私の愛しいアップルパイへ
私はいかにして”jMatsuzaki”たり得るのか。
「序章」で告知した通り、私はついに今日から“ウザ愛されるブログ記事理論”と題して、ブログ記事を書く上での秘伝の技法を公開していきます。
通常このような内容は”門外不出”と呼ばれるもので、私自身この内容を公開して良いものかひどく悩みました。
私を私たらしめる技法を教えてしまえば、あなたは簡単に”jMatsuzaki”になれてしまう訳ですし、そうなれば私のアイデンティティは完全に崩壊してしまうからです。
随分と長い間悩んだあげく、結局私は公開することに決めました。全てはあなたのことを愛すればこそです。
その記念すべき第一回目は「半終止」という技法についてです。さあ始めましょう。
全終止と半終止
「半終止」は音楽理論から着想を得たもので、私がブログ記事を書く上で最もよく使う技法の内の1つです。これは驚くべき汎用性の高さを持っていて、どんな記事にでも採用できます。
音楽は通常1つの曲が数小節~数十小節からなるいくつかの段落で構成されていて、段落の切り替わりにはその終わりと次の段落の始まりを示す「終止」と言われる箇所が存在します。
これはブログ記事も同様で、記事は見出しで区切られた3~4つ程度の段落で構成されていて、段落の切り替わりにはそれぞれ「終止」が存在します。
この「終止」には大きく4つの形があって、その1つが「半終止」というわけです。
「半終止」で結論を先延ばしする
「半終止」の目的は結論を先延ばしにすることです。
具体的には、本来結論を言うべきところで結論を言わず、胸を張って”私はこれから結論を言います!”と言うのです。こうすることで結論を次の段落に先延ばし出来ます。
例えば以下のような文章があるとしましょう。
◇見出し1
Aという事実があります。
次にBという事実もあります。
さらにCという事実もあります。
つまりDということが言えます
貴下の従順なる云々
これを「半終止」するとこうなります。
◇見出し1
Aという事実があります。
次にBという事実もあります。
さらにCという事実もあります。
私はこれから結論を言います!
◇見出し2
云々…
私はこれを好んで2回続けます。そうすればさらに”ウザさ”と”愛おしさ”の二律背反的な感情を同時に想起させることが出来るからです。
◇見出し1
Aという事実があります。
次にBという事実もあります。
さらにCという事実もあります。
私はこれから結論を言います!
◇見出し2
Dという事実だってあります。
Eという事実も言えるでしょう。
Fという事実だってあるのです。
私はこれから結論を言います!
◇見出し3
云々…
※「私はこれから結論を言います!」というのはあくまで意味を示すための表現であって、実際にはもっと効果的で優れた文章に置き換える必要がある
「半終止」の効用
なぜこんなことをするのか?それは単純です。さもなくば記事が終わってしまうからです。
もちろん闇雲に先延ばしするわけではございません。常に「半終止」は愛を得るための尊い選択でなければなりません。
想像して下さい。半円状の円形劇場にはヴァイオリンもヴィオラもチェロもコントラバスも、フルートもオーボエもホルンもファゴットも、トランペットもコルネットもトロンボーンも居るんです。
さらには扇状に4声部の合唱団が広がっていて、中心には気位の高い有能な指揮者が立っています。
そんな状況で演奏が始まってみたら、第1ヴァイオリンとヴィオラがそれらしい旋律を4~8小節弾いて「はい、おしまい」だなんて、それを”不誠実”と言わずに何と言うのでしょうか。
そのブログ記事に画期的で斬新な結論が宿っているのなら、結論はすぐに出さずに「半終止」でもって先延ばしされるべきなのです。
2度の「半終止」で気分を昂らせ、普段はアンダンテだとかモデラートだとかで流れているあなたの血液の流れが十分に速くなったところで、初めて結論を出すべきなのです。
実際の使用例
最後に実際の使用例をもって「半終止」の解説を終えることにしましょう。
私のキラキラと輝くブログ記事群の中にはまるで教科書のような「半終止」がいくつも存在しますが、その中からいくつか優れた実例をピックアップしてみましょう。
ウザ愛されるブログ記事理論~序章~
