終わらせない仕事術を実践して生産性を高く維持する

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タスク管理と時間管理において、長期間にわたって高い生産性を維持しようと思った時に我が臓腑に深く刻みつけていることがあります。それは「終わらせない仕事術」と呼ばれるもので、我が敬愛するカウボーイの一人であり、かのタスクシュート時間術を考案した大橋悦夫さんがよく口にされる方法です。

▼以下の記事では「終わらせない仕事術」について大橋悦夫さんはこう語っています。

とにかく伝えたいのでまた書きます。仕事を「終わらせるもの」ではなく「取りかかるだけのもの」という認識に変えたほうがよい、ということを、です。僕を含め、あまりにも多くの人が仕事を「終わらせよう」として失敗しているからです。

「終わらせない」仕事術 本文より抜粋

一見するとさほど画期的とは思えないかもしれませんが、これこそ多くの人の生産性を削いでる箇所であり、実に奥深いのです。今日は私なりの言葉で「終わらせない仕事術」を解説してみます。

「終わらせない仕事術」とは?

「終わらせない仕事術」とは、上述した通りタスクシュート時間術の考案者である大橋悦夫さんのユニークな仕事術です。簡単に言えば、今日中に終わらせないといけない仕事の数が限りなく0になるように一日の予定を組むのです。これはタスクシュート時間術を実践する上でも重要な考え方であり、私も日々意識させられています。そして、この考え方にのっとるだけで、生産性がグッとあがります。

これはタスク管理本の名著と名高い「マニャーナの法則」にも通ずる考え方であり、タスク管理・時間管理のとても重要な鍵が眠っています。

▼ 「マニャーナの法則」では「終わらせない仕事術」に近い考え方として以下のように語られています。

きりのいいところまで仕事を終わらせると、脳に「仕事は終わった」という認識を与えてしまい、完璧を求める欲求が消えてしまいます。その結果、仕事を再開するのが難しくなってしまうのです。そこで、無理にでも仕事の途中で中断して休憩に入りましょう。こうなると、脳は「仕事は終わっていない」と認識します。つまり「仕事に戻りたくて仕方がない」という気分になりますから、仕事への復帰が楽になります。

仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則・完全版 CHAPTER 13 大切な仕事の先送りをなくす

どんなタスクも作りかけにしておき、中途半端のまま一日を終えるようにするのです。そして中途半端にしたタスクをある日一気に終わらせるのではなく、毎日ちょっとずつ進めるようにするのです。こんな簡単なことがなかなか難しく、私も日々格闘しています。

タスクを終わらせずに今日の仕事を終わらせる

「ええいjMatsuzaki!タスクを終わらせなかったら仕事が完成しないではないか!」と言いたい気持ちはわかります。が、実際には仕事は終わります。このマティーニでも飲んで落ち着いてください。

第一に重要なのは、仕事が終わったときに「いつの間にか終わっていた」状態を目指すことです。毎日ちょっとずつ進めて、ある日気づいたら終わっていたという状態を目指します。「終わらせない」とは「終わらせた感」を無くすということです。

第二に重要なのは、目の前のタスクを終わらせずに、一日の仕事を終えることです。多くの人は目の前のタスクを無理やり終わらせようとして、一日の仕事を終わらせることを先送りしています。これが非効率な残業を生み、仕事のハードルを上げ、タスクを滞留させ、生活リズムを崩し、精神的な疲弊を生み、長期的に生産性を下げてしまうのです。

「終わらせない仕事術」は完了タスクの数を減らすことで、一日の生産性を最大化します。

終わらせない仕事術を実践するコツ

終わらせない仕事術を実践するにはいくつかの高度な技術が求められます。今日タスクを終わらせなくとも問題ない状態である必要があるからです。例えば以下のような技能が求められます。

  • 「すべてのタスク」とは別に「今日やるタスク」のリストを作っておく
  • 期限に遅れないようにするには「最速で手を付ける」意識が重要となる
  • 終わってないタスクに毎日ちょっとずつ手を付ける習慣化の力が必要となる

特に終わらせない仕事術の実践が難しいのは、期限に遅れないように仕事をちょっとずつ進めることでしょう。ペースが遅すぎると納期に遅れてしまいます。しかし、納期ギリギリで焦って作ってしまうようで今までと変わりません。

ですからどんな仕事も今日終わらせなくて済むようスケジュール管理が求められます。また、それ以上に難しいのは、締め切り間際に急いで仕事を片付ける快楽主義的な働き方(7つの習慣などでは緊急中毒と呼ばれます)から脱却する必要があることです。

緊急でしかも重要な危機を解決すれば、一時的に気分がハイになる。重要な仕事ではなく、ただ単に急ぎの用事であるなら、プレッシャ ーや緊張感が少ない分、解決する高揚感はさらに増し、やがて何でもよいから緊急の用事だけをするようになる。私たちの社会では、働きすぎくらいに忙しくていることが求められている。それがステ ータスシンボルにさえなっているのだ。忙しくしていない人は価値がない、忙しくしている人ほど価値がある、というわけである。だから、忙しくしていないと気まずい思いをし、後ろめたさを感じる。忙しくしていれば安心していられる。自分の価値を確認できる。人に喜ばれ、ありがたがられもする。そしてまた、自分の人生における最優先事項を実行に移さない格好の言い訳にもなるのだ。

