分にとって重要なことを優先しようという気持ちがとびきり強いのです。
彼らは重要なタスクから取り組む人なので、郵便物を開封することは、もともと着手していたタスクより重要度が低いことを確信しています。
普通の人は時間のうまい使い方を、ものごとを単に効率的にこなすことだと勘違いしています。ですから、郵便物を開封しないで放置するよりはすぐに開けてしまったほうがはやいと考えてしまうのです。
しかし、時間管理の達人は効率的であるより効果的であることを望みます。いかにはやくできるかではなく、いかに重要なことに時間を割けるか、なのです。
気になることを管理する方法を知っている
郵便物を開封しないとなると、開封していないことを管理するのが面倒だと思うかもしれません。
しかし、時間管理の達人が些細なことを適当に放置しているかというと決してそうではありません。むしろ逆です。彼らは些細な”気になること”が溜まってくるとそれらが脳内メモリを占領して、自分のパフォーマンスを落とすことになるとよく理解しています。
ですから、彼らは「今やるべきではないが気になること」を管理する方法を熟知しています。つまり、後回しする方法がうまいのです。
彼らの多くがやっているのは、気になることが発生したらすぐに手をつけるのではなく、気になることを所定の場所に書き出すことです。そして、その気になることを定期的に整理する習慣をつくっています。
そうすることで、気になることを後回しにして、いまやるべきことに没頭できるようにするのです。
時間管理がうまい人は郵便物をどうやって開封するのか?
では、時間管理がうまい人がどんなふうに郵便物を開封しているかを最後に整理しましょう。
- 郵便物が届いたらいまのタスクを中断して、郵便物を受け取ります
- 受け取った郵便物は開封せずに一時保管場所にそのままおいておきます
- 中断したタスクを再開し、当初の予定通りにタスクをこなしていきます
- あらかじめ決めておいた郵便物を開封する時間帯(食後や入浴後など)になったら、一時保管場所にある郵便物を開封して整理します
多くの時間管理の達人はこのように郵便物を開封していました。そして、これらのやり方は郵便物に限らず、電子メールや電話、提出書類などにも当てはめられるでしょう。
単に効率的なだけの時間管理ではないという点において、彼らは普通の人よりもずっと時間の使い方がうまいのです。
貴下の従順なる下僕 松崎より