私の愛しいアップルパイへ
あなたが待ち侘びていたZettelkastenに保存するノートの種類と保存先の構成についてまとめます。
なぜそんなことをしてくれるのかって? それは私が紳士だからですよ。
構成にあたってはニクラス・ルーマンが実際に使っていたZettelkastenのデジタル・アーカイブと1、それを分析して体系的にまとめたズンク・アーレンス氏の著書を特に参考としました(ダンケ!)23
Zettelkastenで使うノートの種類と構成
なぁに、もったいぶるつもりはありません。
さっそくZettelkastenを構成するノートが保存される場所の種類と、ノートの種類について見ていきましょう。
Zettelkastenを構成するノートは次のような構成となります。
- 一時メモ
- Fleeting Notes
- 文献ノート
- Literature Notes
- Zettelkasten本体
- Permanent Notes
- Structure Notes
- Index Notes
- プロジェクト管理
- Project Notes
ノートはそれぞれ4つの保存先に別れており、ノートの種類としては合計6つが存在することになります。
3がZettelkastenと呼ばれているものの本体であり、他の3つはこのZettelkastenを作る補助的な役割となります。
それぞれの役割について詳しく見ていきましょう。
1.一時メモ
一時メモは思いついたことを取りあえず保存しておくための箱です。インボックスの役割を担います。
このメモは「Fleeting Notes」と呼ばれるものです。
後でノートにまとめたいけれど、いまは執筆する時間が取れない時など、そのアイデアを一時的にキャプチャして忘れないようにするためのノートです。
このノートは走り書きのレベルでよく、ノートの内容やフォーマットは問いません。ただし、Zettelkasten本体とは独立した専用の箱に保存しておくとよいでしょう。
私はこのようにNotionで一時メモ専用のデータベースを作ってFleeting Notesを管理しています。
Fleeting Notesは定期的に処理され、ノートにする価値があるものについては清書してZettelkasten本体に保存されます。清書されなかったFleeting Notesは破棄されます。
2.文献ノート
インプットした書籍や論文などに関するメモはこちらの文献ノートに保存されます。
役割は一時メモに似ているのですが、こちらはZettelkasten本体で使うときに出典を明記する必要があるため一時メモとはフォーマットが少々異なります。
このメモは「Literature Notes」と呼ばれます。
ノートには文献をインプットして気付いたことや特に役立つと思ったことを自分の言葉で説明し直します。文献の文言をそのままコピー&ペーストするのではなく自分の言葉で書くようにすることで、内容を理解できるためです。
Literature Notesは文献ごとにノートを作成しておき、その中にメモを書いていく形になります。
私は文献ノートもNotionで専用データベースを作って管理しています。Fleeting Notesとは違って著者や出版社のメタ情報も記述しており、清書用に使う引用タグを自動生成できます。
Literature Notesには参考にした箇所のページ番号も併記しておきます。そうすることでZettelkastenに清書するにあたっていちいち該当箇所を探さなくて済むためです。
Literature NotesもFleeting NotesのようにZettelkastenへ清書されることになりますが、こちらは基本的に破棄しません。これはその後に作成される複数のノートで参照される可能性があるためです。
Literature Notesの中身は次のようになっています。
3.Zettelkasten本体
上述した2つのノート「Fleeting Notes」と「Literature Notes」をもとに自分の考えを清書したものがZettelkasten本体へ保存されます。
Zettelkasten本体は3種類のノートによって構成されます。
- Permanent Notes
- Structure Notes
- Index Notes
自分の考えをまとめたノートは「Permanent Notes」と呼ばれます。これは永続的ノートという意味で、そのノート単体でも公表できるレベルの文章が期待されます。
Permanent Notesは他のあらゆるノートと比べて最重要なノートで、このノートを作成する補助として他のノートが存在するとも考えられます。
私はZettelkastenをNeovimで作成しており、Permanent Notesは次のようなノートとなっています。
「Structure Notes」は複数のPermanent Notesへのリンクを含むまとめノートです。Permanent Notesを複数まとめることでより大きな概念を体系的に表現できます。書籍でいう目次のようなものです。
Zettelkastenは主にPermanent NotesとStructure Notesの2つのノートを組み合わせて自分の考えを表現することになります。
Structure Notesは次のようなノートとなっています。
Zettelkasten本体に格納される第3のノートとして、索引キーワードをまとめた「Index Notes」があります。
これはZettelkastenのエントリポイントとなるノートへのリンク集で、特定の用途に適したノートを効率的に検索するために使われる補助的なノートです。
自分で決めた索引キーワードごとに該当ノートへのリンクを記しておきます。通常、索引キーワードごとに1つか2つ程度のノートを指定します。
Index Notesは基本的にStructure Notesへのリンク集となります。
なお、デジタルZettelkastenではタグでも代用できるため必ずしも作成が必要ではありません。私自身、個別のIndex Notesを作成する代わりにFront Matterのタグを使っています。
こうすることで、Zettelkasten本体の中でFront Matterに設定されたタグの一覧を参照すれば、実質的なIndex Notesになります。
Structure Notesはノートを分類し、構造を与えます。一方Index Notesは特定のコンセプトに適合したノートへのエントリポイントを示すことに向いています。
それぞれの違いについてノートはフォルダではなく構造ノートで分類するもご覧ください。
4.プロジェクト管理
Zettelkasten構築にあたってタスクなどを管理するためにProject Notesが使われます。ここにはノートを書くうえで参考となる資料や手順書、スケジュールやタスクリストなどが想定されます。
ただし、ZettelkastenはZettelkasten本体のノートを書き上げることが何よりも重要ですから、Project Notesの中身に明確な定義はありません。
私はNotionで次のようなデータベースを作成して、プロジェクト管理ノートとしています(公開テンプレートはこちら)。
Zettelkasten本体とプロジェクト・ノートの棲み分け
Zettelkasten本体とは別にプロジェクト管理用のノートを分けることで、プロジェクトを進めるための情報と永続的に使える知識を分けて管理できます。
プロジェクトノートとナレッジノートは分けて情報整理するわけです。
また、Zettelkastenはニクラス・ルーマン自身が書籍と論文を執筆するために使ったこともあり、公表するアウトプットを前提としています。
そのため、新しく学んだことを何でもかんでも保存するものとしては、負荷が大きすぎます。
Zettelkastenは知識を収集するというよりも、本当にクリティカルなことに集中して知識を練っていくことが向いています。
そのため、公表するつもりはないけれど、メモしておくとあとで役立つ情報などもプロジェクト・ノートが適していると言えます。
これについてはZettelkastenへ保存する対象は徹底的に絞るもご覧ください。
Zettelkastenテンプレート
私が実際に構築しているZettelkastenのテンプレートもあります。
このページには一時メモ、文献ノート、Zettelkasten本体が含まれています。
このページの親にあたるテンプレート全体がプロジェクト管理用テンプレートになっていますので、プロジェクト管理についてはテンプレート全体をご覧ください。
貴下の従順なる下僕 松崎より