7つの習慣 最優先事項 第一部「時計とコンパス」

おそらくほとんどの人がタスクを終わらせる快楽に溺れ、リズムを崩し、擦り切れています。終わらせない仕事術は決して簡単なことではありません。

仕事を今日中に終わらせなくていいタスクだけにする効果

今日の仕事を今日中に終わらせなくていいタスクだけにする効果は何でしょうか。それは大きく3つあります。

終わらせなくていいから着手ハードルが低くなる

まずもって大きな効果は終わらせなくていいという意識がタスクへの着手ハードルを下げることです。着手ハードルが下がると仕事は思いの外スルスル進みます。

逆に「終わらせないと!」と思うから着手ハードルが上がるのです。結果、SNSやゲーム、諸々の単純作業に脱線して無駄に時間を浪費するようになります。そして、結果的に手をつける時間すらなくなり、「今日は時間がないから明日にしよう」などと言い出すのです。

短時間で区切ることで集中力を高く維持できる

タスクを終わらせなくていいのであれば、取り掛かる時間で管理することになります。これも期限まで十分に時間を確保していれば、1日10分でも十分なことが多いでしょう。

1つの仕事に10分取り掛かるだけでいいとなれば、1回の集中時間は極めて短くなります。そして、短い時間の中で少しでも仕事を前に進めようという気持ちになり、いつになく仕事に集中でき、没頭できるようになります。

これは時にフロー状態やゾーンともいえるような非常に高い集中状態を作ってくれることすらあります。10分でも通常の1時間に匹敵する進捗が生まれることもあります。

結果的に仕事が早く終わるのです。

終わってないから早く再開したくなる

終わらせない仕事術の特にパワフルな点は、終わってない中途半端なタスクの存在が人のモチベーションを上げることです。

上記で引用したマニャーナの法則にもありますが、仕事が終わったという解放感は、仕事の継続を難しくします。仕事の再開が難しくなれば、それだけ作業量は減り、結果的に生産性が下がります。

逆に、中途半端なタスクがあると完成させたくなります。それが仕事への意欲となり、高い集中力を維持し続けられるようになるのです。

「予定どおり」こそ一番やる気が出る

タスク管理・時間管理を突き詰めていくと、シンプルに「予定どおり」なときが一番気分が溌剌とし、高い生産性を発揮できると気づきます。そして、終わらせない仕事術は予定どおりを実現する最も効果的な方法の1つです(今日中に終わらせる仕事が無いのですから、予定どおりに仕事を終えるのは容易になります)。

▼これは最初に引用した「マニャーナの法則」でも謳われています。

仕事をしていて、一番やる気が出るのはどんな時でしょうか?

答えは「仕事が予定どおり進んでいる」と実感する時です。

意外に思われる方が多いでしょう。多くの方は「目標が明確な時」「熱意を感じる時」「好きな仕事をしている時」といった答えを予想されたかもしれません。しかし、どんな仕事でも、予定どおり進んでいることで一番力が湧くのです。

仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則・完全版 CHAPTER 06 「忙しいだけの仕事」を捨てる

大きな理想を語ったものの、いざ手を付ける段になってやる気が起きなかったり、綿密な計画を練ったのに実行しようと思ったら萎えてしまったなんてケースはよくあるものです。

「予定通り」の力を舐めてはいけません。タスク管理、時間管理の観点で実行段階の人にやる気を着火しようと思ったら、壮大な夢を語ったり耳元で甘い言葉を囁くより、予定通りな状態を作る方がずっと効果的です。

また、終わらせない仕事術を実践できるようになると、予定通りの時間に、つまり定時に仕事を終わらせることが容易になります。予定通りに仕事が終わるので休息も十分に取れ、肉体的にも精神的にも健康を維持できます。長期的に高い生産性を維持するにはタスクを終わらせなくて良いゆとりが必要です。

逆に、日々の生産性を下げてしまう原因はなんでしょうか?それは「今日中に終わらせないといけない仕事」なのです。もし「今日中に終わらせないといけない仕事」が1つでもあるなら要注意です。複数あるなら、時間の使い方を大きく見直すべき時かもしれません。

「終わらせない仕事術」は一見すると実にシンプルですが、その中身は実に奥深いです。「終わらせない仕事術」へのシフトは、人が狩猟文化から農耕文化へシフトした時のような革命をあなたにもたらしてくれるでしょう。

▼最後に、大橋悦夫さんの言葉をもう一度引用しましょう。

「取りかかる」だけなら簡単なのです。

「イヤな仕事はなかなか取りかかれないじゃないですか」という意見もあるでしょう。

それは、しかし、違います。「取りかかるだけ」なら本当に簡単なのです。

「イヤな仕事はなかなか取りかかれない」には省略されている部分があるのです。
「イヤな仕事は(取りかかれても簡単には終わりそうもないから)なかなか取りかかれない」

つまり、終わらせようとしているからこそ、それがプレッシャーを生み出し、取りかかりを阻害するのです。

であれば、終わらせようとしなければいい。

「終わらせない」仕事術 本文より抜粋

貴下の従順なる下僕 松崎より

タスク管理マニアが高じてWebで「タスクシュート時間術」を実践できる「TaskChute Cloud」を自らの手で開発してリリースしました。 タスクシュート時間術の考案者である大橋さんから開発許可を得た公式ツールです。

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著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。

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