プロジェクトノートとナレッジノートは分けて情報整理する

私の愛しいアップルパイへ

私がNotionでプロジェクトに関する情報を社内Wiki的に整理していることは少し前にお話しした通りです。

プロジェクトが進むと成果物やその下書き、議事録や作業用のノートが生成されていくものですが、それらはNotionに適宜書き溜めていきます。

私はNotionとは別にノートアプリケーションを使ったメモも書き連ねています。どちらもメモといえばメモなのですが、この2つはブラームスとワーグナーくらいの違いがあります。

仕事をしていると、プロジェクトを進める上でのメモとは別に、特定のプロジェクトには依存しない永続的に使える知恵もあることに気がつきます。大抵の場合は、プロジェクトを進めていくなかで発見した汎用的に使える知恵です。

どちらも文章であったり画像であったり表やグラフなどを用いたノートとして作成されることが多いです。

形式は似ているものの、このようなプロジェクトを進める上でのメモ書きと、永続的に使える知恵(ナレッジ)を1つの場所に統合してしまうと、別の目的・性質のものが混在して煩雑になってしまいます。

ですから、特定のプロジェクトを進めるために必要な情報はプロジェクトノート、特定のプロジェクトに依存しない汎用的な知恵はナレッジノートとして保管場所を分けるのがオススメです。

それぞれの違いを次にまとめましょう。

  • プロジェクトノート:あるプロジェクトを遅滞なく進める上で必要な覚書のまとまり
  • ナレッジノート:思考を整理しながら知恵をストックし、新たな洞察やひらめきにつなげる第二の脳

たとえば、新居に引っ越しするために見通しをたてたり、残タスクを洗い出したり、関係者一覧を作ったりするのはプロジェクトノートに適しているでしょう。

一方で、その引っ越しプロセスのなかで要らなくなった本を効率的に売却する方法や、信頼できる引越し業者を選定するポイントなどを発見したのなら、それはナレッジノートに適しているでしょう。

プロジェクトノートはプロジェクトが終わったらほとんど見返すことはありませんが、ナレッジノートはむしろプロジェクトが終わってから定期的に見返すノートになるでしょう。

プロジェクトノートはフロー情報に近いので、ツール選定は自由度が高いです。ナレッジノートはストック情報に近いので、ツール選定は移行性や安全性などを考えてそこそこ慎重になる必要があります。

そういう理由から、私は現在プロジェクトノートにはNotionを、ナレッジノートにはプレーンテキスト(Markdowm形式)を採用しています。

それぞれの使い分けについて簡単にまとめてみましょう。

なお、ナレッジノートの代表例の1つである「Zettelkasten 」の代表的な実践者であるChristian Tietze氏も、このようにプロジェクト用とナレッジ用とでフォルダを明確に分けて管理することを勧めています。1

私はプロジェクト用とナレッジ用とでアプリケーションごと分けていますが、考え方は彼のものを参考にしています。

I use nvALT to manage all my Zettel notes. It’s the application I use to access the folder of text files which is my Zettelkasten note archive. In the same folder, there are notes which aren’t Zettel notes, like running lists I keep there because it’s convenient to access them this way. For example, I’ve got a list of movies I want to watch, or a list of blog posts I already published here. Running lists live rather long but are of no substantial value to my personal knowledge management. Additionally, there are shorter lived notes which do add extra value. Project notes are part of that. Think of these as scratchpads for a fully-fledged project organization.

私は「nvALT」を使ってZettelノート(ナレッジーノート)を管理している。Zettelkastenアーカイブ(ナレッジノートの集まり)にアクセスするためのアプリケーションである。同じフォルダの中には、ナレッジノートではないが、アクセスが便利なために置いているランニングリストのようなノートがある。例えば、見たい映画のリストや、すでにここで公開したブログ記事のリストなどだ。このようなリストはかなり長く保存されるが、個人的なナレッジ管理としての実質的な価値はない。加えて、それよりも短い期間で活用されるノートもある。プロジェクトノートもその一つだ。これらは、本格的な組織的プロジェクト管理を行うためのメモ帳みたいなものだ。

How I Prepare to Work on a Research and Writing Project | zettelkasten.de

貴下の従順なる下僕 松崎より

参考文献

  1. Christian Tietze, “How I Prepare to Work on a Research and Writing Project,” Zettelkasten Method, Sep. 30, 2014.
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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。