【問題】芸術を"鑑賞した"とは何でしょう?

Caravaggio 「リュートを弾く若者」 (1590年頃)

Caravaggio 「リュートを弾く若者」 (1590年頃)

 
私の愛しいアップルパイへ
 
先に言っておきます。この記事には明確な回答はありません。
 
とにかく、私が心底悩んでいる事をとにかく書き出してみる事で、少しばかしスッキリする為に書いておきます。
 
恐らくこの悩みはゆりかごから墓場まで、一生付き合っていく事になるでしょう。

 

◇「いつどの時点で芸術は”鑑賞した”事になるのか」

 

音楽、絵画、美術、映画、文学、、表現形式は多種多様あれど、同じ悩みにぶつかります。
 
私はいったいいつこの芸術作品を”鑑賞した”事になるのだろうか?と。
 
一つの同じ作品であっても、芸術作品に対する印象、感想、評価は常に変化していきます。これは誰しもが経験するでしょう。
 
初めて観た、聴いた、読んだ作品に「素晴らしい事が起こった!」という評価をしても、数年後に見直してみたらそうでもなかったとか。逆に最初に鑑賞した時はまったくハートに火がつかなかった作品も、何度も鑑賞し直して見ると味わい深くて、自分にとって特別な意味を持つ作品になったとか。
 
これは経験や知識量に依存するだけでなく、その作品を鑑賞するのは何回目か、その時の気分はどうだったのか、自分の置かれている社会的環境はどうだったのか、人間関係はうまくいってるか、寝起きだったのか、寝る前だったのか、とにかく自分自身のちょっとした変化で、作品の印象は変わるものです。
 
そして我々は常に何かしらの変化をしているものであり、その意味では一度感じた印象は二度と再現されないのです。そして一回目に感じた印象と二回目に感じた印象のどちらが正しいかも分からないのです。
 
しかも、時間は有限です。
 
あらゆるパターンを網羅して、あらゆる変化に対応して、あらゆる角度から何度も何度も同じ作品を鑑賞し直す、そんな事は出来ません。ある作品を鑑賞する事は、他の作品を鑑賞する機会を減らします。
 
何かを選択する事は他の何かを切り捨てる事と同義です。

 

◇「問題はいつどの時点で”鑑賞した”と割り切るか」

 

この問題のポイントは自分の中で“この作品は鑑賞した”とどう割り切るかだと思います。
 
“完璧に鑑賞しきった”というのが不可能である以上、何回鑑賞すれば良しとするのか、一回だけで良いのか、五回なのか、、何を理解すれば良しとするのか、鼻歌で主旋律を歌えれば良いのか、歌詞は暗記する必要があるのか、音符を書き出して、全て楽譜化する必要があるのか。それを暗記する必要があるのか。
 
達成の指標を決める事です。そして、スパッと次の作品に移れる様にする事が重要です。
 
でないと、その作品を鑑賞したかどうかが不安になって、頭から離れなくなります。夢に出ます。CDやDVDや本は溜まるばかりです。そしてそれらが目に入る度に、見直さなくて良いのか判断しなければなりません。

 

◇「アイデア:一定の尺度を決めて評価する」

 

一度鑑賞すればスッキリできるならそれで良いと思います。しかし、私は変に臆病で慎重な所があるのでそれでは駄目らしいです。
 
そこで私が考えた一つの解決策としては、事前に一定の評価尺度を決めておき、作品を鑑賞した時の印象、感想、評価について文章化しておく事です。文章としてアウトプットされていれば、後で作品を”鑑賞した”と言えるかどうか不安になっても、ひとまず評価が書き出されているので一安心です。
 
音楽であれば、曲のジャンルや速度、楽器構成、曲の長さ、和音の美しさ、旋律の美しさ、リズムの美しさ、構成の美しさ、旋法の美しさ、そんな基準でそれぞれ印象、感想、評価を書き留めておけばまずはスッキリできると思います。決められた基準が埋まるまでは何度も聴き直します。
 
基準が多すぎれば減らせば良いし、少なければ増やしていけば良いです。また、後で同じ作品を鑑賞した際にはそれぞれに追記していきます。とにかく自分の中で”鑑賞した”と割り切れる様な基準を設ける事、これが重要だと思います。
 
さて、これはあくまで私の例です。あなたはある作品を鑑賞した時、どうやって次の作品に移っているのでしょうか。何かアイデアがあれば是非教えて頂きたい!何卒!!
 
貴下の従順なる下僕 松崎より


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音楽家に必要な能力は2つだけ

 
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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。