最も最近使われたのは、まさに「ウザ愛されるブログ記事理論~序章~」の記事の中でした。
ウザ愛されるブログ記事理論~序章~ | jMatsuzaki
ここでは以下のセンテンスが「半終止」の役割を担っています。
今日目を覚ました時に私は理解したのです。時は満ち、私に新たなる使命が与えられたのだと。
ついにこの教えをあなたに伝える日が来たのです。
なんなら私はこの記事をたったの5行で終わらせることだってできた訳です。
私の愛しいアップルパイへ
219
この記事をもって私がこの愛すべきブログに投稿した記事の数は219になりました。そろそろ良い頃合いでしょう。
私が今まで培ってきた”ウザ愛されるユーモラスで奇妙なブログ記事作成の理論”を、あなただけにこっそり伝授していきます。
貴下の従順なる下僕 松崎より
しかし私はそうはしませんでした。この記事をたったの5行で終わらせるべきではないと感じたからです。だから私は「半終止」することに決めました。そして「半終止」は教科書通り2度使われました。
私の愛しいアップルパイへ
219
この記事をもって私がこの愛すべきブログに投稿した記事の数は219になりました。そろそろ良い頃合いでしょう。
今日目を覚ました時に私は理解したのです。時は満ち、私に新たなる使命が与えられたのだと。
ついにこの教えをあなたに伝える日が来たのです。
【見出し1】愛されるための試行錯誤
2011年8月1日にこの愛すべきブログは開設され、私は毎日泥んこ泥の石っころのようになりながら我武者羅にブログを更新してきました。~~~~~~~【略】~~~~~~~
この半年間ただその一点ばかりを考え、その望みを叶えるために苦悩の内にブログ記事を更新し続け、少しずつ少しずつ学びを増やし、ヒィヒィ言いながらもどうにかこうにかコツを掴み始めました。
そして今日目を覚ました時に私は理解したのです。時は満ち、私に新たなる使命が与えられたのだと。
ついにあの教えをあなたに伝える日が来たのです。
~~~~~~~【略】~~~~~~~
「半終止」に使うセンテンスを何にするかは腕の見せどころです。“結論を言います”という主張を”教えをあなたに伝える日が来た”という言い回しで代替しているこの記事は実に甘美です。
アウッ!4月21日!第1回「アシタノワークショップ」開催するヨッ!!
私が連載を担当しているブログメディア”アシタノレシピ”でも「半終止」は効果的に使われています。ここでは以下の記事を挙げておきましょう。
アウッ!4月21日!第1回「アシタノワークショップ」開催するヨッ!!
この記事では以下のセンテンスが「半終止」を担っていて、やはり2度繰り返されます。
私たちには1つのプランがあるんです。(アウッ!あるヨッ!!)
ここでは”結論”を”プラン”と表現していて、実に甘美です。
これからの1ヶ月、1週間を真剣に考えてみないかい?
時には記事をコンパクトにするため、1回で済ます場合もあります。以下は冒頭の1回の「半終止」で構成されています。
これからの1ヶ月、1週間を真剣に考えてみないかい? | jMatsuzaki
最初の段落の最後に使われている以下のセンテンスが「半終止」を担っています。
ああ、そうか。私はそろそろアレについてあなたに解説しなければいけない時が来たのだなと。
ここぞという記事では「半終止」を使おう
1つ注意しておきますが、「半終止」は毎回使ってしまっては興ざめというものです。ここぞという記事の時にだけ使うべき技法なのです。
「半終止」の先には先延ばしされるべきような”結論”が待っていなければいけません。「半終止」による先延ばしは、大理石像の如く冷徹な”賢明なる選択”の上にのみ成り立つのです。
これで私が「半終止」について伝えるべきは全て伝えました。まずは何度も試してみて下さい。それが”ウザ愛されるブログ記事理論”を体得する一番の近道なのです。
貴下の従順なる下僕 松崎より
ネクストッ! >> ウザ愛されるブログ記事理論~第二節:キメフレーズは4分の4拍子に~
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photo credit: margot.trudell via photopin cc