私の愛しいアップルパイへ
いつもはシルクのように滑らかな動きで登場する私がなぜ今日はこんなにぎこちないかと言いますと、明日がついにjMatsuzakiの1st Liveとなるからです。
好きなことをやるのはとても怖いことである
はじめて自分のバンドを組んで、自分の曲を公開して、ライブで演奏するようになったのは、ちょうど10年前のことでした。その一方で、夢を安易に放り投げてシステムエンジニアに就職したのも同じくちょうど10年前のことでした。
10年!10年の積み重ねといえば、マルコム・グラッドウェルが説いた桁外れの能力を持つ人になる条件とも合致します。桁外れの能力を身につけるには一万時間が必要であり、一万時間を費やすには平均して10年ほどの歳月が必要だという「一万時間の法則」です。
それで、私が10年かけて積み重ねてきた桁外れの能力とはなんだったのでしょうか。それはなんとも面白いことに、バンドマンとしての能力ではなく、システムエンジニアとしての能力でもありませんでした。この10年間、私が身を捧げて培ってきたのは、夢と現実の狭間にある無限の葛藤でした。この点についてなら誰よりも自信があります。
好きなことをやることには、楽しさとか、ワクワク感とか、溌剌さといったその言葉から受ける第一印象とは真逆の真実が隠されています。あなたのような夢見るリアリストなら分かると思いますが、実のところ、好きなことをやるのはとても怖いことなのです。好きなことをやるのはとても勇気のいることなのです。
好きなことを現実化するには、例外なく自分の無能さを自覚しなければなりません。そして、失敗と挫折の繰り返しを覚悟しなければなりません。そのうえ、「時間がないから」とか「趣味でいいから」といった言い訳に逃げ込むこともできなくなります。「もし俺が本気を出せば何だってできるんだ!」という可能性の中に逃げ込めなくなるわけです。
逆に、「なにもしないこと」には大きな魅力があります。「なにもしない安堵感」を得られることは、その人の一生を決めてしまうほど大きな魅力を持っているのです。
それゆえに、好きなことが手につかないということがあり、夢に向かって歩き出せないということがあるのです。
夢見るリアリストとして1st Liveを行います
明日はjMatsuzakiとしてのはじめてのライブです。私は「なにもしない安堵感」を謳歌するのではなく、夢見るリアリストとして明日を迎えられることを誇りに思います。
僭越ながら申し上げさせていただきますと、貪欲なる私はこの日を、あなたを好きなことへと突き動かすパワフルな一日にするつもりです。ご都合よろしければ、ぜひいらしてください。
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貴下の従順なる下僕 松崎より